「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー
世界で一番小さな大陸、オーストラリア。知らない人はいないというくらい、日本でもよく知られた国ですが、ひとつの国として括ることができないほど、エリアによって気候や生態系に大きな違いがあることを知っている人はそれほど多くはないかもしれません。
オーストラリアの総人口は、日本の5分の1ほどの約2,400万人でありながら、国土面積は日本の約20倍! 大陸としては世界最小ながら、その広大な国土には、寒帯(亜寒帯を含む)を除いた地球上でみられるほとんどの気候帯が存在しています。
大まかに分類すると、北部地域はトロピカルな植物が自生する熱帯気候。大陸中間部から南にかけての海沿いの地域は、一年を通して温暖な亜熱帯気候から四季がはっきりと感じられる温帯気候へと変わっていきます。そして、内陸中央部は、乾燥帯気候に属します。
また、ご存じのように、オーストラリアは、南半球に位置しているため、日本とは季節が逆。ですが、上で述べたように様々な気候帯が混在するため、一概に、日本が夏の時に冬、冬の時には夏というわけではありません。
例えば、南半球の冬の時期でも、赤道寄りの北部では半袖で過ごせるほど暖かく、ビーチでは海水浴が楽しめます。ところが、そのまま南へ直線距離で2,000kmほど移動すれば、海水浴をした直後に雪山でスキーができるほどの差があるのです。日本なら同じ時期であれば全国で共通に認識できる「四季」の概念が、広いオーストラリアでは当てはまりません。
オーストラリアでは、バラエティに富んだ自然環境の中で他の大陸には見られない固有の植物や動物たちが育まれてきました。
最北東部の熱帯地域には、キャノピー(林冠)と呼ばれる高く生長した樹木が生い茂る世界最古の熱帯雨林が広がり、約3,000種もの植物と森での暮らしに適応した動物や鳥、昆虫類などが多く生息しています。一方、内陸部の乾燥帯地域では、背が低く、地べたに張りつくような植物や、水分の少ない環境でも生きられるタイプの爬虫類が多く生息しています。地域の気候によってずいぶんと生態系が異なるのも、この国の大きな特徴です。
オーストラリアには現在、270種を超える哺乳類、830種を超える爬虫類、850種を超える鳥類、そして、140,000種を超える昆虫類が確認されています。これは、全世界の生物多様性の約1割にもなると言われています。しかもその多くはオーストラリア固有種が占めているのです。
誰もが知っているオーストラリアを代表する動物コアラ。ですが、オーストラリア大陸のどこにでも生息しているわけではありません。コアラが餌として食べるユーカリは、大陸に広く分布するオーストラリアの代表的な植物ですが、気候によって自生するユーカリの種類は異なります。コアラの生息地は、好みのユーカリが生い茂る場所のみに偏っているのです。
現在、野生のコアラの生息域は、オーストラリア大陸の南東部を中心に点在し、中央部や西部では見ることができません。また、太古の時代に大陸から分離したタスマニア島にも生息していません。さらに、同じコアラでも、生息域の南と北では、食べるユーカリの種類が異なり、見た目も若干違っています。南でみられるコアラは、北のコアラに比べて体毛が長めで、寒さに強くなっているようです。
このように地域によって異なるオーストラリアの自然環境と生態系にスポットを当てて、次回からは、州ごとにその特徴を紹介していきたいと思います。
勉強にやくだった
(2022.09.13)
シドニーが日本と同じ気候帯と知り驚きました。
生活などでも共通しているものがないか知りたいです
(2022.04.27)
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.