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「地球と暮らしについて考えるエコ・マジック」バックナンバー

0132018.09.18UP海や川の汚染 ~未来へ-マイクロプラスチック汚染を考える-

 今年の夏は記録的な猛暑となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
 今回は、海や川の環境問題について皆様と一緒に考えていきたいと思います。
 海や川は、生命が誕生してから現在まで生物を守り、育ててくれるゆりかごの働きをしてくれます。海や川のおかげで地球規模の水循環も、炭素循環も、気候の安定も維持できています。
 その海を舞台に、ここ最近の新聞・ニュース等でマイクロプラスチックという微細なプラスチックゴミについて報道されるようになっています。
 海岸に漂着して死亡したクジラの胃袋の中から大量のプラスチック袋が見つかったというニュースも報道されました。痛ましい事件です。
 さらに、海に流れ込んだプラスチックゴミは紫外線や風雨、波によって細かく粉砕され、海の中を漂います。このマイクロプラスチックが、沿岸や海洋の生態系に悪影響を与えるとともに、人間の健康にもリスクを与える可能性があることが指摘されています。海洋環境問題として世界的な課題となっています。

 今後、プラスチックゴミの分別・収集が進んで、地球上の海や川の汚染が解消される未来への可能性と希望を込めて、今回の「エコ・マジック」を創作しました。

エコ・マジック動画013

解説「マイクロプラスチック」

 近年、海洋汚染の大きな問題としてプラスチック汚染がクローズアップされて来ている。最近はどこの水辺においてもペットボトルや様々なプラスチックゴミによる汚れが著しい。ペットボトルのリサイクルが実施されているが、なかなか改善がみられない。これは回収されるペットボトル以上に生産量(使用量)が増え、心無い投棄がなかなか減らないことが大きい。これらペットボトルに代表されるプラスチックは良く知られているように環境で分解されず、長期にわたって環境に留まることになる。分解はされないが、あちこちぶつかったりして力学的に、また紫外線により劣化し、少しずつ砕けて、最終的に極めて小さな粒子となって環境を漂う。この状態のプラスチックをマイクロプラスチックという。かつては、プラスチックの原料としてのレジンプラスチックが主流であったが、世界的なプラスチックの大量使用、大量廃棄により、現在は環境で破砕されたプラスチックが主流を占める。
 この小さなマイクロプラスチックを、海に棲む生物は海水と一緒に飲み込んでしまう。当然、生物の体内でも分解されずに留まり、摂食障害などを引き起こす。さらに厄介なのは、このマイクロプラスチックの表面に有害化学物質が吸着しやすいことである。現在、この経路による有害化学物質による影響が極めて危惧されている。
 また、レジ袋のようなシート状のプラスチックが海洋を漂うとあたかもクラゲの様に見えることから、クラゲ類を餌とする生物に大きな障害を引き起こしている。
 ミヤモ・マジックのように、環境中のプラスチックを元の状態で回収できれば良いが、まず不可能である。ではどうするか。
 環境中で分解しやすい生分解性プラスチックに置き換える方法が検討、実施されているが、生分解性プラスチックが大量に環境に廃棄されれば、新たな問題を引き起こすことになる(環境、特に海洋環境はこうした汚染にどの様に対応できるか未知数で、新たな汚染となる可能性が大きい)。
 ロープマジックの際にお話しした3Rの内のリデュース(Reduce)、すなわちゴミを出さないことが基本である。

撮影、編集、解説:一般財団法人環境イノベーション情報機構 専務理事・功刀正行

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