今年で10年目を迎える子どもマイレージキャンペーンのロゴ
(写真提供:気候同盟)
この秋、ヨーロッパ各地の子どもたちが、南アフリカのダーバンに向け、歩みを進めました。これは、欧州の自治体のネットワーク「気候同盟(Climate Alliance)」が行う「子どもマイレージキャンペーン」の光景。
「小さな温暖化防止活動家が移動中」をキャッチフレーズに、子どもたちが徒歩、ローラースケートや自転車、バスや鉄道で移動した距離を「緑のマイレージ」と決めて集めたのです。集められたマイレージは、気候同盟の本部に集められ、12月に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)事務局や政治家に贈呈されました。
キャンペーンは2010年秋にも行われ、ヨーロッパ10ヶ国から16万人の子どもたちが参加しました。ドイツでは、90地方自治体の4万6000人が参加。足型のシールを使ったり、自分たちの足型で歩みを表現したりと、「緑のマイレージ」の集め方もさまざま。また、環境や交通をテーマにしたイベントも多数開催されました。
ドイツ南部にあるドーンスタッド村ボーリンゲン地区(人口1000人)では、56人の子どもたちが4週間にわたって「緑のマイレージ」を集めました。彼らの取り組みは、人々の温暖化防止への関心を高め、多くの人々を巻き込むことができるとして、地区を挙げてこれを支援。平行して行われたたくさんのイベントでは、ペンギンと気候変動の物語の読み聞かせや、マラソン大会が行われました。
また、子どもや親たちが、自動車を使わずに、徒歩や自転車、ローラースケートなどで来られる遊び場にもなり、地球温暖化防止に貢献するという目的で、地区に新しく公園も建設。家族の憩いの場所づくりや、地区の雰囲気をよりよくすることにも役だっています。
この結果、集まった「緑の2117マイレージ」を、子どもたちの手でドーンスタッドの村長とボーリンゲン地区の地区長にプレゼントしました。
絵具で足型をとって自分たちの歩みを表現
(写真提供:Kreativ Atelier e.V.)
ペンギンと気候変動の物語を熱心に聞く子どもたち
(写真提供:Kreativ Atelier e.V.)
「緑の2117マイレージ」の贈呈式。やり遂げた子どもたちは誇らしげ
(写真提供:Kreativ Atelier e.V.)
2010年にヨーロッパ各地の子どもたちが集めた「緑のマイレージ」の合計は、地球66.5周分に相当する266万251マイレージ。これらのマイレージは、メキシコのカンクンで開催された第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)フィゲレス事務局長に贈呈されました。
事務局長は大変感激し「ヨーロッパの子どもたちのように、COP会議に参加する各国政府も、私たちの地球の未来を守るために一歩ずつ歩んでいくべき」と、メッセージを送りました。
COP16会場(メキシコ・カンクン)でフィゲレス事務局長に「緑のマイレージ」を贈呈(2010年)
(写真提供:気候同盟)
コペンハーゲンで開催されたCOP15での贈呈式には、キャンペーンに参加した多くの子どもたちも出席(2009年)
(写真提供:気候同盟)
今年で10年目を迎えたこのキャンペーンは、子どもたちに、「新鮮な空気の中での運動を通じて、体力の向上や授業に集中できる力をつける」、「社会への責任感や連帯感を生み出す」、「交通安全」などの効果があります。そして、「環境に配慮した移動によって不必要なCO2排出をせずに、温暖化防止に貢献」することを学ぶ機会を提供しています。
一方で、「交渉だけでなく具体的な行動を!」と、子どもたちは、空回りする国際会議や約束事に振り回されるのではなく、自ら行動することで具体的な行動を起こすよう大人へのメッセージを送っています。
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