メインコンテンツ ここから

「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー

0222022.02.15UPオーストラリアの研究から見る、トンガの火山噴火。なぜ巨大規模噴火になったのか?-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-

シドニーまで響いたトンガ海底火山噴火の爆発音

 1月15日土曜日、トンガ諸島の海底火山が噴火しました。約30キロメートルにも及ぶ巨大な噴煙を吹き上げ、近隣国であるオーストラリアやニュージーランドだけでなく、太平洋沿岸の広範囲の国々で、津波や潮位上昇が確認されました。

キャプ日本の気象衛星ひまわり8号がとらえたトンガの火山噴火 © ひまわり衛星プロジェクトション

日本の気象衛星ひまわり8号がとらえたトンガの火山噴火 © ひまわり衛星プロジェクト

トンガ共和国ヴァヴァ諸島南部のヌク島。 © Msdstefan - Wikipedia CC BY-SA 3.0

トンガ共和国ヴァヴァ諸島南部のヌク島。 © Msdstefan - Wikipedia CC BY-SA 3.0


 トンガ諸島は、日本も含まれている「リング・オブ・ファイア」と呼ばれる環太平洋火山帯上にあり、太平洋プレートとインド-オーストラリア・プレートの境界に位置しています。また、オーストラリアにとってトンガという国は、同じ南太平洋にある近隣国であり、豪国内ラグビーチームにもたくさんのトンガ人選手が活躍していますし、一般市民にとっても、パンデミック前は、ポピュラーなホリデー旅行先として、身近な国のひとつです。

「リング・オブ・ファイア」と呼ばれる環太平洋火山帯。(Wikipediaより)

「リング・オブ・ファイア」と呼ばれる環太平洋火山帯。(Wikipediaより)

 シドニーからは、約3,500キロメートル北東方向に位置していますが、トンガとの間には、南太平洋の大海原が広がり、途中に陸地や島は一切ありません。噴火した当日はシドニー北部海沿い地区の自宅にいたのですが、噴火があったとされる時間とかなり近い時間に、爆発音らしきものが聞こえました。まさか、ここまで音が届くとは思いもよらなかったのですが、翌日、9,400キロメートルも離れたアラスカでも聞こえたと知り、あの音がトンガの噴火であったとほぼ確信しました。それにしても、地球は意外と狭いのだなぁと、驚いてしまう出来事でした。

 (この体験については、「トンガ海底火山噴火の爆発音がシドニーで聞こえた !?」に書いていますので、よかったらご一読ください。)


 トンガの海底火山噴火による被害状況については、まだ明らかになっていませんが、広範囲への降灰と津波による被害が甚大であったことが、衛星画像からわかってきました。この地区では、これまでも頻繁に噴火を繰り返していますが、今回の噴火は、1,000年に一度の大規模なものであったと言われています。
 なぜ、このような大規模な噴火に繋がったのでしょうか?
 詳細については、今後の調査が待たれますが、オーストラリアの火山学者たちが、現状から考えられる要因を解説していたので、ご紹介します。


1,000年に一度の大規模噴火になった要因として考えられること

 今回、噴火したのは「フンガトンガ-フンガハアパイ火山」といい、プレート境界の沈み込み火山として知られています。
 メルボルンにあるモナシュ大学が、トンガで2009年に起こった火山噴火を調べたところ、溶岩堆積物の中に強力な爆発成分となる化学物質が含まれていたことがわかったそうです。噴火時に、シャンパンを開ける時に栓がポンと勢いよく飛ぶように、マグマ中の高濃度の加圧水蒸気とガスの圧力が突然解放され、ガスが爆発的に膨張します。これによってマグマや溶岩が吹き飛ばされる際、この化学物質のせいで、より強力な爆発になった可能性が高いといいます。

 また、もうひとつの要因として考えられるのが、噴火口が海底にあったことです。クイーンズランド工科大学のチームが、1月6日から今回の大規模噴火の2時間前までの映像を分析したところ、最近、度々小規模噴火を繰り返していた時には、水面上に見えていた噴火口の円錐状の部分がなくなっていたことが確認されました。このことから推測されるのは、大規模噴火の前に起こった小さな噴火が、円錐を吹き飛ばしたのではないかということ。そして、蓋が外れたような状態となった噴火口に、海水が一気に流れ込んだことが、大規模噴火の触媒となったのではないかというのです。これは、マグマの熱に水が接触すると、水が急速に弾けて蒸気化し、爆発的な相互作用が発生するためです。

 ただし、調査に入れない段階では、不透明な部分が多く、まだ結論づけることはできません。今後の調査で、徐々に被害の全容や環境への影響など、いろいろなことがわかってくると思いますが、少なくともこれから数年に渡って、地球の天候や気候に影響を与えるのではないかと懸念されるほど、インパクトの大きい火山噴火であったことは間違いありません。

大きな太平洋プレート(中央ピンク色)と左側のインド-オーストラリア・プレート(水色)に挟まれたトンガ諸島。(Wikipediaより)

大きな太平洋プレート(中央ピンク色)と左側のインド-オーストラリア・プレート(水色)に挟まれたトンガ諸島。(Wikipediaより)

トンガ諸島部分を拡大。(Wikipediaより)

トンガ諸島部分を拡大。(Wikipediaより)


 また、リング・オブ・ファイア上には、他にもたくさんの火山がありますが、専門家によると、1つの噴火が他の火山の噴火を促進することはないそうです。とはいえ、現在も活発な火山活動が続いており、過去には、1年強に渡って噴火が続いたこともあるとのことです。近隣国であるオーストラリアも、津波や灰などの影響が心配されるため、しばらくは、注意深く見守っていくことになりそうです。そして、なによりも、トンガの一日も早い復興を願ってやみません。

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:4

このレポートへの感想をお送りください。
投稿いただいた感想は事務局チェック後に掲載されます。

ニックネーム
感想
 
送信する入力内容クリア
オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!

「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」トップページ

エコレポ「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」へリンクの際はぜひこちらのバナーをご利用ください。

リンクURL:
http://econavi.eic.or.jp/ecorepo/go/series/50

バックナンバー

  1. 001「知っているようで、意外と知らないオーストラリアという国。」
  2. 002「自然環境を大きく変えるグレートディヴァイディング山脈」 -ニューサウスウェールズ州-
  3. 003「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林」 -クイーンズランド州-
  4. 004「コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’」 -ビクトリア州-
  5. 005「原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島」 -タスマニア州-
  6. 006「乾燥と寒暖差を利用した世界屈指のワイン産地」 -南オーストラリア州-
  7. 007「インド洋に沈む夕日と独自の生態系が見られる資源の宝庫」 -西オーストラリア州-
  8. 008「湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つ準州」 -ノーザンテリトリー準州-
  9. 009「二大都市間に計画的に造られた政治の中枢都市」 -キャンベラ首都特別地域-
  10. 010「その昔は海だった!? 5億年以上前の地球を目の当たりにする、ウルル-カタジュタ国立公園」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  11. 011「地球にとって重要な古生物が今も生き続けるシャーク湾」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  12. 012「地球が生んだ七色の宝石と過酷な環境で暮らす地下都市・クーバーペディ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  13. 013「自然界の偶然が生んだ奇跡の楽園!不思議な世界最大の砂島・フレーザー島」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  14. 014「砂漠地帯に残された氷河期の人類の足跡・ウィランドラ湖群地域」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  15. 015「オーストラリア史上最悪の森林火災はなぜ起きたか」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  16. 016「大規模森林火災でコアラ数万頭が犠牲になったカンガルー島」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  17. 017「世界一幸せな動物“クオッカ”が棲むロットネスト島」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  18. 018「驚くほど白い砂はなぜそこにあるのか?謎に包まれた純白の砂浜・ホワイトヘブン・ビーチ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  19. 019「はやぶさ2が帰還した、何千年も前から変わらぬ風景が広がるウーメラ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  20. 020「地球上の植物の歴史と進化を垣間見る、世界遺産ブルー・マウンテンズ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  21. 021「コロナ禍の観光客減によるグレート・バリア・リーフへの影響」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  22. 022「オーストラリアの研究から見る、トンガの火山噴火。なぜ巨大規模噴火になったのか?」-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  23. 023「グレートバリアリーフの取り組みから考えるサンゴ礁の保全 ~豪州と日本を繋ぐ公開授業」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  24. 024「豪雨がもたらす様々な被害、感染症と食糧不足の懸念」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-

前のページへ戻る