栃木県にある那須どうぶつ王国は、東京ドームの約10倍の敷地!広々とした園内で、世界各位の動物たち約600頭以上が飼育されています。2022年2月にスナネコの赤ちゃんが誕生したことでも広く知られており、YouTubeで300万再生以上を突破した「マヌルネコのうた」も大人気です。
販売されている多種多様なミュージアムグッズの数々も、行く度に目移りしてしまいますし、新商品も続々販売されています。今回ご紹介するミュージアムグッズは「雷鳥クッキー」。ライチョウのオスの夏羽をイメージしたパッケージで、中にはオリジナルのクッキーが8枚。クッキーの表面にデザインされているのはライチョウの足跡。雪の上をひょこひょこ歩く姿が目に浮かび、何だか愛らしくて思わず微笑んでしまいます。
福島県の大野農園oragenoと共同開発され、ピリリとアクセントの効いた黒胡椒と塩味を感じるチーズのクッキーです。濃厚なバターの味わいもたまりません。ワインに合わせても美味しいかも。大人も楽しめるクッキーです。
ライチョウは古来より「神の鳥」とされ、信仰の対象となっていました。氷河期に大陸から日本に移動し、高山地帯に生息しています。狩猟の対象にならなかったため人を恐れません。筆者もよく登山者がSNSにアップロードするライチョウの写真を見ては、その距離の近さに驚いてしまいます。
また、夏羽と冬羽で「まるで別の鳥!?」と驚いてしまうほど換羽し羽の色が変わるのもポイント。雪解けの季節に羽色がオスは黒色、メスは茶褐色になり、初雪が降る季節に羽色は白色に生え替わります。夏羽のオスが岩場にいる写真を見たことがあるのですが、周囲の色と全く見分けがつきません。羽の色が生え替わるのは、捕食者から身を守るためなのですね(ちなみに秋羽もあるそうです!)。しかし近年では、捕食者が増加したことや温暖化の影響により個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されています。環境省を中心に保護増殖活動が実施されており、那須どうぶつ王国でも普及啓発や繁殖に取り組んでいます。
この「雷鳥クッキー」も、1箱購入で50円が日本動物園水族園協会の野生動物保護活動に募金されます。買って食べることがライチョウの保護保全活動に繋がるのですね。
2018年に中央アルプスの駒ヶ岳で、メスのライチョウが1羽生息しているのが確認されました。中央アルプスのライチョウは50年前に絶滅したとされ、今回の個体は北アルプスから飛来したと考えられています。これを機に、中央アルプスのライチョウの生息数を増やす取り組みが環境省主導で始まり、那須どうぶつ王国、長野市茶臼山動物園で繁殖への取り組みが始まりました。
2021年には那須どうぶつ王国に「ライチョウ野生復帰順化施設」が完成しました。この施設はクラウドファンディングの支援金を活用し建設した非公開施設で、ライチョウの野生家族の飼育や、野生の個体による自然繁殖や野生順化に取り組んでいます。
そしてついに、今年2022年8月に那須どうぶつ王国で繁殖したライチョウ3家族と、長野市茶臼山動物園で飼育していた成鳥3羽を、中央アルプスの駒ヶ岳に野生復帰させました。その模様はYouTubeで公開されています。
飼育に携わったスタッフの皆さんの責任が伝わってくる内容です。ヘリコプターで駒ヶ岳へライチョウを移送したのち、安堵から涙を流すスタッフさんの姿に私ももらい泣きしてしまいました。
山に生きる動物を守り、次の世代に繋げている人たちがいて、ミュージアムグッズもその活動に寄与するもの。自分の「購入する」という行為が動物園の活動に関わっていることを、改めて実感させられた逸品でした。
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