伝統料理のシュニッツェル(カツレツ)。仔牛の替わりに大豆を材料にしている。
写真提供:大豆加工食品ブランド「Provamel」
20年近くに渡りベジタリアン生活【注1】をしている夫の影響で、我が家の食卓には、豆と野菜中心の料理が並びます。私は外食時に時おり肉や魚を食べますが、夫のようにベジタリアン生活を選択する人は、ドイツでは珍しくありません。2001年の調査によると人口の8%に相当する600万人以上がベジタリアンとのこと【注2】。1983年の調査では、人口の0.6%だったので、その数は10倍に増えています。
ベジタリアンだというと、栄養が偏るのではないかと心配されることがあります。しかし、特に有機(BIO)の認証を受けた食品のみを扱う自然食品店の品揃えはバラエティーに富んでおり、ベジタリアンに対応した食料品が売り場に占める割合は、肉魚食品類を上回るほどの勢いです。ベジタリアンは、動物性たんぱく質の代わりに豆類を主食にすることが多いのですが、自然食品店では、小豆、大豆、ひよこ豆、レンズ豆など、10種類を越える豆や、豆を材料にした加工食品でウィンナーや伝統料理のシュニッツェル(仔牛のカツレツ)を模したもの、豆腐などをそろえています。
また、長年ベジタリアン生活を続けている友人の話によると、勤務先の食堂でも、栄養のバランスに配慮したベジタリアン定食が毎日用意されているそうです。レストランでも、ファーストフードからグルメまで、「ベジタリアンメニュー」を複数用意しているところがほとんどで、ベジタリアンは、ドイツの社会の中で市民権を獲得しています。
同、調理例。グリルパーティーでもお肉の替わりに大活躍。
以上2点の写真提供:Life Food社
ドイツベジタリアン連盟は、ベジタリアンの70%から80%が女性、若い世代が中心で、さらに大都市で生活していることを特徴に挙げています。
また、ベジタリアン生活選択は、これまでは、畜産の方法や殺戮に疑問を持つ倫理的な理由や健康への配慮がきっかけになることが多かったようです。しかし、最近では、肉食中心の食生活による大量のエネルギー消費や水消費などがレポートされる機会が増えてきていることから、環境問題や温暖化問題を理由にベジタリアン生活に入る人が増加しているそうです【注3】。
ベジタリアン生活が環境負荷や気候変動に与える影響を低く抑えることに注目し、週に1度、ベジタリアンデー導入のキャンペーンを実施する自治体や企業、組織も出てきました。
「ブレーメンの音楽隊」で有名なドイツ北部の町ブレーメン市では、今年1月に、ブレーメン市長のイニシアティブのもと、ベジタリアンデー「Veggi Day」を導入しました。既に公立の幼稚園や保険会社、ホテルなどが参加しており、給食や社員食堂、レストランでは、毎週木曜日に、ベジタリアン料理が主役となります。ブレーメン市は、2020年までに温室効果ガスを40%削減することを目標にしていますが、市民55万人が年52回の木曜日に、ベジタリアン生活を送った場合に削減できる温室効果ガス排出量は、4万台の自動車の排出量に相当すると算出しています。
ブレーメン地域銀行の食堂にてベジタリアンメニューで会食をするボーンゼン市長(左)
公立学校の中で真っ先にベジタリアンデーを導入したヴィルヘルム・カイゼン総合学校の食堂(小学校から高校まで一貫校)。
以上2枚の写真提供:Marketing FOCUS Deutschland GmbH
ベジタリアンデーの導入は世界に広がっており、自治体では、ベルギーのゲント市(2009年5月導入し、この取り組みの先駆者)、ブラジルのサンパウロ市(2009年10月以降定期的に導入)、ドイツのシュベーリン市(2010年3月導入)、アメリカのサンフランシスコ市などが実施しています。民間組織にも広がっており、ドイツのスポーツ用品メーカー「PUMA」の本部では、月曜日の社員食堂は完全なベジタリアンメニューになるそうです。
ドイツでは、ベジタリアン生活を選んでも不自由のない食生活を送ることができます。環境対策や地球温暖化対策のひとつとして考えられるようになってきたのは新しい傾向で、今後の展開が注目されます。
ドイツなどが週1回ベジタリアンデーを設けるようになったことは大変嬉しい傾向です。ゴアよりレオが地球に優しいということはわかりやすい説明です。殺生しない事は日本食の基本的な考えです。まねっこ日本でも逆輸入で早く広がるよう願います。
(2015.11.05)
ドイツでは、ベジタリアン生活を選んでも不自由のない食生活を送ることができます。環境対策や地球温暖化対策のひとつとして考えられるようになってきたのは新しい傾向で、今後の展開が注目されます。 ドイツでは、ベジタリアン生活を選んでも不自由のない食生活を送ることができます。環境対策や地球温暖化対策のひとつとして考えられるようになってきたのは新しい傾向で、今後の展開が注目されます。
(2010.09.26)
ベジタリアン生活が地球温暖化防止につながるというのは新しい発想ですね。さすがドイツだと思いました。
(2010.07.06)
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