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「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー

0312026.04.08UPオーストラリアを縦断する豪華寝台列車 「ザ・ガン」で広大な大陸を体感

 日本の約20倍もの大きさを誇るオーストラリア大陸のど真ん中を走る大陸縦断鉄道「ザ・ガン」。
 豪華寝台列車に乗ってのんびりと旅するのは、一生の思い出になるはずです。


オーストラリア大陸縦断列車「ザ・ガン」号。©Miki Hirano

オーストラリア大陸縦断列車「ザ・ガン」号。
©Miki Hirano

車体につけられたシンボルのラクダが目印。©Miki Hirano

車体につけられたシンボルのラクダが目印。
©Miki Hirano


アデレードからダーウィンまで「ザ・ガン」の旅。


ザ・ガンとは?

 1800年代に始まったオーストラリア中央部の開拓時には、アフガニスタンなどから輸入されたラクダが、南の町から大陸中央部へ物資を運ぶための運搬手段として活躍しました。このラクダを使って運んだルートに沿って、1929年に鉄道が開通。開拓の功労者であった彼らに敬意を表して、列車に「アフガン・エクスプレス」と名付け、後にアフガンを略した「ガン」の愛称で呼ばれるようになったのが「ザ・ガン」の始まりだそうです。

 開通当時は、南のアデレードからアリス・スプリングス(当時の町名はスチュアート)までの約1,500kmでしたが、現在は、アデレードから北の玄関口ダーウィンまでを結ぶ、全長2,979kmの大陸縦断鉄道となっています。

 ただ、こうした現代の華やかな観光列車の影で問題となっていることもあります。それは、当時、運搬に使われていたラクダが鉄道開通により不要になったため、放置され、野生化してしまったこと。もともとオーストラリア大陸には存在しなかった外来種のラクダが野生化し、天敵がいないこの土地で個体数が激増してしまいました。そのため、定期的に駆除せざるをえない事態となっています。

 ラクダは、背中のこぶに蓄えた脂肪のおかげで水がほとんどなくても生きられるため、乾燥したオーストラリア中央部の気候に適合しやすかったことが繁殖した要因ですが、完全に水が不要というわけではなく、水源を見つけるために群れが集落へ押し寄せたり、大量に水を消費して水源を汚染したりすることが問題となっています。また、草食のため、カンガルーをはじめとする固有種と食べ物で競合している上、牛や羊などの家畜の群れに遭遇すると攻撃的になることも、駆除対象とされる理由のひとつでもあるそうです。


アリス・スプリングスの駅にある「ザ・ガン」由来のラクダ像。©Miki Hirano

アリス・スプリングスの駅にある「ザ・ガン」由来のラクダ像。©Miki Hirano

オーストラリア中央部には不要になって放置され、野生化したラクダも多く、ラクダ牧場もある。©Miki Hirano

オーストラリア中央部には不要になって放置され、野生化したラクダも多く、ラクダ牧場もある。
©Miki Hirano


オールインクルーシブのクルーズ・トレイン

 「ザ・ガン」は、行程中のすべての食事や飲み物、途中下車で体験できるエクスカーションが含まれたオールインクルーシブのクルーズ・トレインとして運行されています。厳選されたオーストラリアならではの食材を使った料理と、オーストラリア産の上質なワインなどが飲み放題なのも人気が高い理由のひとつだとか。

 現在運行されているのは、2,979kmの全線を走破するコース(2泊3日または3泊4日)と、アデレードまたはダーウィンからアリス・スプリングスまでの約半分を旅するコース(1泊2日)の2パターンがあり、世界中からこの列車に乗るためだけにやってくる人が絶えないほどの人気列車となっています。


ザ・ガン号の食堂車。©Miki Hirano

ザ・ガン号の食堂車。©Miki Hirano

食事は2品または3品のコース料理。©Miki Hirano

食事は2品または3品のコース料理。©Miki Hirano


夕食を終えてキャビンに戻ると座席がベッドに早変わり。(©Miki Hirano)

夕食を終えてキャビンに戻ると座席がベッドに早変わり。
©Miki Hirano


ザ・ガンの魅力

 ザ・ガンは、地中海性気候に属し、歴史的な街並みが残る南のアデレードから乾燥した砂漠気候のオーストラリア中央部を通り、熱帯気候のトロピカルな雰囲気のダーウィンまで、まったく異なる気候の地域を結ぶ鉄道です。こうした自然環境が変わっていく様子を車窓から楽しめるのが、この列車の一番の魅力といえるでしょう。

 例えば、最長の3泊4日コースに乗車した場合、北のダーウィンから出発するとヤシの木などの熱帯植物が生い茂る緑豊かな風景が、徐々に赤茶けた乾燥地帯へと変わっていきます。そして、さらに南下していくと、今度はなだらかな丘陵地帯や牧草地へと変わり、歴史的建造物が立ち並ぶ南オーストラリア州の州都・アデレードへと到着。このように地域によってまったく異なる気候帯が存在する広大な大陸を 移り変わる車窓の風景と共に、肌で感じることができます。

 列車はオーストラリア大陸のちょうど真ん中あたりを通り、以前、このコラムでもご紹介した湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つノーザンテリトリー準州とオーストラリアを代表するワイン産地を有す南オーストラリア州を結んでいます。ルート上では、こちらも以前ご紹介した世界でも珍しい地下都市「クーバーペディ」を通りますので、全線を通しで乗車する場合は、下車して観光するアクティビティも体験できます。

【参考】湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つ準州 -ノーザンテリトリー準州-
【参考】地球が生んだ七色の宝石と過酷な環境で暮らす地下都市・クーバーペディ

 クーバーペディ以外にもモンスーン気候が育んだ熱帯雨林と壮大な渓谷美が素晴らしい「ニトミルク国立公園(キャサリン渓谷)」など、何ヶ所か途中下車してエクスカーションが体験できます。アリス・スプリングスでは、日帰りで世界遺産のウルルに行くオプション(追加料金)も選択可能です。

【参考】その昔は海だった!? 5億年以上前の地球を目の当たりにする、ウルル-カタジュタ国立公園

 このように、この列車では異なる地域の自然環境を体験、満喫できるのもうれしいところ。列車内とは思えないほど豪華でおいしい食事ももちろん、楽しみの一つに違いありません。ザ・ガン号は、オーストラリアを走る長距離列車の中で最も人気が高く、1年以上先まで予約がとれない日も多いため、乗りたい!と思ったらすぐに行動するのがおすすめです。

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バックナンバー

  1. 001「知っているようで、意外と知らないオーストラリアという国。」
  2. 002「自然環境を大きく変えるグレートディヴァイディング山脈」 -ニューサウスウェールズ州-
  3. 003「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林」 -クイーンズランド州-
  4. 004「コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’」 -ビクトリア州-
  5. 005「原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島」 -タスマニア州-
  6. 006「乾燥と寒暖差を利用した世界屈指のワイン産地」 -南オーストラリア州-
  7. 007「インド洋に沈む夕日と独自の生態系が見られる資源の宝庫」 -西オーストラリア州-
  8. 008「湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つ準州」 -ノーザンテリトリー準州-
  9. 009「二大都市間に計画的に造られた政治の中枢都市」 -キャンベラ首都特別地域-
  10. 010「その昔は海だった!? 5億年以上前の地球を目の当たりにする、ウルル-カタジュタ国立公園」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  11. 011「地球にとって重要な“古生物”が現生するシャーク湾」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  12. 012「地球が生んだ七色の宝石と過酷な環境で暮らす地下都市・クーバーペディ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
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  31. 031「オーストラリアを縦断する豪華寝台列車 「ザ・ガン」で広大な大陸を体感」

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