「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー
日本の約20倍というオーストラリア大陸北東部の約4分の1を占めるクイーンズランド州。オーストラリアでは二番目に大きな面積を誇り、ゴールドコーストやケアンズ、ブリスベン、そして、世界遺産のグレートバリアリーフといった日本人にも馴染み深い観光地がいくつも点在する州です。
“サンシャイン・ステート(太陽の州)”という別名で呼ばれるほど、州の南部はとくに晴天率が高く、オーストラリア国内でも太陽がサンサンと降り注ぐ州というイメージが定着しています。
州の東沿岸には世界最大の珊瑚礁「グレートバリアリーフ」が連なり、海沿いには美しいビーチが点在しているクイーンズランド州。前回のニューサウスウェールズ州の北側に位置しており、より赤道に近くなるため、沿岸部の気候は熱帯から亜熱帯となります。
そのため、北へ行くほど湿潤な熱帯地方独特の気候になるため、夏は、北部は特に蒸し暑くなり、サイクロン(南半球の台風)が発生することもあります。冬は、北部は湿度も下がり、過ごしやすい気温で快適ですが、南部は若干乾燥した空気に変わり、夜間の気温がグッと下がるなど、昼夜の気温差が激しいのが特徴です。
クイーンズランド州も前回ご紹介したグレートディヴァイディング山脈(大分水嶺山脈)が南北に横たわり、環境を大きく変えています。州の北部は、山脈を越えると乾燥したサバナ(サバンナ)気候となり、南へ行くにつれて、より乾燥した砂漠気候へと変化します。
州の北東部には、グレートバリアリーフに代表される珊瑚礁が育つ温かい海が広がっています。そのため、温かい海からの湿った空気が流れ込み、グレートディヴァイディング山脈にぶつかって、広大な雨林が形成されています。
クイーンズランド州北東部の熱帯雨林は、1億2千?3千5百万年前頃に形成されたといわれる世界最古の森。世界遺産にも登録され、白亜紀から命を繋いできたこの森には、世界最古のソテツをはじめとする約3,000種類もの熱帯植物が生い茂り、現在でも毎年のように新種の植物や昆虫などが発見されています。
また、この熱帯雨林とその周辺エリアには、「ストライプドポッサム」や「キノボリカンガルー」など、オーストラリア国内でも他では見られない珍しい有袋類が生息しています。面白いことに、その一部は、海を隔てたニューギニア諸島に共通の種をみることができます。これは、その昔、オーストラリア大陸とニューギニア諸島が繋がっていた証とされ、地球上の生物地理区において、ニューギニアが「オーストラリア区」に区分される所以となっています。
海へ目を向けると、温かい海水域を好む「ジュゴン」も生息しています。クイーンズランド州沿岸部を本拠地とした先住民アボリジニによる狩りで個体数が減少してしまいましたが、現在は狩りが制約・限定されたため、個体数は若干回復しているそうです。
クイーンズランド州内は、かなり広範囲にコアラが生息しています。最北はタウンズビル沖のマグネティック島から、南部のゴールドコースト近郊まで、南北約1200kmに渡る沿岸部のエリアに生息域が点在しているのが特徴です。
しかも、オーストラリア第三の都市である州都ブリスベン近郊は、都会に暮らすコアラ営巣地としては国内最大級。ブリスベンの南東20kmに渡る沿岸部は、コアラ・コースト(コアラ海岸)と呼ばれているほどです。近年の宅地開発で生息域が分断されたり、棲家であった森が伐採されてしまったことで、個体数は年々減少していますが、2014年の調査ではブリスベン市管轄のエリアだけでも639頭と、今もコアラと人間が共存する重要なエリアであることがわかりました。
州内では、世界最古の熱帯雨林やゴンドワナ多雨林群として世界遺産にも登録されている豊かな森、そして、内陸部に広がる乾燥した大地など、異なる環境を生息域とする多様な鳥類が見られることから、バードウォチング天国としても知られています。
日本でもペットとして人気の「セキセイインコ」や「オカメインコ」は、オーストラリア内陸部が原産。乾燥した砂漠気候となるクイーンズランド州西部でも大きな群れを見ることができます。また、クイーンズランド州北部でしか見られない恐竜時代の生き残りとも言われる「ヒクイドリ」の他、「ゴウシュウツル」や「セイタカコウ」などの大型鳥類も見られ、州全域では630種もの鳥類が生息していることが確認されており、国内で二番目に多くなっています。
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