令和8(2026)年1月8日からの雪は、過去に記録された「三八豪雪」や「五六豪雪」に匹敵する記録的な豪雪となり、多くの雪害が発生しました。
この「山雪型気圧配置」と言われる豪雪は9年から11年周期でやってくるそうですが、今回の大雪は、単なる「寒い冬」ではなく「地球環境全体のバランスが崩れたことによる二次的な反動」と捉えられています。
昭和37(1962)年12月末から翌38年2月初めまで北陸地方を中心に起こった雪害「三八豪雪」は、東北から九州の広い範囲で降雪が持続し、福井213cm、富山186cm、金沢181cm、伏木(富山県高岡市)225cm、長岡(新潟県長岡市)318cmを観測しました。主要道から生活道、鉄道は完全にストップし、山間部は孤立しました。この雪が消えたのは7月半ばだったそうです。
その後、この大雪で孤立を経験した過疎山村集落は、日常生活の維持が困難と判断して「ふるさと」を離れる決断をする人が相次ぎました。
三八豪雪は、日本人のライフスタイルが「炭から石油へ」「山から町へ」という激変する時期と重なります。当時、山村の主な産業は「炭焼き」でしたが、プロパンガスや灯油の普及により衰退の一途でした。そこに雪害の追い打ちで、「もう山では食っていけない」という諦めの気持ちが集落を覆い、先祖伝来の土地を離れたくないとする集落の長老たちの抵抗があったものの、働き盛りの若者世代や子どもの教育を心配する親世代が主導する形で、集落丸ごとの集団移転(挙家離村)を決意しました。
昭和55 (1980) 年12月から翌56年3月にかけて日本海側を中心に起こった「五六豪雪」も、やはり「山雪型気圧配置」からの大雪で、上越市高田で251cm、敦賀市で196cm、富山市など軒並み1mを超えました。各地で着雪や強風による送電線の切断、漁船の遭難などが多発し、大雪による鉄道の運休や集落の孤立も相次ぎ、期間中の死者・行方不明者は152人、負傷者は2,000人以上にのぼる大きな被害となりました。
気象庁の「3か月予報(2026年1月20日発表)の解説」によると、向こう3か月の平均気温は全国的に高い見込みとしています。気温が高くなると、1月の豪雪で積もった大量雪が融けて、河川の氾濫や浸水の災害リスクを高めるリスクが生じます。山の地盤や積雪層の状況によっては、雪崩の危険も増していきます。
こうした春の気温の高まりは、本年だけの一時的な異常でしょうか。前述の3か月予報の解説では、日本周辺の海洋と大気の特徴として、「地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い」としています。
気象庁が公表した『日本の気候変動2025』では、「日本近海の平均海面水温は、世界平均の2倍を超える割合で上昇している」と報告するとともに、「日本近海の平均海面水温は、今後も上昇し続けると予測される」との将来予測も公表しています。
日本海は「加湿器」、大陸からの偏西風は「温風機」と、日本列島に冬の豪雪や夏の豪雨をもたらすエネルギー源が巨大なサーキュレーターとなっており、この熱い海水と大気に挟み撃ちにされた日本列島は、春の訪れが早まり、夏が長く過酷になる「二季化」が進むとみられます。春秋がほぼ消失して、1年の大半が「命に関わる暑さ」の夏か、突発的な「ドカ雪」の冬が、これからの日本となるかもしれません。
事実、昨年は高温が通常より長く続き、秋は一瞬で終わりました。今年も短い春となれば、もはや美しい日本の四季はなくなってしまうかもしれません。
海の生態系の北上が常態化し、日本近海の魚種も様変わりしています。魚介類の変化と減少は、活況を呈するインバウンドだけでなく、家庭の食文化にも深刻なダメージを与えます。今後もこうした状況が続けば、漁業ひいては日本の食の自給に多大な影響を与えるでしょう。
もはや地球温暖化によるリスクは、地域の産業や暮らしを脅かす重大事態なのです。
昭和期の集団移転は、気象と経済が大きな要因となり、住民まるごとで「ふるさと」を棄て廃村に至りました。
現在はさらに過疎化が進み、従来の支え合う機能が薄れ、地域のコミュニティ維持が困難になりました。今後は、親を施設に入れたり都市部へ迎えたりと、「さみだれ離村」が徐々に進むでしょう。そしていつの間にか集落が消滅していたとする事実が歴史に刻まれるかもしれません。しかし、集落や地域の消滅は、イコール日本の文化の衰退です。
このまま文化が消えていくことがないように、山村に手を差し伸べることが、個人や家族、そして日本を救う希望になると思います。

ここに小学校があったんだに

集団離村した飯田市大平宿
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