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「国立公園Walker」バックナンバー

0132010.05.20UP宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ

花を観るための情報収集を

 「えびの高原のミヤマキリシマの開花はいつですか?」
 綺麗に咲き誇った花を観ていただきたいので少し詳しく訊き返してみると、えびの高原中心部にあるつつじケ丘を訪れる予定とのこと。
 「6月の第一日曜日を目安にして、できれば5月に入ってから再度情報を取ってください」と応える。
 「今年こそ念願が果たせそうです。楽しみにしています」
 そんな遠方からの電話が春先には多くかかってきます。

霧島を代表する花

つつじケ丘のミヤマキリシマを鑑賞する観光客
つつじケ丘のミヤマキリシマを鑑賞する観光客

 霧島の名を冠したミヤマキリシマは、ヤマツツジが高山の環境に適応して変化したと言われます。霧島だけでなく、阿蘇、久住、雲仙など、九州の高山地域の日あたりの良いところに群落をつくって生育しています。
 ヤマツツジに比べると葉や花がやや小型化し、日あたりの良いところでは枝が密に分かれて樹高の生長が抑えられ、自然と庭木の玉物のような丸い樹形となります。枝の先端に2?3個花を付け、5枚の花弁は紅紫色から淡紅色、朱紅色など多彩です。やや小形の花が一面に紅絨毯を敷きつめ霧島の初夏の山々を彩って、多くの登山客や観光客を誘います。まさに霧島山を代表する花です。

霧島連山のミヤマキリシマ

韓国岳から大浪池を望む
韓国岳から大浪池を望む

 霧島では5月中旬頃、標高が低く、陽だまりのよい南斜面の高千穂河原地域から、ミヤマキリシマの開花が始まります。
 その後、高千穂河原園地のツツジコース、中岳・新燃岳(しんもえだけ)、獅子戸岳、高千穂峰、えびの高原・大幡山と移ろい、6月初旬に最高峰の韓国岳(からくにだけ)が開花して霧島連山のミヤマキリシマの終演となります。
 ミヤマキリシマで一面に染まった韓国岳から大浪池(おおなみのいけ)・高千穂峰への眺望は、素晴らしいの一言につきます。

登山基地のえびの高原

 えびの高原は標高1200m。中心部にえびのエコミュージアムセンターと駐車場があり、周辺のレストセンターが利用者の利便性を豊かにしています。
 えびの高原に乗り入れている公共機関は、土日の登山バスに限られます。人々はマイカーやレンターカーなどを使ってこの地を訪れ、韓国岳登山や不動池・六観音御池・白紫池(びゃくしいけ)の三湖池巡りコースを散策して、霧島の四季折々の自然に親しんでいます。

えびの高原の見どころ

硫黄山周辺のミヤマキリシマ。えびの高原でもっとも早い時期に見頃を迎えます。
硫黄山周辺のミヤマキリシマ。えびの高原でもっとも早い時期に見頃を迎えます。

 ミヤマキリシマで彩られるえびの高原の見どころスポットは、中心部に位置するつつじケ丘園地と硫黄山周辺です。
 硫黄山は、噴気活動で地温が高く、陽だまりの斜面となっているため高原内ではもっとも早い5月25日頃から6月初旬が見頃になります。コバルトブルーの不動池とミヤマキリシマのコントラストは、登山客や観光客を楽しませています。
 一方、高原内では低い位置にあるつつじケ丘は冷気が溜まり花芽の生長が遅れるため、硫黄山周辺の見頃が終わりかけてから開花が始まり、6月初旬に見頃を迎えます。
 駐車場に近く、車椅子での移動ができるように園路も一部整備されているので、気軽にミヤマキリシマが満喫できる場所です。

 今や蕾も大きく膨らみ、たくさんの愛好者との出会いを待っています。えびの高原のミヤマキリシマは必ず皆さんの期待に応えてくれることでしょう。

周辺地図
周辺地図(クリックするとPDFファイルが開きます)


((財)自然公園財団えびの・高千穂河原支部 所長 満田宗雄)

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  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
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  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
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  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

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