2024年10月現在、防災や災害食、缶詰レシピ、レトルトアレンジレシピ、お湯ポチャレシピ、SDGsクッキングなど本を22冊出しています。2回目の今回は、本に込めた思いをご紹介させていただきます。
2011年3月11日東日本大震災をきっかけに、私は災害食の研究を始めました。震災直後、日本栄養士会から被災地支援の要請がありすぐに手をあげましたが、小さい子どもを置いていくことが出来ず、被災者の方々に申し訳なく、後ろめたい気持ちになりました。しかし被災地に行くことが出来なくても、自分に出来ることはあるはずだと気持ちを入れ替え、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)のリーダーとなり、防災士、日本災害食学会災害食専門員、横浜防災ライセンス、環境アレルギーアドバイザーなどの資格を生かし、防災食アドバイザーとして備えることの大切さをお伝えしようと、2014年に管理栄養士の会社を起業しました。
まず、市販されている非常食を片っ端から食べ続け、栄養価や味、保存期間、値段、購入場所などをチェック。2011年当時の”非常食”は、種類は少なく値段は高く売り場も限られていて、研究すればするほど「続けるのは難しい」と感じたものです。普段食べたくないものは、災害時はもっと食べたくないかも。普段から食べているもの、食べたくなるものを災害時に食べることが出来たら体も心も嬉しいはず。
非常食は「非常時に食べるもの」「我慢して食べるもの」と思われていたので、「意識を変えなければ!」と一念発起し、本を出すことにしたのが初めの一歩でした。ちなみに現在は各メーカーさんが力を入れて下さり、種類も豊富で美味しいものも増えましたので、進化した災害食もお伝えしています。
記念すべき1冊目は、2015年1月に出版した缶詰レシピの本。2015年2月にも缶詰レシピと防災の本を出したので、2ヶ月で3冊出版したことになります。毎日缶詰レシピと災害食を夢中になって作り、何を食べたか分かるように空き缶を家に置いていたら、子供たちから「ゴミ屋敷になるから早く処分して」と言われたことを思い出しました。
なぜ缶詰だったのかと言いますと、当時の市販の災害食は、食べた後にまた買いたいと思う物がほとんどなく、なかなか好みの物が見つからず。それならば、缶詰、瓶詰、レトルト食品、乾物、フリーズドライなど、常温保存可能な食品をもしもの時も食べられるようにすると良いのでは、と思ったのがスタートです。ただ缶詰を食べるのではなく、缶詰でさらに健康になれるように野菜と組み合わせたり、発酵食品と組み合わせたレシピをご紹介。缶詰+健康食材=元気になる!管理栄養士として缶詰のウンチク、栄養のウンチクなどコラムにも力を入れました。もしもに備える「ローリングストック」の方法や、防災ウンチクもご紹介しています。
当時、缶詰やレトルト食品はどちらかというと「体に悪い」「手抜き」など、マイナスのイメージをもたれていました。缶詰やレトルト食品は食品衛生法の定めにより保存料、殺菌料を使っていないこと、手抜きでなく「手間抜き」になるので上手に活用して欲しい、何より普段から活用して家に置いておけば、もしもの時に役立つことをお伝えしたくて、レトルトアレンジレシピ本を出版しました。
テレビでご紹介させて頂く機会も増えましたが、「缶詰やレトルト食品を食べさせて病気にさせようとしている」「あんなにレトルト食品を食べたら今泉さん病気になるね」など誹謗中傷も多く届き、何度も心が折れそうになりました。防災をお伝えしている私のことを好きでいて下さる方からは「魂を売ってしまった」とまで言われました。私は面白おかしく「レトルト食品を食べて」と言っているのではありません。常温保存可能な食品を普段の食事に取り入れて、お気に入りを見つけて、普段から食べてまた買い足しておけば、もしもの時も自分の好きなものを食べることができるはず。家にあって良かったと思ってくれるはず。防災への思いは一度もブレず、信念をもってお伝えしています。実は誹謗中傷が届いたことで自分の健康も意識するようになりました。「私は缶詰レトルト食品業界を背負っている。私が病気になったら缶詰やレトルト食品が悪者扱いされてしまう。だから絶対に健康でいよう!」と心に誓いました。おかげさまで風邪をひくこともなく元気です!
令和6年度「国語3年生 上 わかば」(光村図書)教科書に、著書「こどものための防災教室」『災害食がわかる本』『身の守りかたがわかる本』『防災グッズがわかる本』(理論社)の3冊が、「おすすめ図書」として掲載されました。防災の本が国語の教科書でご紹介されるなんて!なんて素敵なのでしょう。小学3年生から読めるようにふりがなをふっています。本を読んで防災を自分事として考えてもらえたら嬉しいです。著書の内容については、また改めて詳しくご紹介させていただきます。(※こちらは図書館向けのハードカバーになります。ご購入くださる際は、内容が同じでソフトカバーの「親子で学ぶ防災教室」シリーズをお買い求めいただくことをおすすめします)
本の中には読者カードが入っていて、理論社さんに8歳の男の子から「こどものための防災教室 防災グッズがわかる本」の読者カードが届きました。「この本はとーっても大すきです」と言ってくれてありがとう!「やくにたちます」と言ってくれてありがとう!防災が好きとのこと、とても嬉しいです!いつか一緒に防災ができますように。
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