筆者が暮らす北海道札幌市にある動物園、札幌市円山動物園で販売されているノートがかわいいんです。「ZOO」と「NOTE」を掛け合わせ、商品名は「ZOOTE」。動物園とともに、ずっと長く愛されるノートになってほしいとの願いも込められています。
特筆すべきは見返しに使われたリサイクルペーパー、その名も「ウンチペーパー」!草食動物のウンチには植物繊維が含まれているので、紙へ再利用できるのも納得です。なかでもアジアゾウは胃で反芻を行わないため食物の消化率が低く、植物の繊維を多く含んだウンチを出すそうです。このノートには円山動物園のアジアゾウのウンチが再利用され、アジアゾウの紹介や豆知識が印刷されています。
ゾウの姿が型抜きされたケースに入っており、デザインが特別感たっぷり。贈り物にも最適ですね。札幌市で製本業を手掛ける石田製本株式会社が立ち上げた文具ブランド「booco」(ボッコ)とのコラボレーション。高い製本技術とノウハウが存分に生かされています。
札幌市円山動物園では、2023年8月19日にアジアゾウのタオが誕生しました。現在、母親のパール、10歳年上のニャインとその母親のシュティンと同居しています。野生のゾウはメスの群れで子育てをするため、4頭は今後の繁殖に向けた大事な時期を過ごしています。タオがニャインにちょっかいをかけて遊んでいたり、ニャインがゆっくり成長を見守っていたり…そんな姿に私も顔がほころんでしまいました。
最近知った興味深いイベントとして、アジアゾウが食べ残した枝の無料配布を行っておりました。動物福祉の観点から餌の質を向上させるべく、市内の公園や周辺の森で剪定された木の枝を与えているそうです。しかし、アジアゾウが主に食べるのは皮や細い枝などで、太い幹は残ってしまっていたとのこと。アウトドアで使える薪として無料配布することで、食べ残した枝の有効活用をしているんです。
アジアゾウのように身体が大きい動物は、食べ残す餌の量もウンチの量もどっさり。イベントで活用したり、グッズ化して再利用することで、アジアゾウの生き物としてのスケールを体感できることでしょう。
この「ZOOTE」、一目見ただけで「子どもにも使わせてみたい」「絵本みたいで素敵」と惹かれる要素がたくさんあるデザインです。5歳になる姪に贈ってみようかな。円山動物園では、ゾウは1頭当たり1日に約80kgのウンチを出すそうです。「ここの紙にゾウのウンチが使われているんだよ!」と伝えたら、あの子どんな顔するんだろう?
筆者は大学でデザインを専攻していたこともあり、様々なクリエイターから「ミュージアムって面白いよね」「仕事で関わってみたい」というお声もよく聞きます。私にとってデザインを含めたクリエイティブとは、ただ単に物を作ったり、見た目を整える行為を指すだけではなく、人と文化や自然などをつなぐ手だてを構築する行為でもあると考えています。ミュージアムとの相性は抜群ですし、もっとクリエイティブとミュージアムの交流が活発になるといいですね。
そのためにも、こうして素敵なミュージアムグッズが誕生することが、互いのより良い「かかわり方」の提案につながっていくのではないでしょうか。「ZOOTE」はミュージアムグッズがその糊代になりえるという可能性を示してくれた、重要な逸品です。
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