北海道東部に位置する阿寒国立公園は、大きく北東部にある摩周、屈斜路カルデラ地域と、南西部にある阿寒カルデラ地域に分けられます。
このうち阿寒カルデラ地域は、阿寒湖温泉を中心として、サマッヌケプリから木禽岳、釧北峠、雌阿寒岳、フレベツ岳、鶴見峠、双岳台を通って、阿寒カルデラ外輪がおおむね一周しています。この外輪の内側に、阿寒湖、ペンケトー、パンケトーといった湖と、雄阿寒岳、雌阿寒岳、白湯山などの火山があります。それぞれのポイントには展望所や自然トレイルが整備されている他、マリモで知られる阿寒湖では観光遊覧船が運航されており、多くの観光客に利用されています。
これから初夏にむけての季節は雄阿寒岳や雌阿寒岳登山にはもってこいの季節です。山頂から阿寒カルデラを感じてみてはいかがでしょうか?
雌阿寒岳は阿寒湖の南西に位置する阿寒山群の主峰で、約2万年前から火山活動を開始し、何度も噴火を繰り返して10の山が複雑な山体を形成した複式火山です。
主峰のポンマチネシリは標高1,499mで、約4,000年前にでき、現在も活発な火山活動を続けています。南側の寄生火山である阿寒富士は約2,000年前に誕生しました。
山麓部はエゾマツ、トドマツを中心とした森林に覆われ、標高1,000m付近からハイマツ帯となり、1,100mを過ぎると岩れき地となり、高山植物のお花畑となっています。
雌阿寒岳には、雌阿寒温泉ルート、オンネトールート、阿寒湖温泉ルートの3つのルートがあります。ルートによって距離等は違いますが、もっともポピュラーな雌阿寒温泉ルートの場合、2時間30分ほどで登頂できます。
この時期の登山の楽しみとしては、展望の開けた4合目付近から山頂にかけて見られるメアカンフスマやメアカンキンバイ、コマクサなどの高山植物群です。山頂からは噴煙を上げる火口と阿寒カルデラの景観を一望できます。
雄阿寒岳(標高1,371m)は、阿寒カルデラの中央から、やや北東側に噴出した中央火口丘で、約1万年前にできたといわれています。 標高1,000m付近までは針広混交林の原生林が広がり、1,000m以上はハイマツ帯となります。山頂付近にはミネズオウやイワウメなどの高山植物のお花畑が広がっています。
雄阿寒岳には登山ルートが1つしかなく、阿寒湖に隣接した滝口から登ります。
標高は雌阿寒岳より低いものの、登山口からは標高差が約1,000mで距離も6kmと長く、登山としてはこちらの方が上級者向けです(所要時間 登り3時間20分・下り2時間20分)。
この時期の楽しみとしては、6合目付近で見られるチシマザクラやウコンウツギの開花があります。
7合目付近からは阿寒カルデラの南西側の外輪にあたる雌阿寒岳と遠くに大雪山の山並みが見られ、山頂からは北東側の外輪と眼下にペンケトーやパンケトー、遠方に屈斜路湖や藻琴山などが望めることから、雄阿寒岳が阿寒カルデラの中央火口丘であることが実感できます。
雄阿寒岳・雌阿寒岳登山に関する詳細情報は阿寒湖畔エコミュージアムセンターへお訪ね下さい。(TEL 0154-67-4100)
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一般財団法人自然公園財団 阿寒湖支部 田中政人
わかりやすかったです
(2016.08.30)
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