広大な森林や湿地、高山帯や火山を含む山々、阿寒湖を代表とする湖沼群とそれらを支える水系が阿寒カルデラの中に詰まっています。このような自然環境を基盤としてヒグマやオジロワシ、イトウなどのアンブレラ種【1】をはじめ、マリモやニホンザリガニ、ヒメマス、クマゲラなどの希少な生き物が暮らしています。阿寒湖のマリモ【2】は、「丸くなり」「大きく成長し」「群生している」という特徴をもった世界的に見ても大変貴重なマリモです。また、日本百名山の中で「阿寒岳」として紹介されている雄阿寒岳&雌阿寒山塊は比較的新しい山で、高山植生の遷移の途中が見られる面白い山でもあります。
素晴らしい自然にあふれる阿寒カルデラですが、近年増えすぎたエゾシカによる植物への被害や、特定外来生物【3】に指定されているウチダザリガニやオオハンゴンソウなどの外来生物が、もともとそこに居た生き物へ悪影響を与えています。エゾシカ料理やウチダザリガニを美味しく食べる事は自然の健全化に強く繋がりますので、阿寒地方に来た際はぜひエゾシカ料理やウチダザリガニ料理を積極的に選んでください。
阿寒カルデラでは、バラエティー豊かなアウトドア活動が楽しめます。
比較的上級者向けの雄阿寒岳(951mを6kmで登りきる)をはじめとし、登りやすい雌阿寒岳(876mを4.2kmで登る)、片道1時間半ほどの気楽な白湯山展望台(302mを2kmで登る)や、指定のガイドが同伴することで立ち入ることが許される「湖北の森」や「光の森」などの特別な地域の散策もあります。
どなたでも楽しめるオンネトー周辺の散策路や、阿寒湖畔エコミュージアムセンターに隣接する「ボッケ探勝路(ボッケ遊歩道)」、専門ガイドによるカヌーやラフティングなどがお勧めです。
アウトドアだけでなく阿寒湖温泉や雌阿寒温泉で温泉につかってゆっくり過ごすなど、目的に応じた多彩な選択肢があります。1泊2日はもちろんですが、4?6日の中期滞在こそが最も効果的に阿寒カルデラを満喫できるプランといえるでしょう。
春の花々にはじまり、夏のアウトドア、秋の紅葉など、季節に応じた自然があります。全国的にアウトドア活性の下がる冬季でも、スノーシューを用いての散策や登山などの他、全面結氷する阿寒湖でのワカサギ釣りやスノーモービル体験など、冬ならではの特別なレジャーを楽しむことができます。
多様な楽しさがぎゅぎゅっと詰まった阿寒カルデラ、何かのついでにチラ見するだけではなく、阿寒カルデラそのものを目的として一度どっぷり浸かってみてください。
(一般財団法人自然公園財団 阿寒湖支部 愛場結偉)
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