気候変動・温暖化問題に注目が集まる中、企業の温暖化対策は不可欠になってきています。ドイツ鉄道は、そのような企業に対し、出張で鉄道を利用する際にCO2をまったく出さない商品を提供しています。これは、出張時の鉄道移動に必要となるエネルギーを100%、再生可能エネルギーで供給するというもの。排出したものをオフセット(相殺)するのではなく、再生可能エネルギーで作られた電力を利用することにより、CO2を排出しないで移動できるということが強調されています。
ドイツ鉄道は国内最大の鉄道会社です。長距離、中距離、都市近郊鉄道など、国内の交通を網羅しており、移動には欠かせません。
ドイツ鉄道が「環境プラス」と名付けたこの商品を利用するために、企業はまず顧客登録を行います。そして、出張時の鉄道移動に係るエネルギー需要をドイツ鉄道が計算し、それを100%、再生可能エネルギーで供給するための費用を、運賃に追加するという仕組みです。金額は、運賃の1?2%程度。例えば、ベルリンからフランクフルトへの片道移動に必要な「環境プラス」の料金は、76セント(約87円)になります。これが、97ユーロから113ユーロ(約11000円から13000円)の通常運賃にプラスされます。企業は年末に「環境プラスを利用したことで排出削減できた二酸化炭素」の年間総量が記載された証明書を受け取り、株主や消費者に対し温暖化に取り組んでいる姿勢をアピールできます。
2009年に販売を開始したこの商品は、徐々に利用企業を増やしていき、これまで150万回の出張に利用されています。2010年10月末には、ドイツ連邦政府も利用を表明。ドイツ全国の連邦政府職員の出張時に利用されることになり、「環境プラス」の最大の利用組織となっています。
ドイツ鉄道は、2020年までに、CO2を2006年と比較して20%削減することを目標にしています。この商品を多数販売することは、ドイツ鉄道にとっても、目標達成の足掛かりとなるものです。
ドイツ鉄道は、二酸化炭素を排出しない移動を増やしていくべく、積極的な活動を行っています。北部の大都市ハンブルクでは、都市近郊鉄道S-Bahnの運営にかかるエネルギー需要を2010年1月以降、すべて再生可能エネルギーでまかなっています。また、学校の遠足、パック旅行、貨物の運送など、多様な範囲で、CO2を排出しない商品を提供し、徐々に、利用の機会を増やしてきました。
まだ導入されていない分野は、個人での鉄道利用です。けれども既にこの分野についても、商品化を予定するコメントが出されており、実現すれば、旅行の時の温暖化問題への影響が気になっていた人々にとっても、大歓迎されることでしょう。
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