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「『ブラサカ(R)』の持つ力を社会に!」バックナンバー

0062021.02.09UPブラインドサッカーを未来へつなぐ。

コロナ禍の中開催した国内大会

「~ブラインドサッカーを未来へつなごう~アクサ×KPMGブラインドサッカー2020カップ」の会場©JBFA

「~ブラインドサッカーを未来へつなごう~アクサ×KPMGブラインドサッカー2020カップ」の会場©JBFA

 前回の記事でも触れておりましたが、2020年10月~11月間に、NPO法人日本ブラインドサッカー協会は国内大会“~ブラインドサッカーを未来へつなごう~ アクサ×KPMG ブラインドサッカー2020カップ1stラウンド”を、全国5会場で実施しました。会場は、大阪府堺市、広島県広島市、埼玉県本庄市、茨城県守谷市、東京都品川区で、各地の行政を含む様々な方々に尽力をいただくことで開催することができました。
 基本的に無観客(一部関係者含め少人数での来場はあり。)で実施する中、全17試合をYou Tube生配信。リアルでの観戦をいただけない分、より広く多くの方々にブラインドサッカーを届けるべく初めて試みました。
 各会場、当日深夜までの見逃し配信含めると、1,500回以上の視聴数を数え、ライブ観戦者も、常時100人~160人を推移するなど、これまでの国内大会における配信以上の数字がはじきだされ、国際大会時と比べても遜色のない数字となりました。関係者や、これまで会場に行くには心理的ハードルが高かった方にも一定数届けることができたので、チャレンジしてよかったというのが本音です。
 試合の配信だけでなく、試合の見どころ等を事前に配信する企画にもチャレンジするなど、こんな状況だからこそ出来うることはすべてチャレンジしてみました。立ち止まらず、コンテンツとしての品質の向上をし続けることが大切だと改めて感じました。進めば次の景色が見えてくるということを実感した気がします。
 感染対策に関しては、主観的に見ても客観的に見ても十二分に講じたうえで実施したことで、幸いにも関係者の感染者は“0”で終えることができました。『そこまでやるのか』という声も聞こえることはありましたが、スタッフをはじめ、関係者みなさまの協力があったからこその感染者“0”が実現できたと思います。


障がい者サッカー、障がい者スポーツの今

 ブラインドサッカー2020カップは1stラウンドを終えることができましたが、準決勝ラウンド以降は延期判断をしています。そして、つい先日、大会“中止”の判断が正式になされました。緊急事態宣言下での安全開催と、関わる方々の日常生活への影響を考えての判断です。こればっかりは、『何としても開催して、ブラサカの熱を未来へつなぐんだ!』というような、情熱ベースでは開催に踏み切れないものでした。
 他の障がい者サッカーや、スポーツに目を向けてみると、やはりこの1年弱の間、本当に多くの大会や競技の場がなくなっているというのが現状です。競技によっては、感染自体がより深刻に生命にかかわるという側面からも、そう判断することは何ら違和感がないものであり、何より大切なのは人の命であるので、尊重されるべきです。ただやはり一方で、試合をする、競技をするという明確な目標がなくなることによる、競技者のみならず関係者の熱量、いわゆるモチベーションを保つのはやはり容易ではないのだなと感じています。これは非常に難しい問題で、もしかしたら競技から離れる人も出ると思いますし、もしかしたら競技の存続にかかわる事例も出てくるかもしれません。パラリンピック競技以外の、国や社会からの息が届きにくい競技であればなおさらかと思います。ブラインドサッカーのチーム関係者とコミュニケーションをとっていると、そんな危機感や焦燥感を感じます。かと言って、解決策も見いだせない。まさに我慢の時期であることを感じます。

今だからこそ

都内中学校の体育館で実施した講演会©JBFA

都内中学校の体育館で実施した講演会©JBFA

 こういった情勢下でも、社会の中で立ち止まることをしていない、いや、立ち止まることができないのが“教育”の現場です。私も先日、大学の友人より依頼をいただき、講演会を行ってきました。感染対策を講じ、教育委員会からの承認を得ての訪問になりました。体育館での実施でしたが、生徒はソーシャルディスタンスを保ち、定期的に扉や窓を開けて換気する徹底ぶり。真冬であるため、それはそれは寒くて大変でした(笑)。ただ、こうして競技を社会に届けることができる機会があることはこの情勢下とても重要なことです。新たにこの競技を知ってもらい、視覚障がいについて考えてみる、競技に興味を持つ、パラリンピックに興味を持つ、そんな人が1人でも増えること、それが未来にとって小さな、だけど大きな一歩になると思っています。
 昔から目の前の1人にでも、数百人でも変わらぬ熱量でブラインドサッカーを届けてきましたが、今まさに、そんな気持ちを大切にしていますし、業界の皆さんには、そんな心持でいていただけたらな、と思います。大好きなブラインドサッカーの素晴らしさ、どうしてのめりこんだのか、そんなことを、周りの方々に届けてほしいのです。今だからこそ、少し考える時間があるからこそ、ブラインドサッカーの素晴らしさを自分なりの言葉に整理し、誰かお1人にでもいい、伝えてほしいなと思います。


この逆風の中、少しずつ歩みを進めている人たちがいる

 今、ブラインドサッカー業界の中では、新しくチームを立ち上げようと奔走している方々がいます。それぞれがブラインドサッカーの魅力や可能性を感じ、この逆風の中、少しずつ歩みを進めています。そんな方々の姿を陰ながら見ていると、自分自身はなんでブラインドサッカーに関わろうと思ったんだろう?自分はブラインドサッカーとこれからどうかかわっていくのが幸せなんだろう?どうかかわることが業界のためになるんだろう?そんなことを考えるようになりました。また年齢も重ね、これからの人生のことを考えたときに、ブラインドサッカーをどの位置づけとすることがベストなのだろうか?ということも同時に考えます。この議論は、私自身の中での議論なのですが(笑)。
 ただ一つ言えるのは、私の目線で見るブラインドサッカー、もよいのですが、それこそ関わる方は本当に多くの方がいますので、今後は私を通じて様々な方のブラインドサッカー感や、ブラインドサッカーとのお付き合いの仕方、そんなことも綴っていければと思います。

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