国内外から年間約300万人の観光客が訪れる登別温泉には、24の泉源があります。なかでも最大なのは地獄谷にある「大地獄」で、毎分約2千リットルの硫黄泉が湧き出しています。
この地獄谷が登別温泉で一番の観光名所となっていて、冬でも多くの観光客で賑わっています。
地獄谷で一番のおすすめは「鉄泉池(てっせんち)」の見学です。地獄谷展望台から遊歩道を進んでいくと木道が見えてきて、その先に木柵で囲まれた鉄泉池があります。鉄分を含んだ約80℃の温泉が4?5分間隔で間欠泉(一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉)として噴き上がるのを見ることができます。
地獄谷のさらに先、大湯沼(おおゆぬま)・奥の湯方面は、冬の間は車道が通行止となるため遊歩道を歩いて行きます。自然公園財団登別支部のスタッフが遊歩道の雪を踏み固め、坂道には転倒防止用のロープを張って歩きやすくしてあります。また、パークサービスセンターで長靴の無料貸出しも行っています。
雪景色の中、遊歩道を進んで行くと白煙を噴き出している日和山(ひよりやま)と湯煙を上げている大湯沼が視界に入ってきます。日和山は標高377メートルの溶岩ドームで、頂(いただき)部分の裂け目からジェット機のような轟音とともに白煙を上げています。昔、登別海岸の漁師がこの噴煙を見て天候を占ったことから「日和山」の名前がついたそうです。大湯沼は日和山の噴火口跡にできた深さ22メートル、周囲約1キロメートルの温泉をたたえた沼で、表面温度は40?50℃、最深部では130℃の熱湯を湧出しています。
大湯沼から約100メートルのところに位置する奥の湯も、日和山の噴火口跡の一部で直径200メートルほど。中心のくぼみから灰黒色の温泉を湧出させています。表面温度は約80℃と高く湯煙で周囲が見えなくなることもあり、まるで煮えたぎる湯釜のようです。ここの温泉は、上登別温泉の旅館や登別温泉のホテル・旅館のほか、登別厚生年金病院でも使われています。
大湯沼から約500メートルのところに大正地獄があります。灰黒色の湯をたたえたこの沼は、名前の通り大正時代にできました。直径は15メートル、湯の温度は80?100℃、泉質は鉄泉です。
間欠泉の一種で10日ほどの周期で温泉湯量が増減し、湯の色も変化するのが特徴となっています。最近では湯泥が突発的に噴出することがあるので、注意が必要です。
大正地獄から3?4分ほど大湯沼川に沿った遊歩道を行くと「天然足湯」スポットがあります。雪景色を見ながら足湯につかるのも、この季節ならではの体験です。
冬の登別観光に、ぜひお越しください。
(一財)自然公園財団登別支部 澤 剛志
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