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「国立公園Walker」バックナンバー

0152010.07.06UP大山の高山植物群落を訪ねる

季節風が育む景観

夏の「ユートピア」お花畑
夏の「ユートピア」お花畑

 西日本を代表する山「大山(だいせん)」は、大山隠岐国立公園の東部に位置します。最高点の剣ヶ峰は標高1,729m、中国地方の最高峰です。日本海の海岸近くから急激にそびえる独立峰で、北西からは裾野広がりが美しく「伯耆(ほうき)富士」と呼ばれる一方、南壁と北壁は北アルプスを思わせるような荒々しい山容を見せています。
 さほど標高の高い山ではない割に、日本海から吹き付ける季節風が厳しい気象環境を作り出します。山頂付近は高山植物の草原やキャラボクの林に覆われ、切り立った稜線が続く地形と相まって、3,000m級の高山を思わせる景観を呈しています。
 山頂周辺が一番輝くのは、7月中旬?8月上旬。何種類もの植物が一斉に花を咲かせ、一年のうちでもっとも美しく華やかな季節を迎えます。
 今回は、シモツケソウとナンゴククガイソウをご紹介しましょう。

美しさNo.1 大山の高原の女王

三鈷峰とシモツケソウ
三鈷峰とシモツケソウ

 夏の大山山頂周辺のお花畑では、色とりどりの花が咲き乱れ、美の競演が繰り広げられます。
 クガイソウ、エゾアジサイの群落がお花畑を紫色に染め、カラマツソウ、エゾノヨロイグサが白く彩り、シモツケソウ、イヨフウロのピンク色が華やかさをそえます。その中でも、「大山の高原の女王」と呼ばれるシモツケソウが群生する景色は格別です。
 シモツケソウの名前は、小さなピンクの花がたくさん咲く様子が、バラ科の低木・シモツケの花によく似ているため名付けられたといいます。直径5?6ミリの花が無数に集まった花畑の様子は、ピンクのやわらかい綿のようです。
 シモツケソウの群落は、三角点のある弥山(1709m)付近や東側の象ケ鼻(1550m)周辺でも見られますが、何と言ってもユートピア小屋周辺に広がる群落が素晴らしいです。これらの植物は、気象条件の厳しいところに生息していて、変化に弱いものですから、みんなで大切にしたいものです。

三鈷峰周辺のシモツケソウとアキアカネ
三鈷峰周辺のシモツケソウとアキアカネ

三鈷峰周辺)夏のユートピア小屋
三鈷峰周辺)夏のユートピア小屋


青紫色の幻想的なお花畑

群生するナンゴククガイソウ
群生するナンゴククガイソウ

 山麓の大山寺バス停内にある大山情報館から大山寺を通り大神山神社の石畳をゆっくりと歩くと、やがて「元谷」と呼ばれる地点に到着します。元谷からの眺めは、大山北壁が屏風のように広がり、圧倒されます。登山道はここで「夏山登山道」と「ユートピアコース」に分かれます。お花畑を見るならユートピアコースがお勧めです。
 真夏の大山山頂付近は、ダイセンキャラボクの森を取り巻いて、毎年見事なお花畑が形成されますが、特にすばらしいのがユートピアのお花畑の群落です。

頂上周辺)夏の大山頂上小屋
頂上周辺)夏の大山頂上小屋

 ユートピアでひと夏をすごす植物は、高山植物の仲間だけではありません。ナンゴククガイソウのような中低山の草地に生える植物も加わり、大山でしか見ることのできないパノラマの眺めが楽しめます。お花畑の主役はこのナンゴククガイソウ【1】です。山頂の高原に何処からともなく涼風が吹き抜けて、青紫色の穂が波うちます。青い絨毯を一面に敷き詰めたような幻想的な姿を見せます。

 大山情報館では、この時期、どこでどんな花が咲いているか一目でわかる開花情報を提供しています。

大山登山コース
大山登山マップ


((財)自然公園財団 鳥取支部 三原 勝弘)

用語説明

【1】ナンゴククガイソウ
ゴマノハグサ科に属する多年草。輪生する葉が九段ぐらい重なってつくことから、クガイソウ(九蓋草)の名がある。

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バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
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  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

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