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「国立公園Walker」バックナンバー

0672014.12.26UP阿寒国立公園指定80周年

 12月4日に阿寒国立公園は指定80周年を迎え、記念行事・式典・川湯エコミュージアムセンターでパークボランティアの企画展・来館者へのPRなどを行いましたので、その一部を紹介します。

歴史を感じる観察会

硫黄山
硫黄山

 記念行事として川湯エコミュージアムセンターで6月22日に「つつじヶ原と安田鉄道軌道跡探勝会」を実施しました。川湯温泉駅前に集合し、安田軌道跡地を通って硫黄山を経由して、川湯エコミュージアムセンターに至る片道約5?の行程です。
 安田軌道跡地は明治21年に硫黄山から採れる硫黄を釧路まで運搬するために126年ほど前に開通した、北海道で2番目にできた鉄道です。現在は線路など残っていませんが、軌道跡が盛り土になっているので当時の姿を想像することができます。
 阿寒国立公園に指定され、硫黄山は特別保護地区として植物や採掘跡などが保護されています。硫黄山の麓には、つつじヶ原といわれ硫気孔原植生が広がっています。硫気孔原とは、硫黄の成分を含んだ噴気の影響を受けた植物層で、特殊な植生が見られます。噴気孔の周辺部はハイマツが多く、その外側にはイソツツジが群落的に生育しています。
 今回の観察会はイソツツジの花の見頃で、約100km2の白いお花畑を見ることができました。復路は馬車を利用し、参加者18名とスタッフ10名を乗せてつつじヶ原を馬の蹄の音を聞きながらゆっくりと戻りました。
 80年前の阿寒国立公園指定を踏まえ、硫黄鉱石が採れていた時代や昔の鉄道跡、馬車による当時の交通手段の体験など、自然と歴史に触れる観察会となりました。

硫黄山ルート
硫黄山ルート

安田鉄道跡
安田鉄道跡

馬と参加者
馬と参加者

姉妹都市交流会

 80周年記念式典は川湯のホテルで鹿児島県日置市との交流会と共に行われました。日置市との交流は昭和5年に阿寒横断道路の開通に尽力した日置市出身の永山存兼氏が縁になりました。国立公園の指定にあたって交通網を整備し、指定に向けて大きな役割を担ったことに敬意を表して、姉妹都市の交流を続けているものです。80年前の偉業に対して現在も語り継がれ、今の交流に至っています。
 式典では阿寒国立公園の歴史を振り返り、80周年記念アルバムの紹介などが行われ、日置市との交流も一層深まりました。

パークボランティア企画展

摩周・屈斜路パークボランティア(PV)連絡会による企画展
摩周・屈斜路パークボランティア(PV)連絡会による企画展

 川湯エコミュージアムセンターでは、10月から11月までの2ヶ月間「摩周・屈斜路パークボランティア連絡会」のメンバーによる企画展がセンター二階で開催され、13人が45点の作品を展示しました。
 また指定80周年を記念し、12月4日には来館者全てにスタッフ手作りのポストカードを配布、12月7日には弟子屈で開催された「バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル2014」にエコミュージアムセンターでもクラフトコーナーを出展しました。

冬本番

スノーキャンドル
スノーキャンドル

 北海道の東の中心部に位置する弟子屈町の川湯は、12月になると平均気温がマイナスになります。昨年12月の平均気温はマイナス2.7℃でした。例年25日前後に1週間ほど連続的に最低気温がマイナス15℃にもなり、地元でクリスマス寒波と呼ぶ厳しい寒さが続きます。これから川湯では冬の行事の「ダイヤモンドダストin 川湯」が開催され、寒さを主役にスノーキャンドル・ライトアップなどが行われ、氷点下での冬を体験できます。
 阿寒国立公園指定80周年を記念してさまざまな行事が行われ、節目の年となりました。これからも80年の歴史を踏まえ、新しい時代に対応した展開をエコミュージアムセンタースタッフ全員で進めて行きたいと考えているところです。

文・写真:(一財)自然公園財団 川湯支部 藤江 晋

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バックナンバー

  1. 001「新緑の上高地」 -花々との競演-
  2. 002「白色に染まる栂平(つがだいら)」
  3. 003「釧路川をカヌーで下る」
  4. 004「美笛の滝を訪ねる」
  5. 005「小田代原の草紅葉」
  6. 006「草津白根の秋」
  7. 007「みちのくのリゾートで湯治」
  8. 008「高千穂峰のご来光」
  9. 009「冬の瞰湖台(かんこだい)を歩く」
  10. 010「知床の流氷」
  11. 011「箱根仙石原 ススキ草原を守る野焼き」
  12. 012「迫力満点の鳴門の渦潮を見る」
  13. 013「宮崎・えびの高原のミヤマキリシマ」
  14. 014「新緑の中で足湯」
  15. 015「大山の高山植物群落を訪ねる」
  16. 016「洞爺湖有珠山ジオパークの魅力」
  17. 017「秋の砂丘をゆく」
  18. 018「秋の雲仙」
  19. 019「川湯のハイマツ」
  20. 020「冬の大沼国定公園」
  21. 021「阿寒湖氷上のスノーシュー散策」
  22. 022「阿蘇の野焼き」
  23. 023「吾妻の春を告げる雪うさぎ」
  24. 024「青い水がめ・支笏湖(しこつこ)」
  25. 025「奥日光ののんびりスポット」
  26. 026「仙石原湿原の初夏」
  27. 027「雲海と夕景と朝日・夏の十和田湖」
  28. 028「知床五湖・転換期のメッセージ」
  29. 029「秋の鳴門」
  30. 030「高千穂河原周辺情報」
  31. 031「上高地の野鳥」
  32. 032「草津の森をスノーシューで歩く」
  33. 033「新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原」
  34. 034「冬の登別観光」
  35. 035「歩いて楽しむ雪の八幡平」
  36. 036「春遠し 摩周湖」
  37. 037「鳥取砂丘の地形・地質を楽しもう!」
  38. 038「カルデラ地形を望む 阿寒岳の登山!」
  39. 039「大沼国定公園のもう一つの魅力」
  40. 040「浄土平でスターウォッチング」
  41. 041「ジオパークを目指す箱根」
  42. 042「大山(だいせん)のお楽しみ」
  43. 043「秋の阿蘇草原」
  44. 044「支笏湖が創る芸術作品「しぶき氷」」
  45. 045「奥日光で「雪」を楽しむ!」
  46. 046「冬のTOYA(洞爺)」
  47. 047「雲仙の春」
  48. 048「春の大沼国定公園の楽しみ方」
  49. 049「阿蘇の草原とあか牛」
  50. 050「火山×ミヤマキリシマ in 高千穂河原」
  51. 051「阿寒カルデラで楽しいのって、いつなの?  今でし…!? いいえ通年です」
  52. 052「白根山でリンドウを楽しもう。」
  53. 053「上高地、色彩の秋から初冬へ」
  54. 054「見どころ溢れる秋の十和田湖」
  55. 055「知床五湖の原生林と開拓の歴史?自然保護の歩み」
  56. 056「八幡平 雪の世界」
  57. 057「冬こそ!砂丘へ行こう!」
  58. 058「雄大な鳴門海峡の自然現象」
  59. 059「大山の森を巡って」
  60. 060「「南北海道国立・国定公園巡りスタンプラリー」にご参加を。」
  61. 061「箱根は隠れた鳥の楽園!?」
  62. 062「『今だけ』がいっぱい!戦場ヶ原ハイキングのススメ」
  63. 063「霧降高原は今…」
  64. 064「晩夏の普賢岳新登山道を歩く」
  65. 065「洞爺湖有珠山ジオパークのサイト維持活動」 -旧とうやこ幼稚園の価値を、自分たちで守ろう!-
  66. 066「秋の浄土平」
  67. 067「阿寒国立公園指定80周年」
  68. 068「高千穂河原からの便り」
  69. 069「上高地の開山準備」

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