5月は、皆さんのお住まいの地域ではどんな季節でしょうか? 桜の季節は過ぎ、若葉がまぶしく輝いている頃でしょうか? それとも、一足も二足も速い夏の気配を感じておられるでしょうか?
ここ奥日光の5月は、待ちに待った花の時期です。関東圏内にありながら積雪量が多く、冬は雪に覆われた純白の世界が広がるため雪解けは遅く、約1カ月遅れの春の訪れとなります。固く閉じていた冬芽たちも、暖かさにひかれてゆっくりと葉を開いてくる5月。上旬・中旬・下旬と変化が目まぐるしく、たった一ヶ月で土色の奥日光が新緑の淡い緑と花の鮮やかな色に染められます。
そんな時期、皆さんにお勧めの場所は中禅寺湖の歌ヶ浜駐車場?阿世潟(あぜがた)までの往復コースです。
中禅寺湖は周回約25キロの栃木県を代表する湖です。その歴史は古く、発見されたのは天応(てんおう)2年、西暦で言うと782年のこと。日光開山の祖、勝道上人(しょうどうしょうにん)が男体山の登頂に成功したとき、山の上から湖の存在を見つけたそうです。思いもよらない発見に勝道上人も驚かれたことでしょう。標高約1,400メートルの場所にあるため、夏は涼しく多くの方が避暑に訪れています。
中禅寺湖のほとりにある歌ヶ浜駐車場から阿世潟までの往復コースは、新緑の中禅寺湖を楽しめる一番のスポットです。大きなアップダウンもなくしっかりと整備が行きとどいた歩道は、安心して歩くことができます。
なかでも嬉しいのは、トウゴクミツバツツジやシロヤシオの花を楽しめることです。トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)は、3つの葉に濃いピンク色の花を咲かせます。シロヤシオは五葉躑躅(ゴヨウツツジ)とも呼ばれ、5枚の葉と同時に真っ白な花を咲かせます。
トウゴクミツバツツジの開花は5月上旬から下旬。シロヤシオの開花は5月中旬から6月上旬です。トウゴクミツバツツジの開花後にシロヤシオが咲くのですが、時期が合うと2つの花を同時に楽しむことができます。
私が初めて中禅寺湖湖畔を歩いて驚いたのは、真っ白な砂浜があることです。山の中に海のような青い湖があるだけでも十分なのに、白い砂浜まで広がっています。そして正面には男体山の大きなシルエット。この夢のような景色をひとり占めできるのが今回のコースです。真っ青な空の下、毎日の喧噪を忘れてゆったりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?ポイントは、「何もしない」です。ただそこに寝っ転がって太陽の暖かさと波の音を聴くだけ。それだけで、不思議なくらい癒されます
疲れたあなたを、奥日光の大きな自然がすっぽりと包んでくれます。
せっかくの休日。色鮮やかな奥日光で日ごろの疲れを癒してみてはいかがでしょうか?
(一般財団法人 自然公園財団日光支部 平澤 香世)
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