この秋、地方自治体の議員と市民が一緒になって自転車の走行距離を競うイベントが、ドイツ各地で開催されました。このイベントは、今年で2回目。昨年の第1回は1800人だった参加者が、今年は約6000人にまで増えました。そのうち430人が議員です。
北海からアルプスまで、ドイツ全国の35の自治体を舞台に開催されたこのイベントは、「Stadtradeln」。ドイツ語で町を表す「Stadt」と自転車を漕ぐことを意味する「radeln」からつくられた造語で、さらに、自治体の議会を指す「Stadtrat」を掛けたものです。「Stadtradeln」に参加した自治体は、議員と市民の混合チームを複数つくり、通勤や通学、余暇の移動に自転車を使い、町を駆け巡りました。
3週間のイベント期間で達成された走行距離は、赤道線29.95周分に相当する120万km以上に。さらに、自動車の利用と比較して、17万kg以上のCO2排出量削減が達成されました【1】。
南ドイツに位置するランドフート市では、なんと全市議会議員の89%が参加し、プライベートだけでなく、議会の出席にも自転車を使いました。友人たちとチームを作り、自らもキャプテンとして活躍したランプ市長は、「自転車交通は、健康だけでなく、エコロジーにとっても重要。機能的で安全な自転車インフラ整備をこれからも促進していきたい」と話しています。また、今回のイベントで、最長走行距離を達成したラインベルク市では、12万キロメートル以上の走行距離を達成し、1万8000キログラム以上のCO2排出量を削減しました。市役所の職員と結成したチームでキャプテンを勤めたメニッケン市長は、「自転車交通の促進は、排気ガスや騒音を少なくし、多くの空間を生み出し、町の魅力を高める」と語りました。
ドイツでは、約80%の人々が自転車を所有しています。一方で、人が移動する際にどの交通手段を選ぶか、その割合を示す指標でみた自転車の割合は、まだ9%に過ぎません。ちなみにドイツの隣国デンマークは17%、オランダでは27%となっています。
CO2や他の有害物質を排出せず、騒音も出さない自転車の利用を促進するためには、自転車を利用しやすくするためのインフラ整備が欠かせません。そしてこれは、環境に配慮した地域交通政策によって実現できます。地域の政策を決定する地方議員が中心となって行われるこの「Stadtradeln」は、自治体予算の重点項目に自転車インフラ整備を加える、自転車利用を考えた都市計画をつくるなどの変化を生み出すきっかけとなっているようです。
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