メインコンテンツ ここから

「国立公園Walker」バックナンバー

0382012.06.26UPカルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!

阿寒カルデラ

阿寒カルデラ
阿寒カルデラ

 北海道東部に位置する阿寒国立公園は、大きく北東部にある摩周、屈斜路カルデラ地域と、南西部にある阿寒カルデラ地域に分けられます。
 このうち阿寒カルデラ地域は、阿寒湖温泉を中心として、サマッヌケプリから木禽岳、釧北峠、雌阿寒岳、フレベツ岳、鶴見峠、双岳台を通って、阿寒カルデラ外輪がおおむね一周しています。この外輪の内側に、阿寒湖、ペンケトー、パンケトーといった湖と、雄阿寒岳、雌阿寒岳、白湯山などの火山があります。それぞれのポイントには展望所や自然トレイルが整備されている他、マリモで知られる阿寒湖では観光遊覧船が運航されており、多くの観光客に利用されています。
 これから初夏にむけての季節は雄阿寒岳や雌阿寒岳登山にはもってこいの季節です。山頂から阿寒カルデラを感じてみてはいかがでしょうか?

阿寒カルデラを望む 雌阿寒岳

雌阿寒岳周辺マップ
雌阿寒岳周辺マップ

 雌阿寒岳は阿寒湖の南西に位置する阿寒山群の主峰で、約2万年前から火山活動を開始し、何度も噴火を繰り返して10の山が複雑な山体を形成した複式火山です。
 主峰のポンマチネシリは標高1,499mで、約4,000年前にでき、現在も活発な火山活動を続けています。南側の寄生火山である阿寒富士は約2,000年前に誕生しました。
 山麓部はエゾマツ、トドマツを中心とした森林に覆われ、標高1,000m付近からハイマツ帯となり、1,100mを過ぎると岩れき地となり、高山植物のお花畑となっています。
 雌阿寒岳には、雌阿寒温泉ルート、オンネトールート、阿寒湖温泉ルートの3つのルートがあります。ルートによって距離等は違いますが、もっともポピュラーな雌阿寒温泉ルートの場合、2時間30分ほどで登頂できます。
 この時期の登山の楽しみとしては、展望の開けた4合目付近から山頂にかけて見られるメアカンフスマやメアカンキンバイ、コマクサなどの高山植物群です。山頂からは噴煙を上げる火口と阿寒カルデラの景観を一望できます。

メアカンフスマ
メアカンフスマ

メアカンキンバイ
メアカンキンバイ

コマクサ
コマクサ

雌阿寒岳山頂から望む阿寒カルデラ
雌阿寒岳山頂から望む阿寒カルデラ

阿寒カルデラの中央火口丘 雄阿寒岳

雄阿寒岳周辺マップ
雄阿寒岳周辺マップ

 雄阿寒岳(標高1,371m)は、阿寒カルデラの中央から、やや北東側に噴出した中央火口丘で、約1万年前にできたといわれています。  標高1,000m付近までは針広混交林の原生林が広がり、1,000m以上はハイマツ帯となります。山頂付近にはミネズオウやイワウメなどの高山植物のお花畑が広がっています。

ミネズオウ
ミネズオウ

イワウメ
イワウメ

 雄阿寒岳には登山ルートが1つしかなく、阿寒湖に隣接した滝口から登ります。
 標高は雌阿寒岳より低いものの、登山口からは標高差が約1,000mで距離も6kmと長く、登山としてはこちらの方が上級者向けです(所要時間 登り3時間20分・下り2時間20分)。
 この時期の楽しみとしては、6合目付近で見られるチシマザクラやウコンウツギの開花があります。

チシマザクラ
チシマザクラ

 7合目付近からは阿寒カルデラの南西側の外輪にあたる雌阿寒岳と遠くに大雪山の山並みが見られ、山頂からは北東側の外輪と眼下にペンケトーやパンケトー、遠方に屈斜路湖や藻琴山などが望めることから、雄阿寒岳が阿寒カルデラの中央火口丘であることが実感できます。

雄阿寒岳7合目付近からの景観
雄阿寒岳7合目付近からの景観

雄阿寒岳山頂からの景観
雄阿寒岳山頂からの景観

 雄阿寒岳・雌阿寒岳登山に関する詳細情報は阿寒湖畔エコミュージアムセンターへお訪ね下さい。(TEL 0154-67-4100)

 ※画像の無断転載はご遠慮ください。

一般財団法人自然公園財団 阿寒湖支部 田中政人

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:5

このレポートへの感想

わかりやすかったです
(2016.08.30)

感想コメントはこちらから

国立公園Walker

「国立公園Walker」トップページ

エコレポ「国立公園Walker」へリンクの際はぜひこちらのバナーをご利用ください。

リンクURL:
http://econavi.eic.or.jp/ecorepo/go/series/8

バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
  52. 052「白根山でリンドウを楽しもう。」
  53. 053「上高地、色彩の秋から初冬へ」
  54. 054「見どころ溢れる秋の十和田湖」
  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

前のページへ戻る