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「国立公園Walker」バックナンバー

0332012.01.31UP新燃岳噴火を乗り越えて…冬のえびの高原

野外アイススケートリンクがオープン

韓国岳を背景に楽しむスケーター
韓国岳を背景に楽しむスケーター

 宮崎県と鹿児島県の県境にあるえびの高原は、冬季は冷え込みが厳しく冷蔵庫の中で生活しているような感じです。南国とはいえかなりの積雪があり、家族で雪遊びが楽しめるところでもあります。12月には、国内最南端の野外スケート場がオープンしました。
 もともとこの地域のスケート場は天然のリンクとして多くの方に利用されていたのですが、温暖化等の影響で自然氷結が難しくなり、近年ではテニスコートを人工的に氷結させたリンクを使うようになりました。市街で営業されていたスケートリンクもなくなったので、県内外の利用者が多く利用しているようです。
 霧島屋久国立公園の最高峰・韓国岳(からくにだけ)の冠雪を眺めることができる絶好のロケーションでリンクに白いスプールを描くのは気持ちよいものです。

冬季の池めぐり探勝路

白鳥山からの眺望は素晴らしい
白鳥山からの眺望は素晴らしい

 多くの探勝者を誘った紅葉も晩秋の冷え込みとともに景観を一変させ、すっかり冬の装いとなり、登山客や観光客の姿もまばらとなりました。新燃岳の噴火により、韓国岳など国立公園内のおもな山々の登山が禁止され、登山客が利用できるのは不動池・六観音御池(ろくかんのんみいけ)・白紫池(びゃくしいけ)の火口湖をめぐる探勝路と、甑岳(こしきだけ)の登山のみとなりました。これまで霧島山縦走をしていた登山愛好家は、新燃岳の噴火の影響を厳しく実感しています。
 四季それぞれの景観を見せる火口湖めぐりはいま、冬木立の間を澄み渡った空気が通り抜け、ときおり響き渡るシカ笛【1】を遠くに聞きながら、のどかに遊ぶ水鳥の姿を探勝できる最適な時期です。
 少し余裕があれば途中から二湖パノラマの展望台を経由し白鳥山(しらとりやま)で眺望を楽しみ、北展望台までを経由する池めぐり探勝路がおすすめです。白鳥山からは遠く開聞岳(かいもんだけ)・桜島などが眺められ、韓国岳と白紫池を背景にした絶好の撮影ポイントで、タイミングがよければ霧氷【2】が鑑賞できます。

暴れん坊の新燃岳

国内を騒然とさせた新燃岳の噴火
国内を騒然とさせた新燃岳の噴火

 新燃岳が本格的な火山活動を開始したのは2011年の1月末でした。それまでも、小規模な噴火を繰り返し、噴火警戒レベルを気にしながら登山を楽しんでいたところでした。
 突然の爆発的な噴火を目の当たりにして、霧島の観光や霧島山への登山はどうなるのだろうという不安が一瞬頭をよぎりました。その心配は今も解消できず、噴火から1年を迎えます。
 規模の大きな噴火を繰り返した後は中規模の爆発へ変わり、9月7日の小規模な噴火以降は静かな新燃岳です。
 爆発の威力もすごいものでした。噴火にともなう空気の振動で近隣のホテルの分厚いガラスが割れ、巨岩を約4.3kmも吹き飛ばした火山弾は、40cmの立木をぶち切って爆弾が落ちたような形状を残しました。その威力は、今でも肌に強く感じられるようです。
 噴火時、霧島山は雪が積もっていて噴火による森林火災が発生しなかったことと、大きな人災がなかったことは幸いなことでした。
 5km以上離れているえびの高原は火山灰等の直接的な影響はありませんでしたが、風評被害は今でも続いています。

 桜島は噴火により登山が規制されてから57年目と聞いています。新燃岳の活動もそのようにならないように、息を潜めて見守っているところです。
 専門家は近い将来、規模の大きな噴火が発生するとして、警戒を呼びかけています。新燃岳が静かになり韓国岳や高千穂峰への登山規制が一日も早く緩和されるのを願うのみです。

えびの高原周辺
えびの高原周辺

(一財)自然公園財団 えびの支部 所長 満田宗雄

脚注

【1】シカ笛
 シカの鳴き声によく似た音を出す笛。シカ猟の時に、シカを誘い出すために用いられる。
【2】霧氷
 氷点下の環境で、空気中の水分が樹木などに付着して凍結もしくは昇華してできる氷の層のこと。樹木に半透明~白色の氷層が付着してできる樹氷や、強風時に風上側に形成される「エビの尻尾」などが霧氷の代表例。

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