ドイツといえばビール。全国津々浦々に地ビールがあり、ドイツの代名詞ともなっています。実は、そのビールを超えて人々に好まれている飲み物が、コーヒーなのです。ドイツコーヒー連盟によると、ドイツ人ひとりあたりのコーヒー消費量は年間148リットルであるとか(ビールは年112リットル)。
そんな人々の暮らしに欠かせないコーヒーに、それぞれの地域やまちの名前が付けられた、地ビールならぬ「ご当地コーヒー」が、ドイツ各地に存在しています。でも、コーヒーは温暖な気候で育つ作物ですから、コーヒー豆がドイツで作られているわけではありません。ではいったいなぜ「ご当地」なんでしょう?
このご当地コーヒープロジェクトは、1990年代半ばに、ドイツ各地で始まった地域の環境、経済、社会の持続可能な発展を目指すローカルアジェンダ21の活動がきっかけとなり生まれました。特徴は、次のとおりです。
「Cafe Mayence」誕生のイニシアティブをとったフェアトレードショップ「Unterwegs」。まちの中心に位置し、毎日、たくさんの人でにぎわっている。このお店だけで、年間500kgの「Cafe Mayence」が売れるとか。
ここマインツでも、2000年にご当地コーヒーの「Cafe Mayence」が誕生しました。プロジェクトは、南北問題に取り組む市民団体やフェアトレードショップ、マインツの持続可能な発展を目指す「マインツ・ローカルアジェンダ21フォーラム」、そしてマインツ市がイニシアティブを取り、進められました。パートナーとなるコーヒー豆の生産者には、複数の産地のコーヒーを試飲した結果、最もマイルドで万人受けするコーヒー豆を栽培するメキシコ・チアパス地方のコーヒー農家の共同体「ISMAM」が選ばれました。「ISMAM」は、EUのオーガニック認証基準である「BIO」やドイツのオーガニック認証団体「Naturland」が定める基準を満たす豆を栽培しています。
「Cafe Mayence」は、市内のフェアトレードショップやエコスーパー、パン屋、教会施設などで販売されています。値段は250g入りで600円程度で、通常のコーヒーと比べて1割高い程度。マインツ市民やマインツを訪れる人々が、これを購入することにより、チアパス地方の社会や経済の成長、そして環境保護を、支援することができるのです。
ドイツ北西部のまち「ミュンスター」のご当地コーヒー「Muenster Kaffee」。ミュンスター・ローカルアジェンダ21プロジェクトのイメージカラーをまとった包装が印象的。
フランクフルトのご当地コーヒー「MainKaffee」。フランクフルトを流れるマイン川から取った名前。包装は摩天楼が立ち並ぶフランクフルトのまちをイメージ。
ドイツ国内には約800店のフェアトレードショップがあり、フェアトレード商品の売り上げ額は360億円近く(2008年)。その中でも、コーヒーは年間5200トンが売られる主要商品ですが、ドイツ・フェアトレードフォーラムの発表によると、ドイツ国内のコーヒー市場の1%を占めているにすぎません。
また、フェアトレード商品全体についても、積極的な購入者は南北問題やエコロジーに関心が高い人に限定されているのが現状です。
ご当地コーヒーは、把握できるだけでも50以上の市町村・地域で存在しています。
「Cafe Mayence」のように、「地元名」がブランドに付いたご当地商品が誕生することにより、これまで「フェアトレード」に特に関心を持たなかった市民や旅行者にも、商品購入の機会が広がっているそうです。
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(2014.06.02)
ご当地コーヒーについては私がドイツに行った時もいろんな街でやっていました。それに影響を受けて、日本ではFTSN(フェアトレード学生ネットワーク)の学生たちが、「街チョコプロジェクト」を、国立や府中、宝塚などで展開しています。この事例をある講演会で紹介したのですが、その内容をホームページに掲載したいと言われました。よろしいでしょうか?
(2014.06.01)
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