ジオパークとは、ジオ(地球)を楽しむ公園です。つまり、地球に親しみ、地球を学び、楽しむ場所のことです。
科学的に価値の高い地形・地質・火山などの地質遺産を保護すると同時に、研究・教育に活用することを目的とし、さらに観光利用のための「ジオツーリズム」を通じた、持続可能な地域経済や地域文化の発展を目指しています。
洞爺湖有珠山ジオパーク(壮瞥町・伊達市・洞爺湖町・豊浦町)は、2009年にユネスコが支援する世界ジオパークネットワークに、日本で初めて認定されました。
このジオパークには有珠山や洞爺湖など多くの地質遺産や自然遺産のほかに、縄文遺跡などの歴史的遺産も数多く、それらを結ぶフットパス(散策路)なども整備され、特徴ある火山活動や豊かな森・湖などの自然環境を間近に見ることができます。
数十年に一度の割合で繰り返される火山活動により目の前の景色を変え続けてきた有珠山周辺は、世界でも類を見ない「変動する大地」を体感できる貴重な学びの場です。また火山活動が形成した美しい景観を楽しむことのできる自然公園です。
ジオパークは、ただ単に地質学的に重要なだけでなく、地形・地質によってつくりだされる景観、植物、また文化、産業など地域に根ざした関連資源も含めたものです。
約11万年前に洞爺カルデラを作った火砕流噴火によって形成された洞爺湖周辺の台地では、現在、広大な畑作が行なわれ、美しい景観が広がります。火山灰や軽石などの混じった土壌は農耕に適しており、北海道では比較的温暖な気候条件を活かしたリンゴやサクランボなどの果物、高級菜豆【1】や馬鈴薯などの野菜が栽培されています。
噴火湾は、7?8000年前に有珠山が大規模に崩壊した際に、有珠山の南側に岩屑が崩れ落ちてできた岩礁の多い海岸で、魚にとって絶好のすみかとなっています。カレイ、サケなどが豊富に獲れるほか、ホタテ貝の養殖が盛んです。
また、洞爺湖に温泉が湧出したのも有珠山の恵みのひとつです。1910年の噴火により、マグマが地下深くから地表近くまで上がり、地面を盛り上げて四十三山(明治新山)をつくりました。このときマグマが地下水を温めて、温泉の基になったと考えられています。
この地域は火山によってさまざまな恵みを受けており、これらの恵みひとつひとつがジオパークと結びついているのです。
((財)自然公園財団 昭和新山支部 阿部 隆一)
よくわかりました
(2022.11.02)
とても良かった
(2021.10.05)
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