エコラベル制度は、環境に配慮した製品やサービスにラベルをつけて消費者に推奨するしくみです。ドイツでは、政府が発行する公的なものから、民間の組織が発行する自主的なものまで、さまざまなラベルが存在します。エコラベル商品は、食品を扱うスーパーだけでなくドラッグストア、電気屋、衣料品店などにも並び、さらに電力や保険商品にもふつうに選択肢として扱われています。公的なものから民間のものまで、人々のエコライフにすっかり溶け込んでいます。
有機農業で作られた生産物に貼ってある六角形の「BIOマーク」は公的なエコラベル。ドイツのスーパーの『エココーナー』ではすっかりお馴染みのラベルです。ラベルをつけるには、「エコロジー食品とその表示に関する欧州連合の規則」の基準を満たしていることが条件です。この基準は「最低限」のものだそうで、より厳格な基準を設定しているのが民間の組織「Demeter」や「Bioland」のエコラベル。さらに、エコワイン用のエコラベル「Ecovin」も存在します。 また、ナチュラル志向の高まりを受けて増えてきた、エコを強調する化粧品に対して、医薬品・栄養補助食品・衛生製品・化粧品の産業組合が2001年に開発した「BDHI」は、植物性の原料、動物性の原料の制限や動物実験の有無、鉱物性原料や生産プロセスについて、厳格な基準を守るよう規定したエコラベルで、これまで約5000品につけられています。また、動物性の原料を一切含まない食品や化粧品等に対して付けられる、ビーガン【1】のエコラベルも見かけるようになりました。
左からボディクリーム(BDHIとビーガンマーク添付)、洗濯用洗剤(エコテスト添付)、ハンドクリーム(BDHIとエコテスト添付)
たくさんあるエコラベルのなかでも長い歴史を持ち、人々の生活に浸透しているのが「エコテスト」です。1985年に発刊された商品テスト誌「エコテスト」の結果に基づいて表示されるもので、対象商品は、化粧品、子どものおもちゃ、塗料、照明器具、医薬品、自転車保険などなど、基本的に生活で必要なものすべてになります。エコテスト社は、毎月約1000製品を、ドイツ各地の独立系の分析機関でチェックしているとのこと。分析結果は、学校の成績のように「優(sehr gut)」、「秀(gut)」、「良(befriedigend)」、「可(ausreichend)」、「不十分(mangelhaft)」、「不可(ungenuegend)」で判断されます。「優」や「秀」を取った商品は、ラベルの表示権をエコテスト社から購入して商品に貼り付け、店頭で他の製品との差を示すことができます。エコテスト誌のウェブページには1992年以降の膨大な量のテスト結果が掲載されており、ダウンロードも可能です。
2011年7月号のエコテスト誌では、ミネラルウォーターがテストの対象となりました。ドイツはミネラルウォーター大国で、全国で500以上の製品が販売されています。テストでは105製品が対象となり、重金属、細菌、鉱物含有量といった内容物や、ペットボトルやガラスといった容器の種類について分析されました。その結果、2製品に1つが「優」や「秀」だったものの、5製品に1つが「不合格」を意味する「不十分」、「不可」と判断されました。健康的な飲料であると考えられてきたミネラルウォーターのこの意外な分析結果は、消費者の関心を集めています。
ドイツで環境やエネルギーに配慮した商品を探すたびに目印になる、多様なエコラベル。それぞれの背景にはさまざまな思想や理念があるので、ラベルの示す意味を理解することが必要ですが、エコライフを続けるための重要な指南役になっています。
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.