徳島・鳴門の魅力といえば渦潮です。1年のうち、春と秋の大潮時には特に大きなものが発生し、今年も9月末が見頃です。暑い夏も過ぎ、少し涼しくなってきました。渦潮を見に、鳴門に来てみませんか。
渦潮はまず、鳴門公園にある展望台や、大鳴門橋の橋げた部分につくられた海上遊歩道「渦の道」から探してみましょう。川のように流れ躍動する潮流もみどころです。視覚だけではなく、潮の音も聞いて、聴覚でも感じてみてください。
鳴門海峡には、鳴門山展望台・お茶園展望台・千畳敷展望台・孫崎展望台の4つの展望台が整備されています。どこからも異なる景観が楽しめますから、ぜひ複数まわってみてください。
公園にある自然探勝路が各展望台を結び、9月には、アキノタムラソウ・イタドリ・イヌザンショウ・キツネノマゴ・クサギ・クズ・タカサゴユリ・ツユクサ・マルバハギなどの花や、ムベの実がなっているのが見られます。ここでは、視覚、聴覚だけではなく、触覚、嗅覚も使って五感で楽しんでみてください。例えば、クサギの葉や枝に触ってみると、強い臭いがします。また、イタドリの茎をポキッと折って舐めてみると、酸っぱい味がします。自然探勝路でこれらの花を見逃した方は、県道亀浦港櫛木線(旧鳴門スカイライン)でも、出会えるかもしれません。
この時期、鳴門のもうひとつの魅力は、知る人ぞ知る、タカの渡りです。秋には、タカが越冬地を目指し、京阪神から淡路島を経由して四国に南下してきます。大きな渦が発生する9月の下旬頃には、空を見上げると、たくさんのタカが渡っていくのを見ることができるかもしれません。
タカにもいろんな種類がありますが、鳴門海峡で一番多く見られるのは、サシバです。多い時には、一日で1000羽を越えるサシバが渡っていきます。その群れに混じって、やや大きめのハチクマ、10月中旬からはノスリなどが見られます。
去年(2010年)の秋、日本野鳥の会徳島県支部の観察報告によると、タカの渡りの観察地点、鳴門山展望台から、9月26日に3697羽のタカ(サシバ3406羽・ハチクマ270羽・ノスリ15羽・オオタカ1羽・種類不明のタカ5羽)が観察されました。
今年も、同支部主催の「秋の渡り観察会」が、9月19日に予定されています。
(一般財団法人自然公園財団 鳴門支部 樋口裕師)
写真提供:木下覚(植物)、柴折史昭(鳥)、臼井恒夫(鳥、鳴門山展望台)
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