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「国立公園Walker」バックナンバー

0582014.02.10UP雄大な鳴門海峡の自然現象

双子の渦
双子の渦

 鳴門海峡と大鳴門橋の全貌を眺められる鳴門公園は徳島県を代表する観光名所です(文末の「鳴門公園案内板」参照)。
 海峡は潮の流れが激しく、満月と新月のときには、四季を通じて大きな渦潮(うずしお)を観ることができます。特に春と秋の大潮には、大河のような激流と直径が20メートルにも及ぶダイナミックな渦が発生します。

「渦の道」からの観潮
「渦の道」からの観潮

大渦
大渦

 鳴門の渦潮の見どころについては、以前、当コラムで詳しく紹介していますので、今回は別の視点から、冬から5月にかけて目まぐるしく変化する鳴門海峡の自然の営みをご紹介します。

強風による砂の造景

大毛島海岸の風紋(筆者撮影)
大毛島海岸の風紋(筆者撮影)

 車で鳴門市街地から小鳴門橋を大毛島へ渡り、小さいトンネルを抜けカーブを左に切ると雄大な鳴門海峡と長く続く美しい砂浜を望むことができます。平成24年大晦日、いつもの様に海岸を走らせていると、突然、大きな縞模様(風紋)が目に飛び込んできました。思わず路肩に車を止め撮影しました。

 後日、自然公園財団鳥取砂丘支部の音田所長に風紋について確認したところ、風速10m以上の強風が吹き続いた時に新たな風紋が出現するとのこと。その時の気象状況も、前日の夕刻から31日の朝方まで最大瞬間風速15m前後の西北西の強烈な風(気象庁の気象統計情報より)が吹き荒れて、派手な風紋の出現となりました。
 ところで、大毛島海岸に隣接する鳴門公園の網干駐車場とトイレは当財団の管理施設となっていますが、このエリアは地形的に年間を通して強風が吹くことが多く、飛砂の除去と清掃に多くの手間を掛けています。しかし、この管理者泣かせとなる邪魔物の砂が時にはこのように美しく変貌し、雄大な鳴門海峡の彩りとなります。

大鳴門橋が消える

 春から初夏にかけて鳴門海峡で不思議な現象が起きます。
 昨年、ゴールデンウイークを過ぎた5月中旬のことですが、鳴門公園に向かう車の中から、大毛島海岸より海峡方向に目を移すと、びっくりです。晴天なのにあるべき橋が全く見えない。大鳴門橋が消えていたのです。
 鳴門公園に近づくにつれ、この現象の謎が解けてきました。瀬戸内の播磨灘の海面に発生した垂れ込めた雲のような濃い海霧が鳴門大橋をすっぽりと包みこんでいました。それとは対照的に、外海の紀伊水道側には霧は全くなく晴れ渡っていました。この状況の下で海峡を遠望すると大橋が消えたように見えたのです。

消えた大鳴門橋(大毛島海岸より)(筆者撮影)
消えた大鳴門橋(大毛島海岸より)(筆者撮影)

霧に包まれた大鳴門橋(網干より)(筆者撮影)
霧に包まれた大鳴門橋(網干より)(筆者撮影)


霧に浮かぶ大鳴門橋(鳴門山展望台より)
霧に浮かぶ大鳴門橋(鳴門山展望台より)

 さらに、時間の経過とともに、濃霧は大橋主塔の上部からしだいに晴れてくると、なんと雲の上に架かったような幻想的な橋を見ることができます。

 なお、今回の鳴門海峡での海霧の発生について、前日と当日の気象情報を得て科学的に分析すると、播磨灘の海水温がまだまだ低い状況であったこと、その上、太平洋から湿度の高い暖かい南東の風が瀬戸内海へ流入したことの2つの気象要因が重なったことが明らかになりました(さらに、気温と海水温の高低差が大きいほどより濃厚な海霧になるといわれています)。

 今春も何回かこのような気象条件が生じるかも知れません。チャンスがあれば、幻想的な霧の鳴門海峡を見に来ませんか。

霧の中の大鳴門橋(鳴門市在住の長谷川大彦氏提供)
霧の中の大鳴門橋(鳴門市在住の長谷川大彦氏提供)

朝霧のウチノ海
朝霧のウチノ海

霧に囲まれた鳴門公園(鳴門山展望台より)
霧に囲まれた鳴門公園(鳴門山展望台より)

鳴門公園案内板
鳴門公園案内板(クリックするとPDFファイルが開きます)


(一財)自然公園財団鳴門支部 佐々木 浩
写真は、筆者撮影及び長谷川大彦氏提供のもの以外、すべて「鳴門百景フォトコンテスト」入賞作品(一般社団法人鳴門市うずしお観光協会提供)

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昔、見た懐かしい景色で、行きたくなりました。
(2014.04.22)

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