メインコンテンツ ここから

「国立公園Walker」バックナンバー

0512013.07.09UP阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です

阿寒カルデラの自然

 広大な森林や湿地、高山帯や火山を含む山々、阿寒湖を代表とする湖沼群とそれらを支える水系が阿寒カルデラの中に詰まっています。このような自然環境を基盤としてヒグマやオジロワシ、イトウなどのアンブレラ種【1】をはじめ、マリモやニホンザリガニ、ヒメマス、クマゲラなどの希少な生き物が暮らしています。阿寒湖のマリモ【2】は、「丸くなり」「大きく成長し」「群生している」という特徴をもった世界的に見ても大変貴重なマリモです。また、日本百名山の中で「阿寒岳」として紹介されている雄阿寒岳&雌阿寒山塊は比較的新しい山で、高山植生の遷移の途中が見られる面白い山でもあります。

雄阿寒岳
雄阿寒岳

阿寒湖に生育するマリモ
阿寒湖に生育するマリモ

クマゲラ
クマゲラ

クマゲラの飛翔
クマゲラの飛翔

エゾシカの捕獲やザリガニ駆除、からの美味しい料理

ウチダザリガニ
ウチダザリガニ

 素晴らしい自然にあふれる阿寒カルデラですが、近年増えすぎたエゾシカによる植物への被害や、特定外来生物【3】に指定されているウチダザリガニやオオハンゴンソウなどの外来生物が、もともとそこに居た生き物へ悪影響を与えています。エゾシカ料理やウチダザリガニを美味しく食べる事は自然の健全化に強く繋がりますので、阿寒地方に来た際はぜひエゾシカ料理やウチダザリガニ料理を積極的に選んでください。

ウチダザリガニの絶品パエリア
ウチダザリガニの絶品パエリア

エゾシカネットと説明の看板
エゾシカネットと説明の看板

ガッツリとした登山から、ちょっとした散策もできる選択肢の広さ

 阿寒カルデラでは、バラエティー豊かなアウトドア活動が楽しめます。
 比較的上級者向けの雄阿寒岳(951mを6kmで登りきる)をはじめとし、登りやすい雌阿寒岳(876mを4.2kmで登る)、片道1時間半ほどの気楽な白湯山展望台(302mを2kmで登る)や、指定のガイドが同伴することで立ち入ることが許される「湖北の森」や「光の森」などの特別な地域の散策もあります。

雄阿寒岳から見た阿寒湖畔
雄阿寒岳から見た阿寒湖畔

湖北の森内の乙女の滝
湖北の森内の乙女の滝


ボッケ探勝路
ボッケ探勝路

 どなたでも楽しめるオンネトー周辺の散策路や、阿寒湖畔エコミュージアムセンターに隣接する「ボッケ探勝路(ボッケ遊歩道)」、専門ガイドによるカヌーやラフティングなどがお勧めです。

 アウトドアだけでなく阿寒湖温泉や雌阿寒温泉で温泉につかってゆっくり過ごすなど、目的に応じた多彩な選択肢があります。1泊2日はもちろんですが、4?6日の中期滞在こそが最も効果的に阿寒カルデラを満喫できるプランといえるでしょう。
 春の花々にはじまり、夏のアウトドア、秋の紅葉など、季節に応じた自然があります。全国的にアウトドア活性の下がる冬季でも、スノーシューを用いての散策や登山などの他、全面結氷する阿寒湖でのワカサギ釣りやスノーモービル体験など、冬ならではの特別なレジャーを楽しむことができます。

結氷したオンネトー
結氷したオンネトー

美しい雪林
美しい雪林


阿寒カルデラ
阿寒カルデラ

 多様な楽しさがぎゅぎゅっと詰まった阿寒カルデラ、何かのついでにチラ見するだけではなく、阿寒カルデラそのものを目的として一度どっぷり浸かってみてください。

(一般財団法人自然公園財団 阿寒湖支部 愛場結偉)

注釈

【1】アンブレラ種
 個体群維持のために、エサの量など一定の条件が満たされる広い生息地(または面積)を必要とする種を指す概念。これらの種が生育できる環境を保護することで、その傘下にあるほかの種の生育をも保全することができ、生物の多様性が保たれることになるという保全上の戦略的な考え方に基づく。
 地域の生態ピラミッドの最高位に位置する消費者であり、日本ではツキノワグマやヒグマ、オオタカ、イヌワシなど大型の肉食哺乳類や猛禽類がアンブレラ種となることが多い。
【2】阿寒湖のマリモ
 阿寒湖のマリモは、1952年に国の特別天然記念物に指定。大きく美しい球状の集合体を形成する淡水性の緑藻の一種。
 マリモ(毬藻)という名前の通り、球状の集合体を作ることで知られるが、球状体の一つがマリモの一個体ではなく、球状体を構成する繊維状の糸状体が一個体に相当する。国内では、阿寒湖のほかに、北海道や青森県内の湖、富士五湖などに点在して分布。生息環境の条件等によっては、糸状体のまま岩に付着していたり、湖底を漂ったりと多様な生活形態をとる。
【3】特定外来生物
 外来生物(移入種)のうち、特に生態系等への被害が認められるものとして、外来生物法(2004)によって規定された生物。生きているものに限られ、卵・種子・器官などを含む。
 特定外来生物に指定されると、ペットも含めて飼育、栽培、保管又は運搬、譲渡、輸入、野外への放出などが禁止される。

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:2

国立公園Walker

「国立公園Walker」トップページ

エコレポ「国立公園Walker」へリンクの際はぜひこちらのバナーをご利用ください。

リンクURL:
http://econavi.eic.or.jp/ecorepo/go/series/8

バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
  52. 052「白根山でリンドウを楽しもう。」
  53. 053「上高地、色彩の秋から初冬へ」
  54. 054「見どころ溢れる秋の十和田湖」
  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

前のページへ戻る