ジオパークとは、地域の地質と、その上に成り立つ自然や文化を、主な見所とする自然の中の公園のことで、ユネスコの支援により世界各地で推進されています。
現在、日本には20地域のジオパークがあり、そのうち5地域が世界ジオパークとして認定されています。
箱根火山は、世界的にみてもたいへん有名な火山です。豊かな自然と、古くからの歴史を物語る文化遺産もあることから、まさにジオパークにふさわしい地域と言えます。
箱根ジオパーク周辺では、太平洋・北アメリカ・ユーラシア・フィリピン海と名付けられた4つのプレートがひしめき合い、その境界面で火山や地震など様々な地学現象を起こしています。
65万年前に始まった活発な火山活動の結果、多様な火山地形、火山堆積物、火山岩が見られる「火山の博物館」となりました。そして、海岸線から箱根最高峰の神山まで、標高差1,400mの間に、山・湖・川・渓谷・湿原・草原など変化に富んだ自然環境が作り出され、気候も温暖で雨量も多いため、様々な動植物が生息しています。
また、豊富な湯量と、多様な泉質を誇る由緒ある温泉、特色ある地域文化、産業など様々な魅力を持っています。
ここでは、箱根ジオパークの魅力を実感できる、代表的な見所(ジオサイト)を紹介します。
(1)仙石原湿原……湿原に生える様々な植物を観察することができる。かつてこの地にあった湖が、火山活動により埋め立てられて誕生した。
(2)大涌谷……約三千年前に、神山で起きた山体崩壊によって誕生。現在も、熱い水蒸気や火山ガス(おもに硫化水素や二酸化硫黄)の噴気が見られる。
(3)芦ノ湖……約三千年前の神山の山体崩壊で、早川の一部が堰きとめられた結果誕生したカルデラ湖。
(4)箱根関所(国指定史跡)……1619年に徳川二代将軍秀忠が諸大名の謀反に備えるため、芦ノ湖と屏風山の迫る要衝の地に設置(平成19年春に完全復元)。
(5)旧街道石畳(国指定史跡)……東海道の箱根越えを改善するため、江戸時代に幕府により整備された。一部に往時の石畳が保存されている。
ここでは、箱根ジオパークの魅力を実感できる代表的なハイキングコース(ジオツアー)「箱根火山の生い立ちと植物観察のみち」を紹介します。
【コース概要】
芦ノ湖─(10分)─箱根ビジターセンター─(60分)─大涌谷─(60分)─神山─(60分)─駒ケ岳山頂駅─(駒ケ岳ロープウェイ7分)─箱根園駅/所要時間:徒歩3時間10分
箱根ジオパークの魅力を実感できるハイキングコース(ジオツアー)は、他にも外輪山の内側に広がるカルデラの草原を楽しむコースや、東海道一の難所であった箱根旧街道など、まだまだ沢山あります。コースの詳細は、箱根ビジターセンター(0460-84-9981)までお問い合わせください。
みなさんも是非一度、箱根ジオパークを訪れて大地の息吹を体感して下さい。
(自然公園財団箱根支部 石原和美)
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