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「地域の健康診断」バックナンバー

0432021.07.20UPアフター・コロナの処方箋は地域のダイエット

過去の常識は通用しなくなった

 昨年、東京五輪の延期が決定されたとき、五輪が非常事態宣言下で行われるなど誰が想像したでしょう。コロナワクチンの接種が進めばと言う淡い期待は、供給の滞りで見事に消し飛んでしまいました。そのコロナワクチンも抗体は永久ではなく、多くの国民が接種できれば収束に向かうわけでもなく、ずっとマスク着用の「新たな生活様式」は、これからの日常生活になるかもしれません。
 政府内部の「思い込み常識」は国民生活を混乱させる「非常識」が多く、国民から見れば「異常」と言えるような対症療法が山盛りではないでしょうか。
 なぜこのような事態になったのでしょう。設定目標は良かったのですが、科学的データや世界のワクチン情勢などの分析が甘かった上に、国民の自粛に対する慣れと厭世感の拡がりを予測できなかったことに尽きます。
 結果として見通しの甘さに繋がり、非常事態宣言の繰り返しとなってしまいました。2022年には通常に戻るとの観測がありますが、もうコロナ前の日常は訪れません。今まではこうだったから、これからもそのままで良いと言う永遠の常識は存在しないのです。
 このような常識に自分はどっぷり浸かっていないでしょうか。自分の属する組織やコミュニティにも、組織内だけで通用する常識(価値観)はあるでしょうが、これからは「常識だよ」と言われるものは疑って見ないといけません。過去の学びや他地域の事例、さらに自分の考え方も一度リセットする「新たな生活」の時代が来たのです。


現在の地方計画をすべて見直そう

 コロナ禍で日本の産業や医療、教育そして日常が変貌し、人々の生き方や考え方も変わるなど、深く傷ついています。人口問題や過疎、高齢化を始め、すぐには解決できない課題、問題が山積していた地方も負のインパクトは甚大です。
 コロナ前から推進していた地方創生事業は、長期間掛けて治療しなければならない慢性疾患に、麻薬を投与して麻痺させ治癒したかのような錯覚させているように思えます。
 SDGsでは「地球上の誰一人取り残さない」をスローガンに掲げていますが、残念ながら地方は国の生活保護を受けているかのように見えてしまいますし、様々な場面で多くの地域や人が取り残されているのです。
 行政には10カ年の長期計画から地方創生計画をはじめ、福祉、産業、教育、防災ほか様々な計画があり、その計画に沿った事業を進めていましたが、今回のコロナ大厄災で、その空疎な計画は財源を含めて虹の彼方に消えてしまったのです。役所と言う組織内の常識や形式では、目的がどれほど崇高であっても真の受益者である地元住民の腹は満たされないし、地域の生活環境も改善されないことや役所が「役立たず所」と認知される結果となっているのです。
 もともと策定された諸処の計画は、外部に丸投げした結果、綺麗に纏められていても、他の自治体と双子のような計画で、地域に馴染まず空疎な計画になりやすい傾向がありました。
 直面している人口問題は、単なる過疎高齢化の問題だけではありません。地域活性化という、ぼんやりした文言では具体的な行動が取れず、存続不能になる可能性もあるのです。
 今は総合戦略に搭載した事業だけPDCAを回すのではなく、既存事業を再度大胆に見直すことや「ゼロベースで作り直す」ことが重要です。コロナ禍をポジティブに捉えれば、地域が生き残るための最後のチャンスがきていると言えます。
 その際の基本的考え方は、「どのような手段で」「どのようなことを実現」し、住民の所得向上を図るか。そして「どのような地域社会にしたいのか」を明確に分かりやすく表現することが大切です。

リバウンドしないダイエットをしよう

 ニューノーマルの地域モデルを創造するには、自然との因果関係は絶対に忘れてはいけません。熱海市の悲しい災害は、自然の営みを破戒する開発が一因です。地球環境に対して、環境破壊をもたらした近代的パラダイムを変革するきっかけとすることを、計画の根本精神として貫くことが大切です。
 わかっていても変えられなかった人や組織、コミュニティをリセットし再起動するには、自然と向き合い共生するサスティナブルな営みをどのように創るかの視点が大切です。
 以前から都市と地方だけでなく行政区の中でも格差は拡がっていたところにコロナウイルスという人類の敵が現れました。
 人の移動に交流や対話を抑制するコロナウイルスは、マーケットの縮小はもちろん様々な問題が深刻化しています。
 新たな計画ではアフター・コロナで「どのような地域」を目指すのかと言う地域の羅針盤を創ることです。そこには地域の新しい価値を創造するイノベーションが求められるでしょう。
 地方は様々な甘い助成制度で思わぬバブルとなり、糖質オーバーで太りぎみです。せっかくコロナ禍で痩せたのですから、これからは国から落ちてくるアメに頼ることなく、太りにくい生活習慣を身に付けて痩せた体をリバウンドさせないことが大切です。さらにリバウンドさせないために「地域の体重計」を作り、完全に抑制できたかの見極めも必要です。
 何をなぜ、どのようにを考える中で、次の時代に何を残すか、今の歴史を生きる自分たちの使命です。

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バックナンバー

  1. 001「地域を元気にする=観光地化ではない」
  2. 002「地域を元気にする=一村一品開発すればいいわけではない」
  3. 003「地域を元気にする=自ら考え行動する」
  4. 004「縦割りに横串を差す」
  5. 005「集落の元気を生産する「萩の会」」
  6. 006「小学生が地域を育んだ」 -広島県庄原市比和町三河内地区-
  7. 007「山古志に帰ろう!」
  8. 008「暮らしと産業から思考する軍艦島」
  9. 009「休校・廃校を活用する(1)」
  10. 010「休校・廃校を活用する(2)」
  11. 011「アートで地域を元気にする」
  12. 012「3.11被災地のまちではじまった協働の復興プロジェクト」
  13. 013「上勝町と馬路村を足して2で割った古座川町」
  14. 014「儲かる農業に変えることは大切だが、儲けのために農家が犠牲になるのは本末転倒」
  15. 015「持続する過疎山村」
  16. 016「したたかに生きる漁村」
  17. 017「飯田城下に地域人力車が走る」 -リニア沿線の人力車ネットワークをめざして-
  18. 018「コミュニティカフェの重要性」
  19. 019「伝統野菜の復興で地域づくり」 -プロジェクト粟の挑戦-
  20. 020「地元学から地域経営へ 浜田市弥栄町の農村経営」
  21. 021「持続する『ふるさと』をめざした地域の創出に向けて」
  22. 022「伊勢木綿は産業として残す」
  23. 023「北海道最古のリンゴ「緋の衣」」
  24. 024「風土(フード)ツーリズム」
  25. 025「ゆきわり草ヒストリー」
  26. 026「活かして守ろう 日本の伝統技術」
  27. 027「若い世代の帰島や移住が進む南北約160kmの長い村」 -東シナ海に浮かぶ吐喝喇(トカラ)列島(鹿児島県鹿児島郡十島村)-
  28. 028「徹底した子どもへの教育・子育て支援で過疎化の危機的状況を回避(高知県土佐町)」
  29. 029「農泊を再考する」
  30. 030「真鯛養殖日本一の愛媛県の中核を担う、宇和島の鯛(愛媛県宇和島市遊子水荷浦)」
  31. 031「一人の覚悟で村が変わる」 -京都府唯一の村、南山城村-
  32. 032「遊休資産が素敵に生まれ変わる」
  33. 033「福祉分野が雇用と関連ビジネスの宝庫になる」 -飯田市千代地区の自治会による保育園運営の取組-
  34. 034「日本のアマルフィの石垣景観を守る取り組み」 -愛媛県伊予町-
  35. 035「アニメ・ツーリズム」
  36. 036「おいしい田舎「のどか牧場」」
  37. 037「インバウンドの苦悩」
  38. 038「コロナ禍後の未来(1)」
  39. 039「コロナ禍後の未来(2)」
  40. 040「MaaSがもたらす未来」
  41. 041「二人の未来は続いてゆく」 -今治市大三島-
  42. 042「ワーケーションは地域を救えるか」
  43. 043「アフター・コロナの処方箋は地域のダイエット」
  44. 044「ヒトを呼ぶパワー(前編)」

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