上高地は、近代アルピニズム発祥の地として知られ、4月下旬から11月中旬のシーズン中に約140万人もの観光客や登山者で賑わいます。日本有数の山岳景勝地であるとともに、「野鳥の宝庫」でもあり、毎年多くのバードウォッチャーが訪れます。
(一財)自然公園財団 上高地支部の調査によると、1995年4月から2011年10月までに上高地で見られた野鳥は129種、過去の記録を含めると約140種にもなります。
ここに生息する野鳥は、春から夏にかけて子育てをする「夏季繁殖型」が非常に多いのが特徴です。一年中生息するマガモやコガラなどの「留鳥(りゅうちょう)」【1】と、繁殖のために渡ってくるコマドリやオオルリなどの「夏鳥」を合わせた、約60種近い野鳥が「子育ての場」として上高地を利用しています。
上高地を取り囲む山岳地帯は、ニホンライチョウやイヌワシなど、日本で絶滅の恐れのある希少鳥類の生息地でもあります。
ライチョウは、南北アルプスを中心とする中部山岳地帯に、わずか3,000羽が生息するだけです。高山のハイマツ帯や高山植物の草原などに生息し、登山道周辺で間近に見ることもありますが、そっと見守ってあげましょう。
周辺の広大な森林と急峻な崖では、イヌワシをはじめ、クマタカやハヤブサなど、生息数の少ない猛禽類がいます。もちろん、いつでも見られるわけではありませんが、翼を広げると2mにもなるイヌワシの飛翔する姿を、大勢の人で賑わう河童橋から眺めることもあります。
我々、自然公園財団スタッフは、清掃活動やガイドなどで、日々上高地を歩いています。時には学術的に貴重な記録といえるできごとにも遭遇してきました。
春から初夏にかけて、「野鳥たちのさえずりで朝目覚める」という、夢のような素敵な日々が上高地では味わえます。
自然豊かな上高地での「野鳥とのふれあい」とは何でしょう。餌を与えたり、巣箱を掛けたりすることでしょうか。いいえ、自然の中に食べ物はじゅうぶんにありますし、樹齢数百年の自然木にできる樹洞(じゅどう)【2】が巣作りを支えています。「人が手を加えず、見守ること」、それが「人と野鳥」との最良のつき合い方ではないでしょうか。
今シーズンも、上高地は11月15日をもって閉山となります。来春の開山には、また多くの野鳥たちの歌声が、私たちを迎えてくれることでしょう。
(一財)自然公園財団 上高地支部 前田篤史
写真提供:小泉玲子・前田篤史
学校の宿題の参考にします!!
とても分かりやすかったです!
ありがとうございました(*^‐^)ノ
(2015.04.01)
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