国立公園雲仙は、火山活動でできた長崎県島原半島の中央部に位置します。温泉街や周辺の山々では、四季折々に美しい自然を楽しむことができます。雲仙の春は、野鳥のさえずりとともにゆっくりと訪れ、ミヤマキリシマや、春の鮮やかで可愛らしい草花が、森の散策を楽しませてくれます。
ミヤマキリシマ(ツツジ科)は4月下旬頃から雲仙地獄周辺から色づき始め、宝原、池の原、そして5月中旬には仁田峠、野岳、妙見岳、国見岳へと咲いていきます。中でも池の原のミヤマキリシマ群落は、国の天然記念物に指定されています。山腹を一面鮮やかなピンク色で彩り、5月連休前後の仁田峠は多くの観光客で賑わいます。
静かに花見を楽しみたい方は、宝原園地がおすすめです。お弁当を広げてゆっくり観賞するには最高なスポットでしょう。
他にも雲仙の温泉街の春を彩る、シロドウダンやネジキもミヤマキリシマと同様ツツジの仲間で、可愛らしい白色の花を咲かせます。地獄地帯のシロドウダン群落も、国の天然記念物に指定されています。
4月下旬から5月中旬、雲仙の山々の岩場や崖地にヒカゲツツジが花を咲かせます。雲仙のツツジの中では最初に咲き始め、淡いクリーム色の清楚な花です。普賢岳、国見岳、九千部、山頂付近付近の岩場でも見ることができますが、野岳では仁田峠から歩いて30分ほどの場所に咲いているので、気軽に見ることができます。
昨年の5月に開通した、普賢岳の新ルートにある立岩の峰では、平成の噴火のよって森林が失われました。それまで気づかれなかった一大群落が、表に顔を出し、一面のヒカゲツツジ大群落を楽しませてくれます。
3月の中旬から、雲仙の山々を巡る自然歩道沿いには春を知らせる花が次々と咲き始めます。温泉街、地獄周辺の歩道では、アオモジやシキミ、ツクシショウジョウバカマ、ウンゼンカンアオイなどが楽しめます。
4月から5月に入ると、幾分標高の高い池の原では、スミレやハルリンドウが群落となり咲き誇ります。
仁田峠からあざみ谷、普賢岳への登山道沿いでは、バイカイカリソウ、タチツボスミレ、エイザンスミレ、ハルトラノオ、ヤマルリソウ、ムラサキケマン、ジロボウエンゴサクなどの色とりどりでとても鮮やかな草花が、登山客を楽しませてくれます。
あざみ谷は、日本森林浴百選に選ばれ、全国的にも知られた野鳥の宝庫です。小止休を兼ねて、バードウォッチングを楽しむこともできます。水場で遊ぶ鳥たちはとても可愛らしく癒されます。
雲仙には、ミヤマキリシマだけではなく、草花を楽しみにたくさんの人が登山や自然散策に訪れ、多くの人で賑わいます。
(一財)自然公園財団 雲仙支部 ふれあい担当員 杉澤恵美
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