知床の自然は、希少種を含む野生生物の生育・生息数がとても多いこと(生物多様性)や、流氷とサケ科魚類を中心とした生き物たちのつながり(生態系)が特徴です。昭和39年に国立公園に指定され、平成17(2005)年から世界自然遺産にも登録されています。
今回は、知床国立公園で一番利用者の多い「知床五湖」をご紹介します。
知床五湖は、年間50万人もの利用者が訪れる景勝地です。今年、2011年の春から新しい散策ルールが導入されました。
知床は野生動物の生息数がとても多い地域です。特にヒグマは、知床五湖のある斜里町内だけで年間およそ800件の目撃情報が寄せられます。5月にはミズバショウの根を食べるため、6?7月は繁殖期のため、ヒグマが遊歩道付近を頻繁に往来します。ヒグマが出没すれば、安全のために遊歩道を閉鎖します。長いときには、何日間も利用できないことがありました。
また、ヒグマの活動が落ち着いてくる8月から秋にかけては、観光シーズンで混雑することや、心ない利用者による植生の踏み荒らしなどが問題となります。歩道・木道を外れて歩く人の影響で、何年も植物が生えなくなってしまうこともあります。
今回導入された知床五湖の新ルールである『新しい、ふたつの歩き方』では、従来の「地上遊歩道」に加えて、「高架木道」を新たに設置して、野生動植物への影響と安全を考慮した利用の方法を定めています。
地上遊歩道の利用は、「ヒグマ活動期(5/10?7/31)」「植生保護期(8/1?10/20)」「自由利用期(10/21?冬期閉園)」という3つの期間に区切っていて、ガイドツアーへの参加や事前レクチャーの受講が必要となる時期があります。
現在(2011年8月)は、「植生保護期」に当たります。紅葉が終わるまでの期間中、眺望のよい「高架木道」と「地上遊歩道(レクチャー受講が必要)」の両方とも、個人で利用することが出来ます。
※知床五湖の旬の自然情報や利用法の詳細については、知床五湖情報ホームページ( http://goko.go.jp/ )でご覧いただけます。
この新しいルールの運用は、地上遊歩道に出没するヒグマと増加する利用者の双方をコントロールするために導入されました(正式名称:自然公園法「利用調整地区制度」)。知床五湖での細かい決まり事として、ヒグマ活動期の地上遊歩道の利用は朝8時から日没まで10分間隔、各回10名まで。植生保護期には一日に3,000人までの利用、などの制限があります。しかも、入場時のレクチャーの受講は、利用するたびに受け直さなければいけません。課題のひとつに、法律の制度上、融通が利かないところがあります。
しかし私は、知床をはじめとする国立公園や世界遺産を楽しむためのひとつの転換期だと思っています。野生動植物に対する安全や配慮についてレクチャーを受けることは、地域の自然環境の保護につながるとともに、より深くその場所を楽しめることでもあると思います。
制度の導入とともに、レクチャー施設(知床五湖フィールドハウス)と休憩施設(パークサービスセンター)が整備されました。レクチャー施設は環境省が設置したのもので、入場前の申し込み手続きやヒグマ出没情報などをお伝えしています。休憩施設は自然公園財団が整備したもので、休憩所や自然情報コーナー、また、展示すペースを備えたサービス施設の拠点となっています。散策の際に是非ご利用ください。
この知床五湖の新しいルールが、知床を含む国立公園や世界遺産を訪れる人々の自然の利用に対する理解と配慮を促すきっかけになればよいなと思っています。
(自然公園財団知床支部 稲葉 梓(イナバアヅサ))
今月五湖に修学旅行でいくので楽しみです
植生保護期にいくので情報ありがとうございまず
(2013.07.19)
知床五湖にはよく遊びに行きます。今年も行きました。新緑の頃が好きです。芽吹きと山々の残雪両方見られて。
レクチャーが義務ずけられて、ゴミが減った気がします。土地の特徴もよりわかった気がしました。
(2011.11.18)
先日知床五湖に行きました。
世界遺産知床らしい取り組みだと思います。
休憩施設には知床が世界遺産になった理由のボードがありました。守らなければならない理由がわかった気がします。
(2011.08.11)
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