足立区生物園のオリジナルグッズは、どれも魅力的で、ひそかにファンなんです。飼育している生き物の抜け殻や抜け毛を活用したグッズや、生き物の生態を深く学べるグッズまでバラエティ豊かです。
特に気に入っているのは、スタッフの方がデザインしたヘイケボタルとゲンジボタルのトートバッグ。蓄光印刷でホタルの光を表現していて、暗い場所でみると本当にホタルが飛んでいるように幻想的なんです。蓄光印刷は光を吸収して暗闇で光る印刷のこと。この蓄光印刷で再現されているのは、ヘイケボタルとゲンジボタルの発光パターンの違い。ヘイケボタルは約0.5秒に1回と短い間隔で点滅するのに対し、ゲンジボタルは数秒周期と少しゆっくりとした点滅をします。この発光パターンの違いは、暗闇で見分けるための重要な手がかりになります。
また、体の模様も異なります。前胸部(赤い部分)にある黒い模様は、ヘイケボタルでは太い一筋の縦線である一方、ゲンジボタルでは十字型であるのが特徴です。また体長はゲンジボタルの方がヘイケボタルよりも少し大きめです。
私はこれまでホタルをじっくり観察する機会がなかったので、ヘイケボタルとゲンジボタルの違いを見分けるのは難しいと思っていました。でも、このトートバッグのおかげで、今度こそ見分けられるかも!とワクワクしています。
足立区生物園は、昆虫から哺乳類まで多種多様な生き物とふれあいながら学べる人気の施設です。チョウの飼育室では飼育の様子を窓越しに見学できるなど、個性的な展示が特徴で、生き物たちの生態を間近で観察できます。
展示と連動した体験プログラムやバックヤードツアーも充実しており、毎週火曜日から金曜日にかけて開催されている「チョウを放そう!」というプログラムでは、その日に羽化したチョウを温室に放す作業を、解説員と一緒に体験できます。
しかし、生物園の魅力はそれだけではありません。天井のステンドグラスを眺めながらゆったりと過ごしたり、自由研究のテーマ探しに熱中したりと、来園者の目的に合わせて、さまざまな楽しみ方ができます。飼育の一端を体験できるプログラムから、気軽に楽しめる展示まで、幅広い内容が用意されているのも魅力です。
このような多様な魅力を支えているのが、ミュージアムグッズかもしれません。来園者の興味をさらに深め、生物園とのつながりをより一層強める役割を果たしているのではないでしょうか。
私が考える足立区生物園のミュージアムグッズの魅力の一つは、オリジナルグッズが豊富で、新商品が次々と登場する点です。2023年度だけでも33種類(うち非売品4種類)のオリジナルグッズが開発されており、SNSで話題になったり即完売したりする商品が出るなど、その人気は目を見張るものがあります。年間報告書内のオリジナルグッズの品目売上ランキングを見ると、50品目中15品目がオリジナルグッズ。開発者の高い感度が生かされており、オリジナルグッズの強みが売上や話題に直結していることがよくわかります。
イベントと連動したオリジナルグッズ開発を実施しているのも強み。冒頭紹介したホタルトートバッグは、生物園で飼育しているホタルを近くで観察できる「ホタルの夕べ」というイベントと連動したグッズとして開発・販売されました。前年度にも「蓄光で光るホタルのアクリルキーホルダー」が販売され、イベント3日間で初販の100個が完売するほどでした。
さらに注目すべきは、生き物の魅力を効果的に伝えるデザインです。ホタルのトートバッグは蓄光の特性とホタルの生態を見事に融合させた、まさに一例と言えます。一見かわいい模様に見えますが実はホタルの発光パターンを表現しており、使うたびに自然と生物の知識に触れることができるのです。このように、「手に取って使ううちに、いつの間にか学びにつながる」という点が、ミュージアムグッズの醍醐味と言えるでしょう。
グッズを単なる商品ではなく、ミュージアムの一部と捉えるならば、「素敵!」と思って購入し、同時に学びも得られるような商品であることが重要です。その意味では足立区生物園のミュージアムグッズは、生物園の理念を具現化するような高品質なものであると言えるでしょう。
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