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「Eco Value Interchange」バックナンバー

0212016.11.22UPこれまでのマッチングイベントと一味違う、環境パフォーマンス&環境落語の披露-EVI環境マッチングイベント2016実施報告(2)-

 前回からお送りしているEVI環境マッチングイベント2016報告記。今回は後編として、前回からの続きについて紹介したい。

セミナーエリアは壁を隔てて、ブース展示エリアなどが設けられ、商談・談笑の場となった。もちろん、2つの会場は自由に行き来することができるとともに、ブース展示エリアに設置されたモニターには、ステージの様子が映し出された。

イベントに華を添えた、環境パフォーマンスユニット『Cheeky』
──ダンボール製パーカッション楽器「ボルカホン」によるライブパフォーマンス

 今回のマッチングイベントのある意味で目玉のセッションといえるのが、ボルカホンラインダンスユニット『Cheeky』による環境パフォーマンスと、春風亭柏枝師匠による環境落語「改作落語 和尚(おしょう)とちん念」だ。前号で紹介した基調講演等が国内外の最新の動向を知る“ためになる”内容として一極を成すのに対して、真逆のアプローチをとりながらぐっと引き付ける役割を担ったセッションだ。こうしたバリエーションを通じて、もっともっと生活の中で身近になっていくということを体験してもらいたいというのが主催する加藤の想いだった。

 ボルカホンというダンボール製打楽器を使ったライブパフォーマンスを披露したのは、ボルカホンラインダンスユニット『Cheeky』の面々。ボルカホンは、ペルー発祥の打楽器「カホン」をダンボール製にしたもので、前年のマッチングイベントでもブースを出展。
 「どうせなら叩く姿を見てもらいたいので、今年は叩き手を連れてきました」
 そう話すのは、プロデューサーの糸賀徹さん。ボルカホンを手掛けるようになって2年半になる。現在リーダーを務める鶴田まこさんのアイデアで結成した『Cheeky』は、打楽器演奏とラインダンスを融合させたパフォーマンスやワークショップを始めてもうすぐ丸2年を迎える。この日は欠席の2人を加えた7人ユニットとして活動しており、振付などはメンバー自身が考えている。1ステージ当たり500円のクレジット購入によって森の支援をする、カーボン・オフセットパフォーマーでもある。
 箱型のボルカホンは、座面に座りながら叩いて音を鳴らす。叩く場所によって少しずつ違う音が響くように設計され、ロー(打面の中心部)とハイ(打面の上部)を叩き分けてリズムを作る。裏面には丸い穴が開いていて、中に仕込んだスナッピーというバネが共鳴して音を震わせる。オリジナルの木製カホンと同じ作りだ。ライブパフォーマンスのほか、子ども向けのワークショップなども企画して、まずは広める活動をしていると糸賀さんは言う。
 Cheekyのメンバーも、「ワークショップでは、ダイレクトな反応が返ってきて、目に見えて楽しんでくれているのがわかってとても楽しいです」と笑顔を見せる。子ども用のボルカホンは組み立て式で、表面に絵付けしたりとオリジナルなものが作れるのが人気を呼んでいるという(EVI商品として販売)。

ダンボール製の打楽器を使った、ボルカホンラインダンスユニット『Cheeky』による環境パフォーマンス。
ダンボール製の打楽器を使った、ボルカホンラインダンスユニット『Cheeky』による環境パフォーマンス。

Cheekyのライブパフォーマンスに合わせて会場最前列に躍り出る加藤。
Cheekyのライブパフォーマンスに合わせて会場最前列に躍り出る加藤。

Cheekyのメンバーたち。衣装にもダンボールを使っている。
Cheekyのメンバーたち。衣装にもダンボールを使っている。

“かあ盆”を、“お布施”に頼って建て替える!? ──知ったかぶりはいけません

 落語の世界では休憩後に出てくる役目を“喰い付き”というらしい。休憩時間中にトイレに立ったり所要を済ませたりと注意力が散漫になったお客を振り向かせて、寄席に集中してもらう、つまり喰い付かせる役割を担うことから呼ばれている。
 Cheekyによる環境パフォーマンスの後、休憩を挟んで再開した初っ端の“喰いつき”役を担ったのが、春風亭柏枝師匠による環境落語『改作落語 和尚(おしょう)とちん念』だった。古典的な落語の演目『転失気(てんしき)』をもとにアレンジしたもので、もとの演目では医学用語の「てんしき」がキーワードになるが、ここでは「カーボン・オフセット」に置き換えて話が進む。

 “あるお寺の和尚さんのお話し。環境省のお役人から「カーボン・オフセットをお願いできないか」と頼まれる和尚さん。知らないとは言いたくない性分のだから、知ったかぶりをして承知するものの、あとになって気になって気になって仕方がない。今まで見たことも聞いたこともない『カーボン・オフセット』について、何とか自然に知れる方法がないものかと頭を悩ませ、寺の小僧・ちん念を使いっ走りに出して、街の人たちに聞きに行かせることを思いつく。一言教えてくれればいいのにと不満げに言うちん念に、そんなことではいかんとお為ごかしの和尚さん…。”

 そんな設定と和尚と小僧の対話で話を進めていく、柏枝師匠。この後に登場してくる街の人たちも、それぞれにその場しのぎの作り話で知ったかぶりをし、翻弄されるちん念は、総合司会の磯谷さんと米森さんに助け舟を求める。
 カーボン・オフセットの意味と和尚の無知を知ったちん念は、うその情報で和尚に仕返しをする。ちん念の策略によって、カーボン・オフセットを「お布施→オフセット」で建てるお寺(盆の一種の「かあ盆→カーボン」)の倒置と勝手に解釈する和尚が、お寺を訪ねてきた環境省の役人に、自慢げに寺の建て替えについて話し始める。ボタンの掛け違ったような対話を面白おかしく真面目に披露する噺家ならではの話術と、最後にポンと膝を叩きたくなるオチが決まって、会場内は笑いに包まれる。

 ちょっとした考えのきっかけにしてもらうため、いろいろな機会で披露していると話す柏枝師匠。1高座当たり150円をEVIの仕組みを通じて森に還元する取り組みも行う、日本初のカーボン・オフセット落語家を宣言。
 生活のあちこちに、クレジット利用による森の支援がしみ込んできた、そんな事例の一つにもなっているわけだ。

壇上に設けた即席の高座では春風亭柏枝師匠による環境落語『改作落語 和尚(おしょう)とちん念』が披露された。

 このセッションの最後には、シリーズ5冊目となるEVI読み聞かせ環境絵本の最新刊の紹介もあった。この日が初披露となった新刊絵本は、過去2回と同様、制作に携わった株式会社クリエイティブオフィスエジソンのアートディレクター・無量小路香乃古さんによる読み聞かせの実演がされ、観客を絵本の世界へといざなった。
 『ポッツリとマルン』と題したこの絵本は、水滴のポッツリが大の仲良しのマルンと旅をしながら水資源の循環について知る冒険譚。ちょっと切なく、でも最後にはほっこりとする心癒されるストーリーを、柔らかなタッチの絵が彩っている。
 来場者には、この日のイベント全体のアンケートと引き換えに、新刊本1冊ずつが贈呈された。

この日が発お披露目となった、EVI読み聞かせ環境絵本のシリーズ最新刊『ポッツリとマルン』。制作に携わった株式会社クリエイティブオフィスエジソンのアートディレクター・無量小路香乃古さんが読み聞かせ実演をする。

“私たちにできること”の成果を発表・共有する場として

 この日の最終セッションは再び加藤が登壇し、一日のプログラムをふりかえるとともに、来年10月24日(火)に同会場で開催を予定しているEVI環境マッチングイベント2017に向けてのキックオフともなった。

 加藤からは、“時は今! 「私たちにできること」から始めませんか?”との投げかけがされた。
 CO2の排出量を2010年比で、2050年までに40-70%削減、さらに21世紀末までにはゼロ排出にすることが求められている。こうした目標は、できたらいいなではなく、やらなきゃならないことになっているものだ。  “環境を守ること”は、すなわち“命を守ること”。私たちは今すぐにでも、できることから始めるとき、なのだと加藤は言う。

 その輪を広げるための提案として、“あなたの街でこのイベントをやってみませんか”という投げかけがされた。
 EVIでは、2017年にかけ全国10か所でこの日の環境マッチングイベントのような会合の開催を目標に掲げている。

 これまで積み上げてきた環境貢献型商品やサービスの先駆事例の紹介はもちろん、環境パフォーマンスや環境落語など硬軟取り揃えた内容のイベントを、開催地に合わせてアレンジしていくこともできる。

 「ぜひ、EVIにお声かけください!」と力強く締めくくった。

会場をバックにするEVI・加藤孝一(カルネコ株式会社代表取締役社長)。
会場をバックにするEVI・加藤孝一(カルネコ株式会社代表取締役社長)。

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  1. 001「豚ふん堆肥燃料でカーボンオフセット? ー削減系クレジットで日本の第一次産業を支える」
  2. 002「さらなるCO2削減につながる事業にJ-VERを活かして」 -南アルプス市のカーボンオフセット付き農産物と市民参加のわくわくエコチャレンジ-
  3. 003「わが身の安全と、被災地支援とをつなげる試み」 -『ともに生きる!』ひろげよう防災の輪!復興支援キャンペーン-
  4. 004「身のまわりで使うあらゆるものを国産木材のものに置き換える」 -木の出口のための“森のめぐみのおとりよせ”のラインアップ-
  5. 005「カーボンオフセットでつながる企業と人 ―森を支える仕組みづくりを育む『EVI環境マッチングイベント2013』」
  6. 006「カーボン・オフセットを付けて、未利用食材や特産品の商品価値を向上」
  7. 007「妖精が棲む湖のリゾート地から、森林保護とCO2削減の取り組みモデルを全国に発信!」 -女神湖グリーン&クリーン・リゾート構想-
  8. 008「小さな一歩を集積して、大きな力をともにつくりあげるための新たな仕組みづくりをめざして」 -環境マッチングイベント2014報告記・その1-
  9. 009「点を線につなげ、線を面に広げる取り組みをめざして」 -環境マッチングイベント2014報告記・その2-
  10. 010「日本の森と水と空気を守りに、EVIは今日も東へ西へ…」
  11. 011「“未来の大人たちは、環境を守る”に向けて、今なすべきこと」 -EVI読み聞かせ絵本シリーズのめざす、環境教育の形-
  12. 012「環境貢献型商品を開発するだけでなく、売りにつなげるための場と仕組みをつくる」
  13. 013「EVI環境マッチングイベント2015へのいざない」
  14. 014「EVIを活用した、水田農業による地域活性化の取り組みと環境貢献」 -エコファームHOSOYAの取り組みより-
  15. 015「地域密着の食材屋だからできる、“地域の台所”としての役割」 -「第5回カーボン・オフセット大賞」の特別賞を受賞したEVIがサポートする環境貢献の事例-
  16. 016「未利用木材を活用した立体パズルの開発で、森林管理&地域活性化をめざす」 -株式会社トライウッド&株式会社アキ工作社と取り組んだ3社共同の事例-
  17. 017「環境貢献型商品の開発に向けて、ラベルデザインや資材調達などトータルにサポート」 -信州・松代、真田十万石の歴史を生かすNPO法人杏っ子の里ハーモアグリとの協働事例-
  18. 018「日本初!CO2排出ゼロをめざす道の駅『にちなん日野川の郷(ひのがわのさと)』(鳥取県日南町)がオープン!」
  19. 019「プロモーション活動を通じた環境貢献の取り組みをサポート」 -POP・外装材の製作時CO2排出量を全量カーボン・オフセットするカルネコの “CO2排出ゼロ宣言”-
  20. 020「“もっと身近に”をさらに一歩進めるために、“私たちにできること”をめざして」 -EVI環境マッチングイベント2016実施報告(1)-
  21. 021「これまでのマッチングイベントと一味違う、環境パフォーマンス&環境落語の披露」-EVI環境マッチングイベント2016実施報告(2)-
  22. 022「高校生たちによるカーボン・オフセットの取り組み(1)」 -愛知県立南陽高等学校 Nanyo Company部の事例-
  23. 023「高校生たちによるカーボン・オフセットの取り組み(2)」 -東京都立つばさ総合高校「ISO委員会」の事例-
  24. 024「いよいよビッグネームがカーボン・オフセットにも参入」 -EVIのコラボで森林支援を組み込んだソフトバンクの『自然でんき』-
  25. 025「EVI環境マッチングイベント2017、開催へ」 -「私たちにできること。」に向けたさまざまなヒントを提示-

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