新千歳空港・苫小牧からは約30分、札幌からも車で約1時間の場所にある支笏湖。
都会から近いながらも、豊かな自然を残している場所です。
周囲約40km、日本で8番目の大きさの湖ですが、363mの最大水深は日本で2番目の深さです。水量も日本第2位で、日本一大きい湖・琵琶湖の75%の水をたたえており、大きな水がめと言われることもあります。環境省の湖沼水質ランキングで3年連続ナンバー1になった清らかで透明な水は、太陽の光を受けて青く輝いています。
湖畔に立てば、澄んだ水が足元に広がり、清涼な雰囲気に包まれることでしょう。
3月、北海道の厳しい冬が終わりを迎えます。4月以降は雪解けがすすみ、たくさんの観光客が支笏湖を訪れます。
4月中旬は「湖水開き」という行事が開催されます。湖畔で行われる安全祈願祭です。千歳神社宮司による祝詞奏上後、観光・地元関係者らが玉串をささげます。
支笏湖にとっては、この年をスタートする大切な日です。
森の植物たちも、このころから動きが活発になっていくのです。
いち早く私たちに春の訪れを知らせてくれるのは、日本語で「春のはかないもの」という意味のスプリング・エフェメラルと呼ばれる植物たちです。寒さのきびしい冬は、球根状態で過ごし、雪解けのスピードと競い合うように花を咲かせ、2ヶ月ほどで、地上の生活を終えるのです。「春の妖精」とも言われ、毎年注目を浴びる植物です。
人気があるのは、「エゾエンゴサク(ケシ科)」です。あわい青色のちいさな花が茎の上に集まって咲く姿が、雪解け途中の林の足元をやさしく彩ります。北海道で見られる春の妖精は他に、「カタクリ」や「フクジュソウ」などがあります。
ところで「春の妖精」はなぜ真っ先に咲くのでしょう。
それは、地面に差し込む春の暖かい光を、一身に浴びるためです。初夏に森の木々が葉っぱを茂らせ、森の足元を暗くする前に咲くのです。
植物にとって日光は、光合成をするためにとても大事なので、太陽の光を得るために、生き抜こうと知恵を働かせているのです。そして短い花期を終えたら葉っぱだけになり、6月ごろには葉を落とし、また球根に収まり、地中で次の春をじっと待つのです。
エゾエンゴサクはかわいらしく、彼女たち(?)が咲けば、休眠していた森が、いっせいに動き出すような感じがします。まさに、春の妖精です。
妖精たちの短い花期を見に、春一番の森に出かけてみませんか。彼女たちから、森の活力ももらえますから。
支笏湖温泉の園地内での開花場所は、支笏湖ビジターセンターでお気軽にお尋ねください。とっておきの場所をご紹介いたします。
((一財)自然公園財団 支笏湖支部 吉田 香織)
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.