第13回「海や川の汚染?未来へ」で、私は海洋汚染の原因になっているプラスチックゴミの分別に関するマジックを取り上げました。今回は、さらに突き詰めていき、プラスチックゴミそのものを積極的に削減していき、私たちの暮らしからもプラスチックゴミを消去していく、そんなことができないかと考えてみました。
海洋を漂うプラスチックゴミは、海の生態系に甚大な影響を与えています。一度放出されたプラスチックゴミは長期間分解されず、多くが数百年間以上もの間、残り続けると言われています。海産物を食べる人間にも、健康上の悪影響が懸念されます。
最近、プラスチックごみによる海洋汚染の問題が大きく注目されるようになって、全世界で飲食に使用するプラスチックストローから素材を変える動きが出始めています。
そこで、より多くの方々に、日常生活からプラスチックゴミを減らしていくという意識を高めてもらうために、以下の「エコ・マジック」をお届けいたします。
プラスチック汚染が深刻化しています。ご存じのようにプラスチックはとても分解しにくく、環境に捨てられると回収が難しく、汚染が広範囲に及んでしまいます。特に海洋プラスチックと呼ばれるように、海洋に出てしまうと長い間海の表層を漂い、時に、魚や鳥、そして海産哺乳類が餌と間違えて食べたり、身体に巻き付いたりして、弱ったり、命を落としたりしてしまいます。最近の例では、浜に打ち上げられたクジラの胃から大量のプラスチックゴミが見つかり、摂食障害により死亡したのではないかと推定されています。我々も例外ではなく、ある調査では対象となった日本を含む世界8か国のすべての人の便からマイクロプラスチックが検出されています。
海洋のゴミ収束地として知られる太平洋ごみベルトをオランダのNPOオーシャンクリーンアップが大規模な調査をしたところ、回収された文字の読み取りが出来るゴミの最も多い排出国は日本で、約3割に及んでいました。中には数十年前のものと推定されるゴミもあり、改めて長期間漂い続けていることが明らかになりました。
こうしたプラスチックごみの厄介な点は、紫外線や物理的な力を受けて、割れたり砕けたりしながら次第に小さくなり、5?以下のマイクロプラスチックとなることです。この極小なプラスチックはエサなどと間違えて取り込まれ、分解されないため生物濃縮を受けて、次第に高次生態系に蓄積されて行きます。前回も述べましたがマイクロプラスチックはもともと石油から作られていることから、PCBやダイオキシンなどの有害化学物質をその表面に吸着する能力が高く、新たな有害化学物資汚染を引き起こすことが懸念されています。
海洋プラスチックゴミは増える一方で、2050年には魚の量を超えると推定されています。何とか回収することは出来ないでしょうか。
先のオーシャンクリーンアップの調査では、太平洋ごみベルトに存在すると推定される8万トンのプラスチックごみの92%は5?以上のサイズであり、同NPOはこれらのプラスチックごみを回収することが出来るとして、昨年から実験を開始しています。
ミヤモさんのエコ・マジックのように、外食産業を中心にストローを違う材質に変更したり、レジ袋を有料化したりする取り組みが始まっています。
フランスは2016年にレジ袋の禁止、2020年にはプラスチックのコップなどを禁止することを決めています。EUは2021年に使い捨てプラスチックの禁止を、ニューヨーク市は今年の1月から発泡プラスチック容器を禁止しています。環境省は、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けたキャンペーンであるプラスチック・スマートを立ち上げています。
(編集、解説:一般財団法人環境イノベーション情報機構専務理事 功刀正行)
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