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「国立公園Walker」バックナンバー

0572014.01.21UP冬こそ!砂丘へ行こう!

“冬の砂丘”って楽しいの?

 心地よい風とやさしい日差しの春、子どもたちの元気な声が朝から聞こえる夏、暑さが落ち着いて行楽日和が続く秋。そんな季節に比べると、天候の悪い日が多くなる冬は「砂丘の観光シーズン」とは言えない季節かもしれません。冬の砂丘は観光客の方がグンと減り、荒天の日には「砂丘に人っ子一人いない」という時間帯もあります。
 しかし、冬の砂丘では春・夏・秋には味わうことのできない迫力ある自然の景色を体感することができます。「冬こそ!砂丘へ行こう!」そんな“冬の砂丘ファン”が一人でも増えてくれることを願いながら、冬の見どころを紹介したいと思います。

冬の主役は「砂丘を作った風」

 何といっても、冬の主役は北西(海から)の季節風です。中国山地から川を下って海へと運ばれ、波の力で岸へ打ち上げられた砂たちは、この北西風によってさらに内陸へと運ばれ、鳥取砂丘を作り出しました。
 北西風が吹き荒れる日、砂丘の入口階段を登っていると、頭の上にパラパラと砂が降ってきます。あれ?と思いつつ足を進め、階段の上まで到着すると、強烈な風と砂が真正面から体当たりをしてきます。目を開けることすらできず、砂丘の姿を見ることなく階段を一目散に下ります。トイレへ駆け込み、「あ~ヒドい目に遭ったな~」と鏡を見てみると、髪の毛、顔、そして服までも砂だらけ…。
 と、こんな書き方をすると「誰が砂丘を歩くもんか!」と思ってしまうかもしれませんが、この北西風と砂嵐こそ冬の醍醐味の一つです。そのため、冬の砂丘を楽しむには飛んでくる砂から身を守る服装が大切なポイントになります。私たちは上下レインウェア、長靴、手袋、ゴーグルという完全装備で砂丘を歩きます。

強烈な飛砂(風は右から左へ)
強烈な飛砂(風は右から左へ)

階段上、飛砂で正面(砂丘の方向)を向けない
階段上、飛砂で正面(砂丘の方向)を向けない

砂嵐の中を歩く

 砂が動き始める風速は4~5mで、砂丘を代表する模様「風紋(ふうもん)」は砂が乾いているときに風速5~8mの風が吹くことで作られます。10mを超えるような風が吹くと砂は激しく移動し始め、20mに近い強烈な風が吹くと、砂が生き物のように砂丘中を駆け回ります。
 北西風が吹き荒れる日、入口階段の上から馬の背を目指して歩くと、正面から自分に向かって砂が飛んできます。馬の背の斜面を登り始めると、正面だけでなく上や横からも砂を浴びます。視界不良、息をするのもやっと、という最大の山場を乗り越えると、馬の背に到着。北西風を受けながら眺める日本海の白波景色は登り切った人へのご褒美です。
 砂嵐の砂丘歩きは“ゆったり、のんびり”とは真逆の体験なので、「お気軽にどうぞ」とは言いにくいですが、砂丘を作りだした自然のパワーを全身で感じることができます。冒険心を少しでもくすぐられた方、ぜひ一度体験してみてください。

砂嵐の馬の背
砂嵐の馬の背

煙のように砂丘を駆け抜ける砂(右手前から左奥へ)
煙のように砂丘を駆け抜ける砂(右手前から左奥へ)

強風が駆け抜けた足跡

 砂嵐を起こした強烈な風たちは砂丘のあちこちに不思議なデコボコ模様を残していきます。それが「砂柱(さちゅう)」と呼ばれる浸食微地形。
 砂柱は雨を伴った風速12m以上の風が吹くことで作られます。強い風によって砂は吹き飛ばされますが、砂よりも粒子が細かいシルトは雨によって粒同士がくっつき、薄層を作ります。これが風に対して抵抗となり、薄層の周りの砂が吹き飛ばされることで三角錐状の微地形を作り出します。砂柱の大きさは数㎜~20㎝を超える大きなものまで様々。また、シルトの層の他にも、植物の葉や貝殻、小石が抵抗となって砂柱を作ることもあり、天候が荒れた翌日はバリエーション豊かな砂柱観察もおすすめの楽しみ方です。
 寒さに負けず砂丘へ出かけてみると、冬だからこその面白さや不思議がたくさん。冬こそ!砂丘へ行こう!

砂柱(左から右へ吹いた風でできた)
砂柱(左から右へ吹いた風でできた)

小石を頭に乗せた砂柱
小石を頭に乗せた砂柱

鳥取砂丘探検マップ
鳥取砂丘探検マップ(クリックするとPDFファイルが開きます)


自然公園財団 鳥取支部 阿部 千春

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