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「地球と暮らしについて考えるエコ・マジック」バックナンバー

0122018.05.29UPエコなロープマジック

 ようやく暖かい日が多くなり、外出しやすい時期になりました。しばらくぶりとなりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
 少し前に大雪の影響で、ゴミが少し溜まってしまった時期がありました。
 私達が生活をするという事は、多くの場合において、廃棄物の発生を伴います。
 また人口の増加や経済の発展過程では、廃棄物の発生量が増えることが知られています。そのため、ゴミが回収されず不衛生な状態で放置されたり、集めたゴミを処理しきれなかったりするなど、これまでのシステムでは対応しきれない、さまざまな環境問題が顕在化しています。この先どう対応するかは、大きな課題となっています。
 私自身は、普段、プロマジシャンとして生きている中で、廃棄物削減に関して、まずは、身の回りの小さなことからスタートさせようと感じ始めました。
 ロープを用いたマジックでは、切れ端・結び目・何本ものロープを無駄にしていることに気づきました。
 そこで今回、極力、ゴミを出すことなく、1本のロープだけで、次の現場へと向かうことができる、エコなロープマジックを考えました。

 今回は私自身の仕事に関わることをマジックで表現しましたが、皆様も、廃棄物削減に関して、自分自身の仕事や身近なことからスタートしてみてはいかがでしょうか!

エコ・マジック動画012

解説「ゴミの削減にむけて」

 ゴミ(廃棄物)の問題はだいぶ以前から指摘されていますが、どうなっているのでしょうか。
 一般廃棄物の排出量は平成17年度5272万トンでしたが、平成27年度4398万トンと17%減少しています。一人当たり1日の排出量は、同様に平成17年度は1131グラムでしたが、平成27年度は954グラムと16%減少しています。これは、リサイクルを始めとする3Rの取り組みが浸透してきた結果でしょう。ただ、平成22年度までは順調に減少していましたが、それ以後ほぼ横ばいになっており、その後平成25年からまた少しずつ減少しています。横ばいになったのは、平成23年に発生した東日本大震災の影響によるものと考えられます。
 さて、3Rを復習してみましょう。3Rは、Recycle(再利用)、Reuse(再使用)、Reduce(出さない)とゴミ問題への取り組みについて3つのキーワードの頭文字をとったものです。
 リサイクル(Recycle)の典型的な例は、ペットボトルのリサイクルですね。使用済のペットボトルを回収して、他の製品、例えば結束用のバンドなどに加工して再利用するものです。また、2020年のオリンピックのメダルの素材として携帯電話などの小型家電に使用されている貴金属を取り出して使おうという運動が広がっています。いわゆる都市鉱山とも呼ばれていますね。これらの場合に重要なのは、回収経費と再加工経費が必要になることを念頭においておくことが必要です。リサイクルされるからといって大量に使っても良いことにはならないことを理解しておくことが大事です。
 リユース(Reuse)は再使用で、典型的な例はビール瓶ですね。ビール瓶は飲み終わった後、販売店に持って行くと有料で回収してくれます。回収された瓶はビール工場で洗浄後、再度ビールを詰めて出荷されます。お酒の一升瓶や、今はあまり見かけなくなりましたが牛乳瓶も同様に再使用されています。これらはリターナブル瓶とも呼ばれています。ビール瓶では平均して20回以上、長いもの(大事に扱われたもの)では30回(約10年)も使われるそうです。近年は缶や紙パックに押されていますが、再評価されてきています。
 リデュース(Reduce)は、まさにゴミを出さないことですので、究極の選択と言えます。現在の社会でゴミを全く出さないで生活することは難しいので、極力排出量を減らすことを心がけることが大切です。
 ミヤモさんのマジックは3Rのどれに該当するか考えてみてください。
 この3Rから5Rへ拡大しようという動きがあります。5Rとは、3Rに加えて、Repair(修理)、Rental & Lease(借りる)の2Rを加えたものです。
 昔は壊れたら直して使ったものですが、大量消費時代に捨てることが当たり前になってしまい、直したり、繕ったりすることが少なくなりました。やはり良いものは不具合が生じたら極力修理して長く使いたいですね。着るものも破けたら繕うことにより個性的なデザインに仕立てることが流行っているようです。
 また、一時的にしか使用しないものは購入してしまうと不要になった際に取っておくことが出来ず、結局捨ててしまうことになりがちですので、こうしたものはレンタルやリース制度を利用しようということです。例えば子育ての際の乳母車やベビーベッドなどのレンタルや、広義に考えればカーシェアなども該当しますね。
 いずれにしても多くの資源を輸入に頼っている我が国にとって、廃棄物の削減は重要な課題の一つです。

一般財団法人環境イノベーション情報機構 専務理事・功刀正行

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