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「暮らしに役立つ食と防災」バックナンバー

0122026.07.28UP太陽の力を暮らしに生かす-ソーラーライトとソーラークッキング-

 前回に続き、今回もフェーズフリーについてご紹介します。
 フェーズフリーとは、「日常」と「非常時」を分けず、普段使っているものやサービスを、もしもの時にも役立てる考え方です。前回は、太陽光発電や家庭用蓄電池、電気自動車などを例に、日常の中にあるエネルギーをフェーズフリーに生かす考え方についてお伝えしました。
 今回は、太陽の光を電気としてためて明かりに使う方法と、太陽の熱を直接調理に生かす方法をご紹介します。身近に降り注ぐ太陽のエネルギーを、日常の暮らしにどう取り入れられるか考えてみたいと思います。

いつもの明かりを停電時にも

 わが家では、玄関や庭にソーラーライトを置いています。暗くなると自動で点灯し、普段は帰宅時や夜間の足元を照らしてくれます。電気の配線や特別な操作がいらず、十分に充電されていれば、停電時にもいつもと同じように点灯するところが便利です。
 ただし、朝まで同じ明るさで点灯するとは限りません。日照時間が短い日や曇りの日、太陽光が十分に当たらない場所では、早い時間に消えたり、明るさが弱くなったりすることがあります。製品の性能や蓄電池の劣化によっても違います。
 日常的に使っていれば、「最近、暗くなった」「点灯時間が短くなった」といった変化にも気づくことができます。停電時に初めて使うのではなく、普段から明るさや点灯時間を確認しておくことが大切です。


暗くなると自動で点灯するソーラーライト。普段は足元を照らし、停電時にも明かりとして役立ちます。

暗くなると自動で点灯するソーラーライト。
普段は足元を照らし、停電時にも明かりとして役立ちます。


ソーラーランタンは、どのくらい使える?

 折りたたみ式のソーラーランタンを、旅行に持っていく友人がいます。ホテルで孫が先に寝たあと、部屋の照明を消し、ランタンのやわらかな明かりで本を読むそうです。家でも、アウトドアでも、旅行でも使え、停電時には照明になる。日常の便利さが、もしもの時にもつながる分かりやすい例です。
 私も、持ち運びしやすい折りたたみ式と蛇腹式のソーラーランタンを家に置いています。普段は窓辺に置き、日常的に使いながら、充電にかかる時間や点灯時間、スマートフォンへの給電能力を確認しています。
 私は、満充電にした蛇腹式のソーラーランタンから、スマートフォンに給電してみました。1時間後に確認すると、スマートフォンの充電は11%から23%に増えていましたが、ランタンにためていた電気は使い切ってしまい、その後はライトも点灯しませんでした。
 想像していたより充電できる量は少ない結果でしたが、わずかでも充電できれば、連絡や情報確認ができる時間を延ばせる可能性があります。災害時には、スマートフォンから得る情報が大切になるため、実際に試しておいてよかったと思いました。
 さらに、暗闇でランタンをつけようとしたところ、スイッチの場所が分かりませんでした。普段は当たり前のように操作していましたが、それは明るい場所で使っていたからだと気づきました。暗い中でも使えるかどうか、実際に試しておくことの大切さを痛感しました。
 ソーラーランタンは、明るさや点灯時間、スマートフォンへの給電能力が製品によって大きく異なります。購入したらしまい込まず、普段から使いながら、何がどのくらいできるのかを確認しておきたいものです。暗闇でもスイッチの場所が分かるか、必要な明るさがあるか、スマートフォンにどのくらい給電できるかを、実際に試しておくことで、もしもの時にも慌てずに活用しやすくなります。


わが家で使っている2種類のソーラーランタン

わが家で使っている2種類のソーラーランタン


日常的に使いながら、充電にかかる時間や点灯時間、スマートフォンへの給電能力を確認しています。

日常的に使いながら、充電にかかる時間や点灯時間、
スマートフォンへの給電能力を確認しています。


太陽の熱で調理する

 私は2024年からソーラークッキングにはまり、パネル型ソーラークッカー「ひまわり」を2台購入して、晴れた日に自宅でさまざまな料理を作っています。
 ソーラークッキングとは、太陽の光を集めて熱に変え、その熱で食材を加熱する方法です。電気やガスを使わないため、光熱費の節約や省エネにつながります。太陽が出ていれば、もしもの時にも補助的な熱源として活用できます。天候や季節、地域によっては十分な日差しを得られないこともありますが、普段から仕組みや使い方を知っておけば、もしもの時の選択肢になるかもしれません。
 初めは、十分に加熱できなかったり、反対に加熱しすぎたりすることもありました。それでも、晴れた日には普段の食事づくりに取り入れ、作ったものを実際に食べながら続けているうちに、太陽の向きに合わせてクッカーの角度を変えることや、食材の大きさ、容器の違いによる仕上がりの差が分かってきました。
 コツが分かると楽しくなり、「今日は何を作ろう」と太陽が出るのを待つようになりました。たとえば、2024年6月11日、気温29℃の晴天時には、約30分で目玉焼きが完成。ほかにも、お餅をやわらかくしたり、煮物を作ったりと、日々の食事の中でさまざまな料理を楽しんできました。
 ソーラークッキングの仕上がりは、外気温だけで決まるものではありません。日差しの強さ、太陽の角度、雲や風、食材の量、使う容器などによって、加熱時間は変わります。普段から作って食べ、道具の特徴や加熱の加減を知っておくことが、もしもの時にも役立ちます。
 こうした日々の取り組みをまとめ、2024年8月に新潟で開催された日本災害食学会学術大会でポスター発表を行いました。その結果、投票1位となり、実行委員賞を受賞しました。


自宅の庭でソーラークッキング

自宅の庭でソーラークッキング


2024年6月11日、気温29℃の晴天時に、約30分で目玉焼きが完成。仕上がりは、日差しや風、食材の量などによって変わります。

2024年6月11日、気温29℃の晴天時に、約30分で目玉焼きが完成。
仕上がりは、日差しや風、食材の量などによって変わります。


太陽が出たら、できることを

 ソーラークッキングは、災害時の主な調理方法として頼るには不確実さがあります。太陽が出なければ使えず、調理にかかる時間も予想しにくいからです。
 それでも、補助的な方法として取り入れることはできます。太陽熱で食材や湯をあらかじめ温め、最後にカセットコンロで仕上げれば、調理時間を短くし、カセットガスの使用量を抑えられる場合があります。晴れていれば、お湯を温め、タオルを浸して体を拭くこともできます。調理だけに限定せず、そのときの状況に合わせて「太陽の熱で何ができるだろう」と考えてみることが大切です。
 ソーラーライトやソーラーランタンも、ソーラークッキングも、天候に左右されます。だからこそ、それだけに頼るのではなく、電池、充電式ライト、カセットコンロなど、ほかの方法と組み合わせて使うことが大切です。太陽が出たらラッキー。できることに太陽の力を使い、ほかのエネルギーを少しでも節約する。そんな柔軟な使い方が、日常にも非常時にも役立ちます。
 太陽の力を使わないのは、もったいない。まずはソーラーライトの点灯時間を確認したり、晴れた日にソーラークッキングを楽しんだりしてみませんか。日常で試した経験が、もしもの時の選択肢を増やしてくれます。


■イベント案内
2026年9月25日(金)〜27日(日)、東京ビッグサイトで「PHASE FREE Meet 2026」が開催されます。フェーズフリーな商品やサービスに出会い、その考え方を体験できるイベントです。私も実行委員として参画しています。
「PHASE FREE Meet 2026」

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