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「地域の健康診断」バックナンバー

0602026.02.24UP気候変動が生活困難の要因になる

記録的な豪雪の影響と原因

 令和8(2026)年1月8日からの雪は、過去に記録された「三八豪雪」や「五六豪雪」に匹敵する記録的な豪雪となり、多くの雪害が発生しました。
 この「山雪型気圧配置」と言われる豪雪は9年から11年周期でやってくるそうですが、今回の大雪は、単なる「寒い冬」ではなく「地球環境全体のバランスが崩れたことによる二次的な反動」と捉えられています。

 昭和37(1962)年12月末から翌38年2月初めまで北陸地方を中心に起こった雪害「三八豪雪」は、東北から九州の広い範囲で降雪が持続し、福井213cm、富山186cm、金沢181cm、伏木(富山県高岡市)225cm、長岡(新潟県長岡市)318cmを観測しました。主要道から生活道、鉄道は完全にストップし、山間部は孤立しました。この雪が消えたのは7月半ばだったそうです。
 その後、この大雪で孤立を経験した過疎山村集落は、日常生活の維持が困難と判断して「ふるさと」を離れる決断をする人が相次ぎました。
 三八豪雪は、日本人のライフスタイルが「炭から石油へ」「山から町へ」という激変する時期と重なります。当時、山村の主な産業は「炭焼き」でしたが、プロパンガスや灯油の普及により衰退の一途でした。そこに雪害の追い打ちで、「もう山では食っていけない」という諦めの気持ちが集落を覆い、先祖伝来の土地を離れたくないとする集落の長老たちの抵抗があったものの、働き盛りの若者世代や子どもの教育を心配する親世代が主導する形で、集落丸ごとの集団移転(挙家離村)を決意しました。
 昭和55 (1980) 年12月から翌56年3月にかけて日本海側を中心に起こった「五六豪雪」も、やはり「山雪型気圧配置」からの大雪で、上越市高田で251cm、敦賀市で196cm、富山市など軒並み1mを超えました。各地で着雪や強風による送電線の切断、漁船の遭難などが多発し、大雪による鉄道の運休や集落の孤立も相次ぎ、期間中の死者・行方不明者は152人、負傷者は2,000人以上にのぼる大きな被害となりました。

春秋の消滅と山村消滅の危機

 気象庁の「3か月予報(2026年1月20日発表)の解説」によると、向こう3か月の平均気温は全国的に高い見込みとしています。気温が高くなると、1月の豪雪で積もった大量雪が融けて、河川の氾濫や浸水の災害リスクを高めるリスクが生じます。山の地盤や積雪層の状況によっては、雪崩の危険も増していきます。
 こうした春の気温の高まりは、本年だけの一時的な異常でしょうか。前述の3か月予報の解説では、日本周辺の海洋と大気の特徴として、「地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い」としています。
 気象庁が公表した『日本の気候変動2025』では、「日本近海の平均海面水温は、世界平均の2倍を超える割合で上昇している」と報告するとともに、「日本近海の平均海面水温は、今後も上昇し続けると予測される」との将来予測も公表しています。
 日本海は「加湿器」、大陸からの偏西風は「温風機」と、日本列島に冬の豪雪や夏の豪雨をもたらすエネルギー源が巨大なサーキュレーターとなっており、この熱い海水と大気に挟み撃ちにされた日本列島は、春の訪れが早まり、夏が長く過酷になる「二季化」が進むとみられます。春秋がほぼ消失して、1年の大半が「命に関わる暑さ」の夏か、突発的な「ドカ雪」の冬が、これからの日本となるかもしれません。
 事実、昨年は高温が通常より長く続き、秋は一瞬で終わりました。今年も短い春となれば、もはや美しい日本の四季はなくなってしまうかもしれません。
 海の生態系の北上が常態化し、日本近海の魚種も様変わりしています。魚介類の変化と減少は、活況を呈するインバウンドだけでなく、家庭の食文化にも深刻なダメージを与えます。今後もこうした状況が続けば、漁業ひいては日本の食の自給に多大な影響を与えるでしょう。
 もはや地球温暖化によるリスクは、地域の産業や暮らしを脅かす重大事態なのです。

 昭和期の集団移転は、気象と経済が大きな要因となり、住民まるごとで「ふるさと」を棄て廃村に至りました。
 現在はさらに過疎化が進み、従来の支え合う機能が薄れ、地域のコミュニティ維持が困難になりました。今後は、親を施設に入れたり都市部へ迎えたりと、「さみだれ離村」が徐々に進むでしょう。そしていつの間にか集落が消滅していたとする事実が歴史に刻まれるかもしれません。しかし、集落や地域の消滅は、イコール日本の文化の衰退です。
 このまま文化が消えていくことがないように、山村に手を差し伸べることが、個人や家族、そして日本を救う希望になると思います。


ここに小学校があったんだに

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集団離村した飯田市大平宿

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  1. 001「地域を元気にする=観光地化ではない」
  2. 002「地域を元気にする=一村一品開発すればいいわけではない」
  3. 003「地域を元気にする=自ら考え行動する」
  4. 004「縦割りに横串を差す」
  5. 005「集落の元気を生産する「萩の会」」
  6. 006「小学生が地域を育んだ」 -広島県庄原市比和町三河内地区-
  7. 007「山古志に帰ろう!」
  8. 008「暮らしと産業から思考する軍艦島」
  9. 009「休校・廃校を活用する(1)」
  10. 010「休校・廃校を活用する(2)」
  11. 011「アートで地域を元気にする」
  12. 012「3.11被災地のまちではじまった協働の復興プロジェクト」
  13. 013「上勝町と馬路村を足して2で割った古座川町」
  14. 014「儲かる農業に変えることは大切だが、儲けのために農家が犠牲になるのは本末転倒」
  15. 015「持続する過疎山村」
  16. 016「したたかに生きる漁村」
  17. 017「飯田城下に地域人力車が走る」 -リニア沿線の人力車ネットワークをめざして-
  18. 018「コミュニティカフェの重要性」
  19. 019「伝統野菜の復興で地域づくり」 -プロジェクト粟の挑戦-
  20. 020「地元学から地域経営へ 浜田市弥栄町の農村経営」
  21. 021「持続する『ふるさと』をめざした地域の創出に向けて」
  22. 022「伊勢木綿は産業として残す」
  23. 023「北海道最古のリンゴ「緋の衣」」
  24. 024「風土(フード)ツーリズム」
  25. 025「ゆきわり草ヒストリー」
  26. 026「活かして守ろう 日本の伝統技術」
  27. 027「若い世代の帰島や移住が進む南北約160kmの長い村」 -東シナ海に浮かぶ吐喝喇(トカラ)列島(鹿児島県鹿児島郡十島村)-
  28. 028「徹底した子どもへの教育・子育て支援で過疎化の危機的状況を回避(高知県土佐町)」
  29. 029「農泊を再考する」
  30. 030「真鯛養殖日本一の愛媛県の中核を担う、宇和島の鯛(愛媛県宇和島市遊子水荷浦)」
  31. 031「一人の覚悟で村が変わる」 -京都府唯一の村、南山城村-
  32. 032「遊休資産が素敵に生まれ変わる」
  33. 033「福祉分野が雇用と関連ビジネスの宝庫になる」 -飯田市千代地区の自治会による保育園運営の取組-
  34. 034「日本のアマルフィの石垣景観を守る取り組み」 -愛媛県伊予町-
  35. 035「アニメ・ツーリズム」
  36. 036「おいしい田舎「のどか牧場」」
  37. 037「インバウンドの苦悩」
  38. 038「コロナ禍後の未来(1)」
  39. 039「コロナ禍後の未来(2)」
  40. 040「MaaSがもたらす未来」
  41. 041「二人の未来は続いてゆく」 -今治市大三島-
  42. 042「ワーケーションは地域を救えるか」
  43. 043「アフター・コロナの処方箋は地域のダイエット」
  44. 044「ヒトを呼ぶパワー(前編)」
  45. 045「ヒトを呼ぶパワー(後編)」
  46. 046「地域の価値創造」 -サスティナブル・ツーリズム-
  47. 047「廃校活用の未来」
  48. 048「小田原なりわいツーリズム」
  49. 049「地産地消エネルギーで地域自立する」
  50. 050「地域丸ごと地球の学び舎」
  51. 051「廃校活用の可能性と持続可能な社会への貢献(1)」
  52. 052「廃校活用の可能性と持続可能な社会への貢献(2)」
  53. 053「夢にチャレンジできるまち、実現できるまち」
  54. 054「新たな福祉コミュニティ」
  55. 055「「食料・農業・農村基本法」の改正は食料安全保障の強化!?」
  56. 056「香春町採銅所が紡ぐ地域コミュニティ」
  57. 057「水こそ命」
  58. 058「瀬戸内海の環境を守る「山海環(さんかいかん)」の挑戦」
  59. 059「水の国ニッポンを支える「見えない山」」
  60. 060「気候変動が生活困難の要因になる」

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