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「統計から暮らしを読む」バックナンバー

0092026.04.28UPLED照明はどのぐらい普及している?

 皆さま、こんにちは。お元気でしょうか。すっかり暖かい季節になりましたね。4月の最初の数日は寒い日もありましたが、今やもうすっかり初夏の陽気で、いったい春はどこに行っちゃったのだろうと、ここ数年、この時期になるといつも思っています。
 このコラムを読んでくださっている方の中には、新たな職場や新たな立場でこの春を迎えられた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。新たに、生活の中でのエネルギーの使われ方や、家庭での省エネ・省CO2に関わられる方が、この分野に興味・関心を持つきっかけになるようなものを書くことができればと思っております。

日本の家庭における照明の使い方と省エネ意識

 さて今回は、照明を取り上げたいと思います。照明は部屋を明るくするための基本設備です。歴史的に、家庭内で電気が使われるようになった最初の用途が照明(電灯)で、照明のことを「電気」と呼んでいることがその象徴です。どんなに日当たりの良い家であっても、夜になると照明は必需品になります。どのような家に住んでいても照明はあるのではないかと思います。
 照明は、部屋の中を見やすくするためだけにあるわけではありません。時にはあえて薄暗くして心を落ち着かせたり、色のあるライトでムードを盛り上げたりと、空間の雰囲気を居住者の気分に沿ったものに変えるような役割もあります。

 一方で、誰もいない部屋の照明を点けっぱなしにすることは、昔から典型的な無駄と捉えられているように思われます(実際、無駄だと思います)。昔から「電気を点けっぱなしにしないで!」ということを言われて育った人も多いのではないでしょうか。他の家電や住宅設備と比べると、照明に対する一般的な省エネ意識は比較的高いように感じられます。
 毎度お馴染みの環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(家庭CO2統計)(注1)では、生活の中での省エネ行動20種類の実施状況を調査しています(図1)。その中でも「短時間でも場所を離れるときは消灯するように心がけている」世帯は約8割に上っていて、他の省エネ行動と比べるとその実施率が比較的高いことが窺えます。


【図1:省エネルギー行動20項目の実施状況(2023年度)】

【図1:省エネルギー行動20項目の実施状況(2023年度)(注2)
※四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。


 日本において照明の省エネ意識が高くなった理由を考えてみますと、1970年代のオイルショックの時に、政策的に「減灯」がなされ、国民に節約を意識させる象徴として照明の節電が印象付けられたことが一因になっているのかもしれません。直近だと東日本大震災直後も同様でしたね。さらに、使い手目線で考えると…

1.照明は、使っているか否かが一目で判断できて無駄に気づきやすいから
2.照明は、「不在時は不要」という価値観が理解しやすいから
3.照明は、オンオフが簡単に切り替えられるから

などが思い付きます。他にもあるかもしれませんが、皆さんはどう思いますか?

家庭の電力消費量に占める照明の割合は?

 図2は、家庭CO2統計の結果を活用して、家庭における消費電力量の内訳を推計したものです。これは前回(第8回)のコラム(注3)で紹介した図1を、2019年度版から2023年度版にアップデートしたものです。これを見ますと、1世帯が1年間で消費した電力量の合計(4,027kWh/年)のうち、照明分は483 kWh/年で、全体に占める割合は12.0%と試算されています。これは、エアコン冷房よりも大きな数字で、冷蔵庫に次いで2番目に大きな割合を占めています。なお、これは日本全体の全世帯の平均ですので、世帯によってこの状況は変わることに注意が必要です。例えば、暖房にも給湯にも電気を使っていないような世帯では、照明が占める割合はもっと増えるかもしれません。


【図2:家庭における消費電力量の内訳(2023年度)】

【図2:家庭における消費電力量の内訳(2023年度)(注4)


LED照明の省エネ効果は?

 そんな照明ですが、近年は電力消費の少ないLED照明の普及が進んできました。特に東日本大震災後、節電意識が一気に高まったことと相まって、家庭での普及が進みました。LED照明の省エネ効果はどのぐらいなのでしょうか。一般財団法人家電製品協会が発行している「スマートライフおすすめBOOK完全ガイド2025」(注5)を見てみますと(図3)、シーリングライトの場合、蛍光灯タイプと比較してLEDタイプは約49%、電球の場合、白熱電球から電球型LEDランプは約86%、それぞれ省エネになるとされています。家庭内の様々な家電や設備を見渡しても、従来品と比べてこれほどまでに省エネ効果が得られるものはLED照明以外にはありません。


【図3:LED照明の省エネ効果】

【図3:LED照明の省エネ効果】(出典:一般財団法人 家電製品協会(注5)


LED照明はどのぐらい普及している?

 そんなLED照明が、現在どのぐらい普及しているのかを、家庭CO2統計から見てみましょう。図4は、居間で使用している照明の種類が、2017年度から2023年度にかけてどのように推移してきたかを示したものです。左は持ち家での状況、右図は民間の賃貸住宅での状況を、それぞれ示しています。いずれも、この7年の間にLED照明の普及が進み、蛍光灯のシェアが小さくなってきていることが窺えます。
 一方で、賃貸住宅では持ち家と比べると伸びが緩やかで、2023年度においても半数弱の世帯ではLED照明を使用していないことが分かります。賃貸住宅の場合、居住前から照明器具が据え付けられており、その所有権も居住者に無い場合があるため、築古物件においては、古い照明器具がそのまま残り続けているケースもあると考えられます。その場合、大家さんが取り替えないといけないわけですが、大家さんが普段の電気代を支払っているわけではないため、高効率な高額設備に買い替えるモチベーションがあまり上がらない、ということが起きることもあります。


【図4:居間で使用している照明の種類の推移(2017~2023年度)】

【図4:居間で使用している照明の種類の推移(2017~2023年度)】
※四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。


 かつては、LED照明器具は高額であったため、いくら効率が良くても購入に踏み切れないことが多かったと思います。そういうこともあり、自治体等はLED照明導入のための補助をしてきました。現在もそのような補助はあるのですが、一方で、今はかなり安価なものも増えてきて、価格が普及の障壁になっているという時代では徐々になくなってきました。さらに現在は、全ての一般照明用の蛍光ランプ(蛍光灯)の製造と輸出入の規制が進んでいて、2028年1月1日以降は全て禁止となります(注7)。これは、蛍光ランプに使われている水銀の使用を取り締まるための国際的な取り決めによるもので、省エネが目的なわけではないのですが、結果的にこれが、これまで普及が進みにくかった場所へLED照明が普及するきっかけになり、更なる省エネに繋がる可能性はあると思います。

 ただし、LED照明に交換しても、必要以上に多くの照明を使ったり、こまめな消灯を止めたりしたら、せっかくの省エネ効果も無駄になりかねません。機器が効率的になっても、最後は人々の使い方が重要になるのです。

最後に

 さて今回は、このコラムを書き続ける上で、個人的にどうしても触れておかなければならないことを、最後に書いてこうと思います。

 2026年4月5日に、私の所属する住環境計画研究所の会長であった中上英俊が81歳で逝去致しました。1973年に住環境計画研究所を設立し、以後53年に渡って代表を務め、日本のエネルギー問題や環境問題に、常に生活者の目線で一石を投じ続けてきました。この3月31日に、住環境計画研究所の代表をバトンタッチされたばかりでした。

 中上会長の功績は多岐に渡るので、ここでその多くを紹介することはできませんが、このコラムに関連するところでは、家庭CO2統計を構想し、実現させたことはその一つです。省エネ・省CO2の議論をするためには、どこでどんな人がどのようにエネルギーを使っていて、どこに省エネの余地があるのかを精緻に把握しなければならず、そのような実態を捉えたデータベースが必要だ、という中上会長の長年の主張が、家庭CO2統計という政府統計として結実したのが2017年度のことでした。

 私が当社に入社したのが2015年4月で、私の最初の任務は、家庭CO2統計の実現に向けた最後の検討を行うことでした。私は入社前までは機械工学分野の研究に携わっていたこともあり、それまでとは全く異なるタスクを任されたことに、少なからず戸惑いもありましたが、その後10年以上に渡り一貫して家庭CO2統計に関わってきたことが、私のエネルギー問題・環境問題への向き合い方に大きな影響を与えてくれました。この統計は、一般家庭で暮らしている普通の生活者目線でエネルギー消費を捉えています。エネルギー問題という、一般の方々にとっては難しく思われがちなテーマに、「生活」という視点を持たせてくれる貴重な統計です。このような統計調査が実現できたのは、中上会長が常に生活者の目線を第一にしてきたからこそだと思っています。

 家庭CO2統計を実現してくださった中上会長には心から感謝しています。この統計が、専門家だけでなく、これを読んでくださっている方々にも届き、日本の省エネ・脱炭素に繋がるよう、頑張ってゆきたいと思っております。

注釈

(注1)
環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計)
(注2)
令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)を用いて、住環境計画研究所が作成
(注3)
エコレポ「統計から暮らしを読む」第8回:冷蔵庫はどのような使われ方をしている?
(注4)
株式会社インテージ, 株式会社住環境計画研究所「令和7年度家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務(令和7年度調査分の実施等)報告書」p.86
(注5)
一般財団法人家電製品協会:スマートライフおすすめBOOK完全ガイド2025, p.34
(注6)
平成29~令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)を用いて、住環境計画研究所が作成
(注7)
一般社団法人照明工業会LED照明ナビ「蛍光ランプをご使用の皆様へ 全ての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)について製造・輸出入の禁止が決定」

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