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「国立公園Walker」バックナンバー

0372012.05.15UP鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!

「山陰海岸ジオパーク」でもある鳥取砂丘

 「ジオパーク」という言葉を耳にしたことはありますか? 「ジオ」とは地球や大地を意味し、「ジオパーク」とは貴重な地形や地質が残されている「大地の公園」です。鳥取砂丘を含む山陰海岸ジオパーク(鳥取市・白兎海岸?京都府・経ヶ岬)は2010年10月に、世界ジオパークネットワークへの加盟が認定されました。東西110km、南北最大30kmの広大なジオパークエリアでは、2,500万年前の日本海形成に関わる貴重な岩石や地層などを間近で見ることができます。
 今回はジオパークでもある鳥取砂丘の地形、地質にスポットを当て、砂丘の“ジオ的楽しみ方”をご紹介します。

砂丘の主役、砂粒の秘密

 鳥取砂丘の砂のふるさとは中国山地に分布している花崗岩質の岩石です。長い年月、雨などの風化作用を受けた岩石はもろくなって砂となり、千代川を下って海へと運ばれます。海へ運ばれた砂は波の力で岸へ打ち上げられ、海側から吹く北西風によってさらに内陸へと吹き飛ばされます。この自然の働きが繰り返されることで鳥取砂丘はできました。
 砂丘の砂粒を顕微鏡で観察すると、場所によって大きな違いがあることがわかります。粒の大きさは千代川河口がもっとも大きく、海岸部→馬の背→砂丘入口と、内陸にいくに従って小さくなります。また、河口や海岸の粒は透明感があり、キラキラと輝いているものが目立ちますが、内陸の粒は透明感を失い、赤茶色っぽくなります。これは海岸から風に吹き飛ばされて内陸へ移動するうちに粒が割れ、傷ができたり汚れが付着したりするためです。鳥取砂丘に新しく仲間入りした粒か古株の粒かによって、小さな粒にも大きな違いがあるのです(写真の目盛りは2mm)。

海岸部の砂粒
海岸部の砂粒

内陸(砂丘入口階段近く)の砂粒
内陸(砂丘入口階段近く)の砂粒

砂丘の歴史を知る手掛かり

 鳥取砂丘を散策していると、砂ではない赤茶色?黄土色の硬い土を見かけることがあります。これは砂丘のジオスポットの一つ「火山灰露出地」です。砂だけしかないように思われがちな砂丘ですが、砂と砂の間に火山灰がはさまれており、風によって砂が飛ばされた場所では火山灰が露出しています。
 砂丘土産物店の近くでは地層の断面を見ることができます。一番上にある砂が「新砂丘」、その下に「火山灰」、一番下にある砂は「古砂丘」と言います。砂丘に堆積している火山灰は数種類あり、もっとも厚く積もっているものは5万5千年前に噴火をした鳥取県西部にある大山の火山灰です。その他、10万年前の三瓶木次軽石、9万年前の阿蘇火山灰、2万5千年前の姶良火山灰が確認されています。
 この火山灰は砂だけの地層ではわからなかった砂丘の歴史を知る貴重な指標となります。もっとも古い10万年前の火山灰の下に砂があることから、鳥取砂丘は10万年前より古くから形成されていたと言われています。

火山灰露出地
火山灰露出地

地層の断面
地層の断面

高低差20mの巨大凹地

追後スリバチ
追後スリバチ

 砂丘を代表するもう一つのジオスポットに「追後(おいご)スリバチ」があります。名前の通り、茶碗のような形をした凹地で、高低差は最大で20mに達します。強い北西風によって運ばれた砂が正面にある地山にぶつかり、渦を巻くように風が斜面を吹き上がることでできあがったと言われています。
 追後スリバチは人気スポットの“馬の背”とは離れた場所にあるため、訪れる人は多くありません。ちょっと足を伸ばして、迫力ある巨大な凹地をぜひご覧になってください。

鳥取砂丘中心部探検マップ
鳥取砂丘中心部探検マップ(クリックするとPDFファイルが開きます)

一般財団法人自然公園財団 鳥取支部(砂丘) 阿部 千春

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火山灰層はどうやってできたんですか
(2017.07.30)

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