我が家で使っている電気は、100%自然エネルギー産です。購入先は、地元マインツの電力会社「ENTEGA(エンテーガ)」。郵送で届いた報告によると、2008年のエネルギー源は、小規模水力発電84.3%、風力発電9.7%、バイオマス発電5%、太陽光発電1%だったそうです。もちろん、二酸化炭素排出量はゼロです。
センスの良いENTEGAの広報資料。もくもくと煙を出している化石燃料を使った発電所の「煙」を「緑の木」に塗り替えています。左のコメントは「自然はお金で解決できるものではない」、右のコメントは「電力は支払い可能な額でなければならない」。ここでは、エコ電気が、料金的にお得であることを強調しています。
ドイツでは、電力市場の完全自由化が導入されており、一般の家庭でも、電力会社を自由に選ぶことができます。私たちが、「ENTEGA」を選んだ理由は、化石燃料や原子力に頼らない電力を利用できる、地元を拠点にしている、町の中心に設置されたお客さまセンターで、省エネアドバイスやお得な制度の情報を手軽に受けることができること等が挙げられます。また、エネルギー効率の高い家電製品を購入した契約世帯には、ボーナスとして50ユーロ(約6000円)をプレゼントするなど、電力を売って利益を追求するだけでなく、エネルギーの効率的な使い方を推進する取り組みにも共感を持ちました。更に、町の中や公共交通機関のスペースを使った粋な広報活動もとても良いのです。
ENTEGAのエコ電気料金は、1kWhあたり23.29セント(約28円)。エコ電力会社最大手「LichtBlick」では、22.71セント(約27円)。また、1999年に市場に参入したドイツ初のエコ電力会社「Naturstrom」では22.63セント(約27円)となっています(注)。一方で、ドイツエネルギー・水経済連盟(BDEW)の発表によると、ドイツの電気料金の平均は、21.43セント(約26円。年間電力需要3500kWhで計算)。エコ電気は、一般の電気と比較すると若干高めではあるものの、極端ではなく、十分に受け入れることができる範囲の料金となっています。
ドイツの電力需要における自然エネルギーの割合は、1990年の時点で3.4%、2000年の時点では6.3%でしたが、以降順調に伸びており、2008年では、既に14.8%に達しています。
ドイツは、日照時間が短く、また、風が期待できる海岸沿いも北部のみと、決して自然エネルギー源に富んだ地域ではありません。そのため、ドイツ政府は、自然エネルギーを促進するために、効果的に政策を進めています。1990年の電力供給法制定で、自然エネルギーによって発電された電力が既存の電力網へ給電できるようになると同時に、最低買取価格が導入され、自然エネルギー発電設備の所有者に利益がもたらされる仕組みができました。この法律に替わって、2000年には、高い固定価格での買取制度が導入されました。買取りに係る費用は、すべての電力供給会社が平等に負担し、最終的に、すべての消費者が支払う電気料金に上乗せされます。設備所有者は、投資費用を短期間で償却し、高い利益を生み出すことが可能になったため、自然エネルギー設備への投資は魅力的なものとして扱われるようになりました。
ドイツ政府が掲げる目標は、2020年までに全電力需要の30%を自然エネルギーで供給すること。今後、さらに、人々の選択肢が広がり、身近な存在になっていくことが期待されます。
マインツに引っ越してきた当時の私たちは、Entegaがグリーン電力を証明するラベル「Energie Vision」を取得していたことから、この電力会社のグリーン電力商品を選択しました。
地元マインツの都市公社(Stadtwerke)が元の母体の一部であることもあり、マインツに根付いた電力会社を応援したいという気持ちからです。
なお、「Energie Vision」は、フライブルクのエコ研究所やWWFドイツなどが設立したもので、ドイツにおけるグリーン電力を証明する信頼のおけるラベルです。
ところが最近、Entegaのグリーン電力に対する批判を目にするようになりました。さらにマインツ都市公社が持ち株を売却したため、私たちがこの商品を選択した根拠のひとつもなくなりました。
これらは、無視することができない内容であるため、私たちは、電力購入先の変更手続きをしました。12ヶ月単位での契約となっているため、2012年秋に変更となります。
コメントありがとうございました。
注釈を追記しました。
(2012.09.03)
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