北海道の中でも豊かな自然が広がる道東地方。この中央に位置する阿寒国立公園の南西部に、周辺の山々の火山活動によってできたカルデラ湖、阿寒湖があります。
冬の阿寒湖の醍醐味は何といっても、結氷した湖上からの風景です。どこまでも続く雪原と、その先に見える雄大な雄阿寒岳や温泉街の後ろにでこぼこと切立って見える雌阿寒岳と阿寒富士の景観が神々しい姿を見せてくれます。
1月中旬には「氷上フェスティバル」が行われ、ワカサギ釣りやスノーモービルなど冬のレジャーを体験することができます。
冬の生き物を身近に観察したり、阿寒湖氷上や外輪山の景観を楽しんだりする散策には、阿寒湖畔エコミュージアムセンター裏の『ボッケ自然探勝路』がおすすめです。
ボッケとはアイヌ語の「ボフケ(煮立つ)」から名付けられた泥火山のことで、火山ガスが地下にある泥の層を巻き込んで噴き出て堆積する火山現象のひとつです。
周辺には地熱によって冬でも暖かく、雪が積もらない箇所があります。ボッケの周りは動物たちが越冬している地域です。雪の上では、エゾシカ
やキタキツネ・エゾリスの足跡なども見られ、普段気づかないような新しい発見があります。
阿寒湖周辺では冬期間約1mの積雪があり、つぼ足【1】では移動がたいへんです。そこで、圧雪していない雪道を歩くときには、スノーシューや歩くスキーといったツールを使うことになります。
スノーシューや歩くスキーは、阿寒湖畔エコミュージアムセンターで貸し出しを行っているので、散策前に寄ってみてください。レンタル料金が、スノーシューが2時間で大人300円・子ども150円、終日なら大人600円・子ども300円です。歩くスキーは、2時間で500円、終日なら1000円となります。
『ボッケ自然探勝路』をスノーシューや歩くスキーで散策すれば、冬の阿寒の自然をより深く体感できます。そのまま阿寒湖氷上へも行くことができます。
『ボッケ自然探勝路』からスノーシューで阿寒湖の氷上にあがると、この時期ならではの自然が作り出す景色を望むことができます。
完全結氷する阿寒湖ですが、湖底から温泉が湧き出ているために水温が高く、氷が薄かったり、ぽっかりと穴があいていたりする場所があります。これを「湯つぼ」といいます。
湯つぼは阿寒湖の中央と東側に点在していて、はじめて阿寒湖を訪れる方にはなかなか場所の特定が困難です。氷上散策を楽しみたい方は、事前に阿寒湖畔エコミュージアムセンターや漁業関係者に確認することをおすすめします。
ボッケ桟橋付近でも温泉が湧出しており、ここから氷上に降りることはできません。冬の自然散策を楽しく安全に体感するには、自然を知ることが特に大切です。センターなどに問い合わせてみてください。
氷上からの景色は、冬の澄んだ青い空のもと、結氷後に湖上に降り積もった雪が風に吹かれてできる風紋がとても美しく、それでいて自然の厳しささえ感じさせてくれます。また氷上を駆けていくエゾシカの姿を目にすることもあります。
阿寒湖にはいくつかの島があります。探勝路から一番近い島、小島は、普段は立ち入ることができませんが、結氷しているため歩いて渡ることができ、手付かずの自然を間近に見ることができます。
冬ならではの阿寒湖の自然を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
((財)自然公園財団 阿寒湖支部 青木佑磨)
阿寒湖の雰囲気、環境が想像できました。2月16日に阿寒湖に撮影にゆきます。ナイススポットに巡り会えればと期待しております。
(2017.02.14)
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