「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー
全長約2,300km、大小約3,000ものサンゴ礁で構成された、地球上最大の生命集合体とされるグレートバリアリーフ。日本とほぼ同じ面積の34万4400km2を誇る巨大なサンゴ礁の海「グレートバリアリーフ海洋公園」には、1,000以上の島々が点在しています。
そのなかでも74の島が隣接しているウィットサンデー諸島一帯は、サンゴ礁としてのグレートバリアリーフの魅力もさることながら、それぞれ個性的な島の魅力が際立つエリアです。
欧米の旅行雑誌や旅行サイトで行われる「世界で最も美しいビーチ」や「世界最高のビーチ」ランキングで、常に上位に名前があがるクイーンズランド州のホワイトヘブン・ビーチ。ウィットサンデー諸島最大の島でその名の由来となった「ウィットサンデー島」にあり、世界中から観光客が訪れます。島は全体が国立公園に指定され、現在は無人島となっています。
きめ細かい白砂が7kmにも渡って続くこのビーチは、海の青と島を覆う緑に、純白の海岸線が鮮やかなコントラストを描き、夢のように美しい絶景が広がっています。そして、「白い天国」を連想させる「ホワイトヘブン」という名称【1】も相まって、訪れた人々を虜にしてしまうのも頷けるほどの美しさです。
白い砂は、ビーチに接続する「ヒル・インレット」と呼ばれる入江から海へ流れ出て、潮の満ち引きに伴って、白い砂が青い海に流れ出た際に波状の砂紋を描き、白と青のモザイクアートのような素晴らしい光景を見せてくれます。
ヒル・インレットから流れ出る大量の白い砂は、ホワイトヘブン・ビーチへと続いていきますが、このビーチを構成している白い砂は、98%が純粋なシリカ(二酸化ケイ素)でできています。シリカは、ガラスの原料にもなる「石英」が最も一般的で、英語ではquartzクォーツと呼ばれ、その中でも無色透明なものは水晶として知られている鉱物です。しかし、この島(ウィットサンデー島)にはもちろん、周辺地域にも石英はありません。
それでは、この驚くほど白く、ほぼ純粋なシリカでできた砂はどうしてここにあるのでしょうか?
この砂がどこから来たのかについては、多くの地質学者が調査・研究を行っているものの、「これだ!」と確定できるだけの証拠はまだ見つかっていません。長年に渡り、諸説が唱えられてきた中で、現在、最も有力なのが、砂が海流に乗って、クイーンズランド州沿いに北上し、この場所に運ばれてきたという説です。
この仮説では、まず、何百万年もの年月をかけて削られた大陸の石英が、海に流出。海流に乗って運ばれてウィットサンデーにたどり着いた末、サンゴの死骸や貝殻等が細かく砕かれたものなどが混じりながら堆積していきました。そして、氷河期に伴う海面の上昇と下降が繰り返され、島から流れ出た淡水がホワイトヘブンの砂から不純物を洗い流す形となり、ほぼシリカだけが残った…というのです。
ホワイトヘブン・ビーチのほぼシリカが成分の白砂は、パウダーのように極めて細かく、携帯電話やカメラなどの電子機器に付着すると損傷する恐れがあるそうですので、この場所を訪れる際は、電子機器の取り扱いにくれぐれもご注意を。
何百万年もの年月をかけて自然が造り上げた“純白の砂浜”、ホワイトヘブン・ビーチ。文明の利器をひとまず忘れて、太古の大自然を肌で感じてみたい…そんな場所です。
行ってみたくなりました
(2022.03.02)
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