北海道の南西部には、支笏洞爺国立公園と大沼国定公園があります。
これらのうち、支笏湖、登別、昭和新山及び大沼の4つのエリアで活動する一般財団法人自然公園財団の4支部では、平成26年4月26日から11月30日までの日程で「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」を開催中です。
4つのエリアのうち、どこからスタートするか、巡る順番や日程は自由です。
ぜひ、開催期間中に3エリア以上を巡って、素敵な完走記念品をお受け取りください。
支笏湖は、およそ4万年前に起きた激しい火山活動によって誕生したカルデラ湖です。この湖の特徴は、田沢湖に次いで全国第2位の深さと支笏湖ブルーと形容される日本一の透明度を誇る湖水の清澄さがあげられます。冬季に湖面が凍ることは希なことから、日本最北の不凍湖とされています。
4つのエリアで唯一、環境省のビジターセンターが設置されており、湖畔では四季折々に様々なイベントが繰り広げられます。このほか、とりわけ明治27年に阿寒湖から移植されてこの湖に生息する、味も姿も天下一品のヒメマスは「チップ」の愛称で親しまれ、6月1日から8月末までの解禁期間中は、太公望で大いに賑わいます。
周囲には、支笏カルデラの外輪山である恵庭岳、風不死岳、樽前山がほぼ一直線上に並び、北国を代表する広大な森林地帯が形成され、そこには豊かな動植物が息づいています。
山紫水明の景観と緑溢れるさわやかな空気の中で日常の喧噪を離れ、可憐な草花を見たり、野鳥の声に耳を傾けながら園内を散策するなど、ここでの過ごし方はバラエティーに富んでおり、大都市・札幌圏に最も近く、千歳空港からも至近なことなどから、四季を通じて賑わいをみせる支笏湖エリアです。
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毎日の温泉湧出量が1万トンを誇り、9種類もの泉質に恵まれた登別温泉は、およそ8万年前に始まるクッタラ火山からの贈り物とされ、大型ホテルを主体とする温泉街では年間300万人ものお客様が来泉しています。
クッタラ火山の噴火口跡には、悠久の時を経て周囲8.5km・水深147mの満々たる清水をたたえた、ほぼ円形に広がるカルデラ湖を形成しています。
その外輪山の爆裂火口として誕生し、一見生き物を寄せ付けないような荒々しい景観の地獄谷や大湯沼界隈では、至る所から噴煙や噴湯がほとばしり、間欠泉などの様々な火山現象が間近に見られることから温泉の博物館にも例えられています。
また、山頂から轟音とともに白煙を激しく噴き上げる日和山の麓に形成された周囲約1km・水深22mの熱湯をたたえる大湯沼、濃厚な硫黄泉がフツフツと湧く奥の湯、間欠泉の一種で湯面の色が七変化する大正地獄などから流れ出した大湯沼川の流に「天然足湯」が整備され、一年中訪れる人が絶えない人気スポットの一つとなっています。
こうした地獄谷一帯を囲む登別原始林は、天然記念物に指定されており、大きく成長した樹木をはじめ、火山地帯特有の硫気や酸性土壌などの厳しい環境に適応した植生を観察することのできる散策路や遊歩道が整備されています。
日和山から西に林道コースを辿って4kmほど先には神秘の湖・橘湖がひっそりと佇み、さらに2kmほどすすむと閑静なたたずまいのカルルス温泉郷に至る約4時間のトレッキングをお楽しみいただけます。
このように、癒し系の温泉とともに健康的な要素が盛りだくさんの登別エリアです。
登別温泉エリアのエコレポ・バックナンバーもご覧ください:
カルルス温泉郷のさらに西側には、早春の雪解けとともに可憐な高山植物たちに彩られるオロフレ山がそびえ、その峠を下ると、洞爺湖温泉や、昭和新山などが間近です。
昭和新山は、昭和18年12月28日に始まった頻発地震に端を発し、約2年間で麦畑であった大地がみるみる270mも隆起し、今日の溶岩ドームが形成されたものです。
時の壮瞥郵便局長であった三松正夫氏の克明な火山観測の記録・昭和新山隆起図は「ミマツダイヤグラム」として世界的にも高く評価されるとともに、氏はその後、私財をなげうって営農不能となったそれらの農地を買い上げ、昭和新山の保護に尽力しました。
昭和新山の麓には、平成5年12月に昭和新山生成50周年の記念事業の一環として、本人の揮毫による「麦圃成山」の銘板を刻んだ銅像が建立されています。
今日では、私設のミニ博物館・三松記念館を中心に、学習の場として修学旅行生が多く訪れていますが、いま一度、ドラマチックなこの山の誕生記録に迫り、赤茶けた山肌からいまも噴煙を上げる偉容を間近に仰ぎ見るとき、改めて火山活動のとてつもないエネルギーを垣間見ることができます。
また、隣接地には有史以来何度も大規模な噴火を繰り返し、最近では平成12年に噴火した有珠山を核に、2009年には「洞爺湖有珠山ジオパーク」がユネスコの世界ジオパークに認定されたほか、カルデラ湖の洞爺湖や洞爺湖温泉などもほど近く、みどころには事欠かない昭和新山エリアです。
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大沼国定公園は、国内で56か所指定されている国定公園のうち、自然公園財団が管理団体となっている唯一の地です。
この公園の特徴は、これまでの火山活動によって特異な姿をもつ活火山の北海道駒ヶ岳と、その活動によってすそ野にできた多くの小島と複雑な湖岸をもつ大沼・小沼・じゅん菜沼が織りなす日本庭園的な美しい景観にあります。
多様な植生にも火山活動が影響しており、駒ヶ岳の山頂やその付近ではシラタマノキやイワブクロなどの高山植物が見られるほか、山麓にはコナラやミズナラなどの二次林が広がり、湖沼にはネムロコウホネやヒシなどの水生植物や湿地の植物群落が観察できます。
また、亜寒帯に属する北海道の中でもこの地域に限りブナなどの温帯性の植物が分布する一方、本州にはない北方系の動物相として、ブナの実を食べるエゾリスが観察できるのも、国内の国立・国定公園のなかで唯一ここだけといわれており、季節になると、オオハクチョウなどの水鳥類も多く飛来しています。
このように火山活動がつくり上げた個性豊かな自然とそこに生きる野生動植物の宝庫として、魅力がいっぱいの大沼エリアです。
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このように各エリアでは、個性的でダイナミックな景観を背景に、大自然の中でとびきり充実した時間をお過ごしいただけます。
ぜひ、みどころがいっぱいの南北海道の国立・国定公園をスタンプラリーで巡ってみませんか。皆さまのご参加、ご来訪を心からお待ちしています。
(一般財団法人自然公園財団 登別支部 主任 澤 剛志)
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