北海道を代表する登別温泉は、JR登別駅から北方へ約8キロメートル入った海抜約200メートルのあたりに位置しており、周囲を山々に囲まれた自然豊かな温泉地です。登別温泉の最大の魅力は、豊富な湯量と多彩な泉質で、全国の温泉ランキングでも常に上位に位置する人気温泉です。最大の泉源は環境省の「かおり風景百選」に選ばれ、北海道遺産にも指定されている“地獄谷”で毎分約3,000リットルもの温泉が湧き出しています。温泉街全体で自然に噴出する湯量は1日約1万トンにもなります。
地獄谷入口には平成20年に、間欠泉(一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉)をメインに整備された泉源公園がオープンしました。この間欠泉は3?4時間間隔で湯を噴き上げ、その高さは8メートルに達します。1回の噴出量は約2,000リットルで迫力いっぱいの眺めが楽しめます。
地獄谷から大湯沼方面には、豊かな森の中を縫うようにいくつかの自然探勝路があります。ふつふつと熱湯がたぎり硫気を噴き上げる地獄谷、灰黒色の熱湯をたたえた大湯沼や奥の湯、間欠泉の大正地獄など、火山地形独特の見どころが満載です。
硫気や酸性土壌の影響で生育する植物の種類が限られており、特殊な植物社会を構成している様子も見られます。
また、ミズナラやホウノキの巨木がうっそうと生い茂る天然記念物の登別原始林には、約60種類の樹木や110種の草木、さらにはガンコウランなどの高山植物も広がっており、探勝路から四季折々の景観を楽しめるのが魅力です。
地獄谷から大湯沼、そして大正地獄から大湯沼川に沿った探勝路を進むと、野趣あふれる天然の足湯スポットが見えてきます。大湯沼から溢れ出した温泉が大湯沼川となり、流出するうちに外気で冷やされて適温となったこの場所には、風倒木を利用した素朴な椅子があり、のんびりと腰掛けて湯に足を浸せば、百パーセント自然のままの温泉が散策の疲れを取ってくれます。周囲はうっそうとした登別原始林。風の音や鳥の声を聞きながら、森林浴と温泉が一度に楽しめる癒しのスポットです。
この大湯沼川の温泉は、足湯以外に利用されておらず、掛流しの光景に観光客から、思わず“もったいない”の一言が。豊富な湯量を誇る登別温泉ならではの天然足湯です。
6月は新緑の季節です。ぜひ一度、大自然の中の天然足湯で心と体を癒しませんか。
((財)自然公園財団登別支部 澤 剛志)
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