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「国立公園Walker」バックナンバー

0242011.04.19UP青い水がめ・支笏湖(しこつこ)

水深は日本第2位

支笏湖
支笏湖

 新千歳空港・苫小牧からは約30分、札幌からも車で約1時間の場所にある支笏湖。
 都会から近いながらも、豊かな自然を残している場所です。
 周囲約40km、日本で8番目の大きさの湖ですが、363mの最大水深は日本で2番目の深さです。水量も日本第2位で、日本一大きい湖・琵琶湖の75%の水をたたえており、大きな水がめと言われることもあります。環境省の湖沼水質ランキングで3年連続ナンバー1になった清らかで透明な水は、太陽の光を受けて青く輝いています。
 湖畔に立てば、澄んだ水が足元に広がり、清涼な雰囲気に包まれることでしょう。

4月は湖水開き

湖水開き
湖水開き

 3月、北海道の厳しい冬が終わりを迎えます。4月以降は雪解けがすすみ、たくさんの観光客が支笏湖を訪れます。
 4月中旬は「湖水開き」という行事が開催されます。湖畔で行われる安全祈願祭です。千歳神社宮司による祝詞奏上後、観光・地元関係者らが玉串をささげます。
 支笏湖にとっては、この年をスタートする大切な日です。
 森の植物たちも、このころから動きが活発になっていくのです。

春の妖精

エゾエンゴサク
エゾエンゴサク

 いち早く私たちに春の訪れを知らせてくれるのは、日本語で「春のはかないもの」という意味のスプリング・エフェメラルと呼ばれる植物たちです。寒さのきびしい冬は、球根状態で過ごし、雪解けのスピードと競い合うように花を咲かせ、2ヶ月ほどで、地上の生活を終えるのです。「春の妖精」とも言われ、毎年注目を浴びる植物です。
 人気があるのは、「エゾエンゴサク(ケシ科)」です。あわい青色のちいさな花が茎の上に集まって咲く姿が、雪解け途中の林の足元をやさしく彩ります。北海道で見られる春の妖精は他に、「カタクリ」や「フクジュソウ」などがあります。
 ところで「春の妖精」はなぜ真っ先に咲くのでしょう。
 それは、地面に差し込む春の暖かい光を、一身に浴びるためです。初夏に森の木々が葉っぱを茂らせ、森の足元を暗くする前に咲くのです。
 植物にとって日光は、光合成をするためにとても大事なので、太陽の光を得るために、生き抜こうと知恵を働かせているのです。そして短い花期を終えたら葉っぱだけになり、6月ごろには葉を落とし、また球根に収まり、地中で次の春をじっと待つのです。
 エゾエンゴサクはかわいらしく、彼女たち(?)が咲けば、休眠していた森が、いっせいに動き出すような感じがします。まさに、春の妖精です。
 妖精たちの短い花期を見に、春一番の森に出かけてみませんか。彼女たちから、森の活力ももらえますから。
 支笏湖温泉の園地内での開花場所は、支笏湖ビジターセンターでお気軽にお尋ねください。とっておきの場所をご紹介いたします。

支笏湖地図
支笏湖地図

((一財)自然公園財団 支笏湖支部 吉田 香織)

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バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
  52. 052「白根山でリンドウを楽しもう。」
  53. 053「上高地、色彩の秋から初冬へ」
  54. 054「見どころ溢れる秋の十和田湖」
  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

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