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「国立公園Walker」バックナンバー

0232011.04.05UP吾妻の春を告げる雪うさぎ

目覚めの3月

桃の花と雪うさぎ
桃の花と雪うさぎ

 日本の多くの地域では、3月ともなると春の息吹が感じられ、なぜかわくわくした気分になりますが、福島県・吾妻の春は程遠く、吾妻小富士はまだ雪ですっぽり覆われています。
 それでも、4月8日の磐梯吾妻スカイライン開通に向けて、ロータリー除雪車や除雪ドーザー、ブルドーザー等々の除雪機械の音が、けたたましく響き渡ります。
 吾妻連峰は磐梯朝日国立公園の一角を担っています。なかでも福島市の西方にそびえる成層火山、吾妻小富士は、吾妻連山の中核に相応しい優美な姿で、誇らしげに来る者を迎えます。
 毎年4月上旬になると、標高1,707メートルの吾妻小富士の山肌にうさぎの形をした雪形がくっきりと姿を現します。別名「種まきうさぎ」として古くから知られていて、福島市周辺の農家の人達はこのうさぎを見ると春の訪れを知り、苗代に種をまき始めたと言われています。その関わりは今も変わらず、うさぎが姿を現すと、田や畑のあちこちからトラクターのエンジン音が聞こえてきます。
 吾妻の雪うさぎは、すでに江戸時代にも知られていたことが当時の文献でわかっていますが、今では春を告げる福島の象徴として、テレビにも取り上げられ、広く全国に親しまれています。

雪うさぎが姿を見せるころ、山麓は春の花で彩られる雪うさぎが姿を見せるころ、山麓は春の花で彩られる

4月下旬、雪うさぎが見られるころの吾妻小富士と浄土平(一切経山登山道からの展望)4月下旬、雪うさぎが見られるころの吾妻小富士と浄土平(一切経山登山道からの展望)

大きな「雪うさぎ」

くっきりと姿を現した雪うさぎ
くっきりと姿を現した雪うさぎ

 吾妻小富士の北東部に現れるこの雪うさぎの大きさは、その年の積雪量や気温の高低によって変化するとされていますが、昭和60年4月下旬の調査結果によれば、耳の長さ85メートル、耳上から顔下まで252メートル、顔から尻まで341メートル、傾斜は26度から34度でした。今年、平成23年は例年になく降雪量が多く、この原稿を書いている2月末の時点で、いまだ兆候すら確認できませんが、もう少し雪融けが進めば、さぞかし大きな「雪うさぎ」の雄姿を臨むことができるのではないかと期待が膨らみます。
 平成9年5月、福島市蓬莱町の一角に「種まき兎伝説発祥の地」と石に刻んだ記念碑と、民話を記した看板が建立されました。機会があればぜひ訪ねてみてください。

四季折々、見どころ満載

 磐梯朝日国立公園は、昭和25年に国立公園に指定されました。以来60年の歳月が流れ、昨年(平成22年)国立公園指定60周年記念式典が盛大に行われました。面積は186,400ヘクタールで、国立公園としては全国3位の規模です。このうち「雪うさぎ」が見られる吾妻小富士のある磐梯吾妻地区は68,244ヘクタールを占め、山岳景勝地を縫うようにスカイライン、レークライン、ゴールドラインという3つの有料観光道路が走っています。中でも全長28.7kmのスカイラインは、吾妻8景に代表される絶景を楽しむことができます。4月には「雪の回廊」、5月から7月には新緑とイワカガミやチングルマ、ワタスゲなどの可憐な高山植物、10月には燃えるような紅葉が迎えてくれます。
 スカイラインのちょうど中間、標高約1600メートル地点に浄土平があります。福島駅からバスで約1時間。ビジターセンターやレストハウス、天文台があり、スカイライン観光の拠点となっています。また、登山や自然探勝の基地にもなっています。
 大自然に恵まれ、古くから雪うさぎの文化が親しまれてきた福島市や浄土平、仲間やご家族の皆さんと訪れてみてはいかがでしょうか。心からお待ち申し上げております。

磐梯吾妻スカイラインから見る夏の吾妻小富士磐梯吾妻スカイラインから見る夏の吾妻小富士

夏の吾妻小富士と浄土平(この写真を撮影した登山道は噴気のため、現在通行止)夏の吾妻小富士と浄土平(この写真を撮影した登山道は噴気のため、現在通行止)

観光客でにぎわう吾妻小富士登山道(秋)観光客でにぎわう吾妻小富士登山道(秋)

福島市内から見る冬の吾妻山(左が吾妻小富士、右が一切経山)福島市内から見る冬の吾妻山(左が吾妻小富士、右が一切経山)

(財)自然公園財団浄土平支部 所長 古関 吉勝

※震災の影響により、4月8日に予定していた磐梯吾妻スカイライン・浄土平の再開は時期が遅れることが見込まれています。

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このレポートへの感想

今回の震災で例年通りの農作業ができるかかどうかと、
収穫物を安心に食べることができるのか不安です。
(2011.04.06)

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