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「国立公園Walker」バックナンバー

0452013.01.22UP奥日光で「雪」を楽しむ!

冬の奥日光湯元周辺は?

冬の日光湯元
冬の日光湯元

 栃木県日光市馬返から中禅寺湖畔まで48のカーブがつづら折りに連なる「いろは坂」(国道120号線)をのぼって、竜頭ノ滝や戦場ヶ原を越えた奥の奥、標高約1,485mの高原に奥日光湯元はあります。湯元の冬というと、紅葉が終わった後一気に冷え込み、日光白根山からの「ふっかけ」【1】で気温は日中でもマイナスが当たり前、路面は凍結…と、楽しむには厳しい状況なのでは? と思いがちですが、そんな湯元が一番熱くなる季節が「冬」なのです! 特に雪が降り積もった後は、湯元では様々な冬の楽しみ方が待っています。

パウダースノーでスノーシュー

スノーシュー
スノーシュー

凍結した湯ノ湖
凍結した湯ノ湖

 奥日光の冬で特徴的なのがなんといっても、さらさらのパウダースノー(粉雪)。その柔らかさは雪合戦をしようとしても、投げている途中で雪玉が壊れてしまうほど。気温が低く、空気が乾燥している環境だからこそ体感できるものなのです。
 そんな中で、この時期おすすめなのがスノーシューハイキング【2】。膝上まで埋まってしまう雪も、スノーシューがあれば大丈夫。歩いたり、走ったり、飛び跳ねたり、滑ったり…。スノーシューを履けば雪の上でも自由自在に野外活動を楽しめます。転んでもパウダースノーの上では痛くありません。森の中ではしんしんと降る雪や風で揺れる木々がふだんは耳にすることのない新鮮な音を響かせます。他の季節とはまた違った情景や体験ができ、ちょっとした冒険に来た気分に浸れます。
 また、凍った上に薄く雪がかかって真っ白になる湯ノ湖の情景も見られます。凍った湖の上を歩くカモの姿や、雪が積もってまるで花が咲いているように見える樹氷など、歩いている中でちょっと不思議な光景も見つかりますよ。

雪上でのアニマル・トラッキングのすすめ

雪上に残されたノウサギの足跡
雪上に残されたノウサギの足跡

  鮮やかな花々、鳥のさえずり、虫の音など、多くの生きものたちで賑やかだった夏とは打って変わって、雪が降ると生きものたちの多くは休息時期に入ります。しかし、よく見ると雪上に残る動物たちの足跡や木の実の食べ痕(食痕:しょっこん)など多くの痕跡から、夏にはわからなかった生きものたちの生活や行動を知ることができます。そんな冬ならではの生きものたちの観察方法・冬の自然散策の楽しみ方が、アニマル・トラッキングです!
 雪が降ると、他の季節には残りにくい痕跡が鮮明に残ります。足跡の方向を見て辿っていくと、冬の森で生きものたちがどんな生活や行動をしているかがわかります。
 湯元周辺でアニマル・トラッキングをするのにおすすめの場所は湯元温泉街の一番端から少し先にある「金精の森」。ここでは毎年、ウサギやテン、キツネ、タヌキ、リス、そしてヤマドリ…など様々な生きものの足跡が見られます。針葉樹に囲まれた森の中で足跡だけでなく、リスが隠した木の実や糞などもよく探すと発見できます。アップダウンも急ではなく、緩やかな坂道ですから、雪の中をゆったり活動したい方にはおすすめです。途中の道では植物の冬芽やセッケイカワゲラ【3】等、冬特有の自然に出会えることもあります。

樹氷
樹氷

金精の森
金精の森

奥日光湯元温泉雪まつり開催中

日光湯元地図
日光湯元地図

 奥日光湯元では、12月1日?平成25年3月31日まで雪まつりを開催しています。雪まつりの夜景は、2011年に日本夜景遺産【4】に認定されました。1月には氷の彫刻、2月には小さなかまくらが並ぶ中に灯りがともる「雪灯里」、期間を通して実施される湯元温泉湯巡りスタンプラリーなど、様々なイベントが催されています。  詳しくは奥日光湯元温泉旅館協同組合をご覧ください。

 スノーシューハイキングで身体を動かして熱くなった後は、ゆっくり温泉に入るのもよし、雪で作られた夜景を楽しむのもよし。ぜひ奥日光湯元の「雪」を五感を使って楽しんで下さい。

(自然公園財団日光支部 石井綾)

注釈

【1】ふっかけ
栃木弁で、風に乗って降ってくる雪のこと。
【2】スノーシューハイキング
スノーシューは湯元温泉街内、そして日光湯元ビジターセンターでも毎冬レンタルを行っています。コースや使い方などご不明な点がありましたら、お出かけの前にぜひ日光湯元ビジターセンターへお立ち寄り下さい。(1月は平日休館・2?3月は水曜休館となります)
【3】セッケイカワゲラ
体長約10mm、クロカワゲラ科の原始的な昆虫。古くから、「雪虫」(春の季語)、「雪渓虫」(高山の夏の季語)など俳句にも使われてきた。
【4】日本夜景遺産
2004年7月に発足した民間組織の「日本夜景遺産事務局」が選定する日本の夜景地。日本各地に埋もれている美夜景の再発見&発掘、価値付与して紹介し、観光資源としての夜景の存在をアピールすることで夜間観光立国化の促進を担うとして、2009年10月現在で121箇所を選定している。

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バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
  52. 052「白根山でリンドウを楽しもう。」
  53. 053「上高地、色彩の秋から初冬へ」
  54. 054「見どころ溢れる秋の十和田湖」
  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

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