ドイツ人の2人に1人が趣味にし、1人あたり年間平均5.2回楽しんでいるもの。それはハイキングです。世論調査によるとその目的は、87.3%が「自然を体験すること」、72.2%は「体を動かすこと」、64.4%の人々は「健康のため」と答えています。
確かにドイツでは、春や秋の週末になると、ハイキングや登山に行くたくさんのグループと列車で乗り合わせることがよくあります。特に、ライン川沿いの町マインツで暮らすようになってから、この機会はとても増えました。それはこの地域に、美しいライン渓谷を歩く「ライン川山道」があるからです。
ライン川と言えば、点在する古城とブドウ畑、木組みの家の美しい街並みを、遊覧船からゆったりと楽しむ川下りが有名です。特に、ドイツ中西部に位置するコブレンツ=ビンゲン間は世界遺産に指定されており、日本からも多くの観光客が訪れています。
世界遺産指定地域を含む、ライン渓谷中流上部の山道を歩く全長320キロメートルのハイキングコースを「ライン川山道」といいます。ライン川を観光資源とするノルトラインヴェストファーレン州、ラインランドプファルツ州、ヘッセン州による共同プロジェクトとして、2005年に整備されました。
ベートーベン生誕の地で有名なボンの旧市街に始まり、ライン川とモーゼル川が合流するコブレンツ、日本人観光客に人気のワインの町リューデスハイムを経て、保養地として有名なヴィースバーデンのヴィーブリッヒ城を到着地点にしています。
「ライン川山道」は、3時間あれば歩けるコースから1日がかりのコースまで23ルートに分けられています。それぞれのルートの発着地は、ドイツ鉄道の駅に設定されているので、車がなくても大丈夫。発着地が異なるため、車で来るとかえって不便になり、鉄道の利用がお得です。
シンボルマークの「R」マークは行程全体で8000近く、さらに具体的な地名と距離を指す「道標」も900近く設置されており、初めて訪れる人々にとっても歩きやすい仕組みになっています。また、各ルートのゴール地点には宿泊設備もあるため、土日に1泊2日で2つのルートを歩くこともできます。
太陽の光を浴びてキラキラと光るライン川を下に眺めながら、ワイン用のブドウ畑の間を果実を摘まみながら歩き、時には険しい岩山を登り下りしたり、さらにアスレチックの如く厳しい崖を、ロープを伝ってそろりそろりと歩いたりと、バラエティ溢れる体験ができます。そして、すっかり歩き疲れた頃には古城が現れ、雰囲気のあるカフェでひと休みすることもできます。
320キロメートルの山道は、気候や地形、風景、そして文化も異なり、毎回、新鮮な感動を与えてくれます。それぞれの特徴や、自分の関心のあること、そして体力と相談のうえ、コースを選んでみるとよいでしょう。
素晴らしい自然体験や中世の歴史への感慨を提供してくれる「ライン川山道」ハイキングルート。観光地からも近いため、是非、ハイキングシューズを持参して渓谷を歩いてみてはいかがでしょうか。
スペイン巡礼の途中で出会ったコブレンツに住むお爺さんにライン川歩きの楽しさを聞き、来年の4?5月に歩く計画を立てています。
一度にボンからヴィスバーデンまで歩くか2度に分けるか思案中にまどかさんのレポートを見つけました。もう少しお話を聞きたいですね。
(2015.11.12)
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