全世界で猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。ここまで長期化するとは誰が想像していたでしょうか。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今まで当たり前だった様々なものが当たり前でなくなり、生活様式含め、いろいろなことが大きく変化した期間となりました。例えば、約2m以上間隔をあけてコミュニケーションをとること(ソーシャルディスタンス)や、仕事のオンライン化によるリモートワークの推進、マスクを常に着用することはもはや日常となり、移動の際に着用していないと人の目が気になるような雰囲気さえあります。ウイルスという見えない敵にここまで翻弄されるとは、本当に想像していなかった事態です。今回はこの新型コロナウイルスによる自粛期間を経て、自分が感じたことを書かせていただければと思っております。
多くのスポーツと同様に、ブラインドサッカーも3月の国際大会の中止を皮切りに、国内の各大会が延期・中止となり、そして東京パラリンピックの延期も決まるなど、私たちの周りで競技をする場が一時的ではありますがどんどん失われて行きました。競技の場がなくなることが、ここまで閉塞感を作り上げるのだなと驚きましたし、反面これまで当たり前にあった競技ができる場の尊さを痛感しました。このような思いはスポーツのみならず、オフラインの場で多くの人と協力し合いながら物事を作り上げるような場に身を置いている方であれば、同様に感じられたのではないでしょうか。
今、サッカーなどスポーツの試合の多くは動画で視聴もできますが、あの、現場のピッチから伝わる躍動感やヒリヒリした感覚、また多くの方々と創り上げ、感情も混ざり合いながら構成される現場のリアリティには勝てないのだなと思われている方も多いのではないでしょうか?極端な言い方をすれば、やはり現場には現場でしか感じることができない実体験があり、今後コロナが収まるときが来た暁には、現場のすばらしさを誰もが感じることになるのではと思います。心置きなくスポーツをすること、みること、競技者などを支えること。それぞれの関わり方でスポーツの価値を、肌で、心で感じること。これらは我々の生活にとって、本当に大きな意味を持っているものなのだと再確認することになると思います。
すでにJリーグやプロ野球は人数を制限する形で観戦可能ともなっていますが、運営ボランティアなどの募集を控えているクラブも多くあります。まだまだ元の状態に戻るのは時間がかかりそうですが、一日も早く、あの日常が戻ってきてほしいものだと個人的に思っています。
現場の尊さや、現場でしか感じることができないスポーツの価値について語った後ではありますが、今後のスポーツの在り方には間違いなく変化が起こってくるかと思います。今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止の対策として様々なオンラインでのコミュニケーションが飛躍的に増え、オンラインイベントもそれに合わせ飛躍的に増えました。スポーツ観戦においても、テクノロジーがすさまじい勢いで進化している現代においては、オンラインでの参加や観戦の楽しみ方がどんどん増えてくることと思います。主催者からすると、観戦方法のチョイスが増え、エリアフリーになるので、視聴機会が増えることで多くの方に楽しんでいただける可能性が広がるのではないかとも思います。
そういった背景に加え、もはや周知の事実でありだれもが認識している事実として、日本は少子高齢化の一途をたどっています。つい先日、日本国内における高齢者(65歳以上)の割合が、日本の全人口の約三割を占めるという報道を目にしました。これは過去最多の割合で、実際の人数にすると約3600万人となるそうで、こちらも過去最多の人数だそうです。こういった社会背景からも、スポーツが好きだけど、体力などを考えると会場まで足を運ぶのに高いハードル感じる人々も増えてくると予想され、自宅でスポーツ観戦をする、という文化はこれまで以上に根付いていくのではないかと思います。
また、2020年の10月よりブラインドサッカーの大会が開催されることになりました。『?ブラインドサッカーを未来へつなごう? アクサ×KPMG ブラインドサッカー2020カップ』(https://2020cup.b-soccer.jp/)と題されたこの大会は、2021年2月まで開催されます。2020年中に行われる1stラウンドでは、新型コロナウイルスの感染予防のため様々な対策を行っています。例えば大会を5会場で分散開催することで、1会場での参加チーム数を少なくし、密な状態にならないよう取り組んでいます。また、現地での観戦の代わりとして、1stラウンド全17試合を、YouTube Liveで生配信します。これはブラインドサッカーの大会としては初めての取り組みとなり、感染防止対策だけでなく、全国のブラサカファンや、ブラインドサッカーをあまり認識されていない方々にもこれをきっかけに届くことを願っています。
大会公式HP:https://2020cup.b-soccer.jp/
YouTube Live無料配信登録はこちらから:https://2020cup.b-soccer.jp/schedule
スポーツという大きな枠組みで価値や今後のことを考えてみましたが、最後はブラインドサッカーに焦点を当てて考えてみたいと思います。ブラインドサッカーの魅力は何なのか。
まず、競技特性が非常に興味深いこと(視覚障がい者と晴眼者が協力して行うことや、ボールは音が鳴ること、想像以上にボディコンタクトが多く激しいこと)はこの競技の魅力を語る上では真っ先に出てくることと思います。1度でも観戦された方ならば、間違いなくその部分を魅力として語るのではないでしょうか。私自身もそこは大きな魅力の一つと思っており、視覚から情報を得ている人からすると、想像もつかない世界で競技を行う姿は、シンプルに心に訴えかけてくるものがありますし、ある意味一つのエンターテイメントのようでもあります。
また、私自身改めて魅力を考えてみると、もう1つの魅力は『みんなで創る空間』にあるのではないかと思っています。選手やチームスタッフはもちろん、運営スタッフ、ボランティアの皆さん、レフリーのみなさん、パートナー企業のみなさん、関係業者の皆さん、などなど本当に多くの方々がブラインドサッカーの大会運営には関わっています。毎回思うのです、これはみんなで創った空間だと。
特に、ボランティアの皆さんは大会規模によりますが、1名?400名ほどの幅で各大会ご参加いただきますが、みんなでフェンスを運び設営をする、お客様の誘導をする、ピッチ周りで選手のサポートをする、配布パンフレットやチラシの封入をする、たくさんの役割を担っていただきます。それはどれか一つでもかければ大会は成立しないのです。おそらく、私の立ち位置上大会に関わるほぼすべての方々と接点を持つので、こういった考え方になっているのかもしれません。ですが、ほかの競技以上に、ブラインドサッカーはみんなで創る色合いが濃いと思っています。これはまさにオフライン、現場でのみ感じることができることであり、これからも残っていってほしい在り方です。
新型コロナウイルスの影響で社会が混乱する中、スポーツの価値って何なのだろうか?まさに不要不急なものとなり、何もできないもどかしさを長らく感じてきました。しかしながら、最近は少しずつ各競技が再開され、少しずつスポーツの熱が社会に戻ってきつつあると思い、改めてスポーツの持つエネルギーを感じています。私自身、これまでサッカーを20年近くプレーし、ブラインドサッカーには6年以上関わってきていましたが、今回の経験を経て、これからは、サッカーに限らず、スポーツという大きな枠組みの中で自分にできること、社会に発信できることを幅広に模索していきたいと思いました。今回もおつき合いいただき、ありがとうございました。
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.